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このたび、「きぼう」日本実験棟のロボットアームと装置交換機構による軌道上組立技術が「第16回(2011年)日本ロボット学会 実用化技術賞」を受賞し、9月7日から9日にかけて開催された「第29回日本ロボット学会学術講演会(主催:一般社団法人日本ロボット学会)」の会期中にあたる9月8日には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、開発および運用を担当する企業の担当者が出席の元、芝浦工業大学にて表彰式が執り行われました。
ロボットアームは、「きぼう」船外実験プラットフォーム上の実験装置や搭載機器の交換作業、各種実験支援または保守・保全作業の支援という役割を担っています。また、装置交換機構は、船外実験プラットフォームに船外実験装置を取り付けるための機構で、取付けと同時に電力系、通信制御系、熱制御系が接続され、実験装置への電力供給、各種データのやり取り、温度環境の管理を実現可能にします。
今回の受賞では5台の船外実験装置と2台の曝露パレットとを「きぼう」船外実験プラットフォームへ組み付けた実績と、宇宙ロボット・組立システムに必要な技術が、適切な事前検証を経て軌道上実証されて開発された点、学術的にも有用な成果が得られた点、日本が有する高いロボット技術などを国内外に示した点が評価されました。
受賞技術名:
「きぼう」ロボットアームと装置交換機構による軌道上組立技術の実用化
受賞者:(敬称略)
上野浩史、土井忍、若林靖史(宇宙航空研究開発機構)、
桑尾文博、竹貝朋樹(日本電気(株))、吉江勇貴、高田正治((株)IHIエアロスペース)、服部浩明(三菱スペース・ソフトウエア(株))、福井教夫(有人宇宙システム(株))、渡辺順一郎(東京エレクトロニツクシステムズ(株))
受賞理由:
本ロボット・システムは、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に搭載された船外作業支援マニピュレータとそれに付随する装置交換機構からなる。2008年の打ち上げから応募時点までに、5台の船外実験装置を「きぼう」船外実験プラットフォームに組み付け、また実験装置を搭載する大型の曝露パレット2台の組み付け・取り外しなどの作業に使用され、これらの作業を無事成功させる実績をあげた。また今後も、定期的に発生する軌道上作業に貢献することが予定されている。
本ロボットアームは、船内の宇宙飛行士がジョイスティック操作するものであり、ミスのない位置決め制御が求められる。操縦者支援のために視覚装置(カメラ)によるマーカ位置推定、および位置決め誤差への対策としてリンプ(従動)モードが開発・実装され、地上での評価試験および軌道上での動作検証を経て、実際の作業が行われた。宇宙空間で使用されるシステムは、高い信頼性・品質が求められ、有人システムにおいては、安全性に対する備えとして2故障許容などの厳しい条件が課せられる。本ロボット・システムはこれらの条件を満たす、きわめて信頼性の高いシステムの開発に成功し、安全性の地上検証の方法も含めて、高度な技術開発が行われた。
このように、宇宙ロボットとしての必要な技術が適切に開発され、事前検証(地上)を経て軌道上実証がなされており、これらの評価・解析の過程において、学術的にも有用な成果が得られている。失敗ややり直しがきかない宇宙環境で確実に動作するロボット・システムの実用化は、日本が有する高いロボット技術および宇宙開発技術を国内外に示すものであり、本件は実用化技術賞を授与するのにふさわしいものであると判断する。
実用化技術賞とは:
実用化技術賞は、産業分野の自動化の推進や、社会生活の改善にロボット技術の研究開発成果が直接役立てられ、ロボット技術の社会への貢献が一層進むことを目的として、ロボットに関する優秀な実用化技術の開発を行った個人やグループに毎年贈呈されています。
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