打上げと帰還
アトランティス号の打上げ
アトランティス号は、NASAケネディ宇宙センター(KSC)から、米国東部夏時間2010年5月14日午後2時20分(日本時間2010年5月15日午前3時20分)に打ち上げられました。
アトランティス号は、飛行13日目の5月26日午前8時48分(同5月26日午後9時48分)にKSCに着陸し、11日と18時間28分にわたるミッションを終えました。
なお、アトランティス号のフライトは、計画されているものとしては本ミッションが最後となりました。
打上げと帰還
打上げ日時 |
2010年5月14日午後2時20分(米国東部夏時間)
2010年5月15日午前3時20分(日本時間) |
着陸日時 |
2010年5月26日午前8時48分(米国東部夏時間)
2010年5月26日午後9時48分(日本時間)
詳細(全て米国東部夏時間)
- 主脚接地時刻:5月26日午前8時48分11秒
- 前輪接地時刻:5月26日午前8時48分21秒
- 完全停止時刻:5月26日午前8時49分18秒
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飛行時間 |
11日18時間28分 |
打上げの詳細はステータスレポート#01を、着陸の詳細はステータスレポート#25をご覧ください。
ISSへのドッキングと分離
ISSへのドッキングと分離
ドッキング日時 |
2010年5月16日午前9時28分(米国中部夏時間)
2010年5月16日午後11時28分(日本時間) |
分離日時 |
2010年5月23日午前10時22分(米国中部夏時間)
2010年5月24日午前0時22分(日本時間) |
結合時間 |
7日0時間54分 |
ドッキングの詳細はステータスレポート#05を、分離の詳細はステータスレポート#19をご覧ください。
船外活動
第3回船外活動でP6トラスのバッテリ交換作業を行うマイケル・グッド宇宙飛行士
今回のミッションでは、3回の船外活動が計21時間20分にわたって行われました。ISSの組立てとしては、ISSから実施したものを含め、通算146回、計914時間59分の船外活動を実施したことになります。(参考:ISS組立のための船外活動)
船外活動では主に、Z1トラスへの冗長用のKuバンドアンテナの設置、デクスターへのEOTPの設置、センサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)のケーブル修正、P6トラスの6台のバッテリORUの交換、アトランティス号のペイロードベイ(貨物室)からのPDGFの取外しとISS船内への回収、P4トラスとP5トラスの間へのバックアップ用のアンモニア配管設置が行われました。
第1回船外活動(飛行4日目)
開始日時 |
2010年5月17日午前6時54分(米国中部夏時間)
2010年5月17日午後8時54分(日本時間) |
終了日時 |
2010年5月17日午後2時19分(米国中部夏時間)
2010年5月18日午前4時19分(日本時間) |
作業時間 |
7時間25分 |
作業者 |
ギャレット・リーズマン、スティーブ・ボーエン両宇宙飛行士 |
主要作業内容 |
- Z1トラスへの冗長系のKuバンドアンテナの設置(※2)
- デクスターへのEOTPの設置
- P6トラスのバッテリORUの交換準備(ICC-VLDで運搬した6個のバッテリORUの固定ボルトを緩める作業)
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詳細は第1回船外活動、ステータスレポート#07をご覧ください。
※2:Z1トラスへのKuバンドアンテナの設置作業において、アンテナと支柱をボルトで固定する際に、アンテナと支柱の間に隙間があったため、アンテナの駆動部の固定機構を解除する作業は見送られました。
第2回船外活動(飛行6日目)
開始日時 |
2010年5月19日午前5時38分(米国中部夏時間)
2010年5月19日午後7時38分(日本時間) |
終了日時 |
2010年5月19日午後0時47分(米国中部夏時間)
2010年5月20日午前2時47分(日本時間) |
作業時間 |
7時間09分 |
作業者 |
マイケル・グッド、スティーブ・ボーエン両宇宙飛行士 |
主要作業内容 |
- OBSSのケーブル修正(※3)
- P6トラスのバッテリORUの交換(4台)(※4)
- 冗長系のKuバンドアンテナのボルトの増し締めとアンテナの駆動部の固定機構解除(※5)
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詳細は第2回船外活動、ステータスレポート#11をご覧ください。
※3:飛行2日目の機体の損傷点検の際に、OBSS先端のセンサパッケージ1の雲台にケーブルが挟まっていることが見つかったため、第2回船外活動で追加された作業です。
※4:当初、第2回船外活動で3台のバッテリORUを交換し、第3回船外活動で残りの3台を交換する予定でしたが、時間に余裕ができたことから、第2回船外活動で4台のバッテリORUを交換しました。
※5:第1回船外活動で冗長系のKuバンドアンテナをZ1トラスに設置した際に、アンテナ部と支柱の間に隙間が見つかったため、第3回船外活動で本追加作業を行う予定でしたが、時間に余裕ができたことから、第2回船外活動で実施しました。
第3回船外活動(飛行8日目)
開始日時 |
2010年5月21日午前5時27分(米国中部夏時間)
2010年5月21日午後7時27分(日本時間) |
終了日時 |
2010年5月21日午後0時13分(米国中部夏時間)
2010年5月22日午前2時13分(日本時間) |
作業時間 |
6時間46分 |
作業者 |
ギャレット・リーズマン、マイケル・グッド両宇宙飛行士 |
主要作業内容 |
- P6トラスのバッテリORUの交換(2台)
- アトランティス号のペイロードベイ(貨物室)からのPDGFの取外しとISS船内への回収
- P4トラスとP5トラスの間へのバックアップ用のアンモニア配管設置(※6)
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詳細は第3回船外活動、ステータスレポート#15をご覧ください。
※6:本作業は当初の作業計画には含まれていませんでしたが、作業が順調に進んでいたため、追加で実施しました。
船内活動
MRM1設置のためキューポラからISSのロボットアーム(SSRMS)を操作する様子
- スペースシャトルのロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System: SRMS)とISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)の運用(ICC-VLDの移動、MRM1の設置、古いバッテリORUの回収など)
- MRM-1の起動と入室
- 船外活動の支援
- アトランティス号とISS間の物資の移送
- MRM-1からの荷物の運び出し
- ISSの故障していた機器の修理作業
- JAXAの「国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の身体真菌叢評価(Myco)」実験のサンプル採取
- テレビ局、通信社とのインタビューなどの広報活動
主な問題など
センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)のケーブル
OBSSの先端(黄色の丸で囲った箇所がケーブルが挟まった箇所)
この画像のsnagと示された箇所の配線が、Reed Sensorの隙間に挟み込まれていました
飛行2日目、OBSSを使用した機体の損傷点検を開始する前に、点検に使用するOBSS先端のセンサパッケージ1(※7)のパン/チルト機構(センサを上下左右に動かす機構)にケーブルが挟まっていることが見つかりました。
このため、飛行2日目の点検では、センサパッケージ2(※8)が使用されました。また、点検作業の開始が遅れたため、点検手順が見直され、点検箇所の少ない後期点検の手順が採用されました。
飛行3日目のR-Bar・ピッチ・マヌーバ(R-Bar Pitch Maneuver: RPM)では、通常2名のクルーが撮影にあたりますが、より多くの画像を取得するために3名のクルーが撮影を行いました。
飛行4日目の第1回船外活動中に船外活動クルーがデジタルカメラで撮影した左翼前縁部の写真も、機体の評価に使用されました。
飛行6日目の第2回船外活動で、挟まったケーブルの位置を直す作業が行われ、ケーブルはプラスチック製の結束バンドで固定されました。
ケーブルの位置を直した後、パン/チルト機構が正常に動作することが確認され、分離後の機体の後期点検においても問題なく動作しました。
※7:レーザセンサ(Laser Dynamic Range Imager: LDRI)、テレビカメラ
※8:レーザセンサ(Laser Camera System: LCS)、デジタルカメラ
米国の管制制御装置(C&C MDM)
飛行4日目の第1回船外活動中に、米国の管制制御装置(Command and Control Multiplexer/Demultiplexer: C&C MDM)のコンピュータが、突然バックアップに切り替わる事象が起こりました。
この事象は、Kuバンドアンテナの支柱の設置作業の一環として、船外活動クルーがZ1トラスで配線接続作業を行っていた際に、配線コネクタのキャップ(配線コネクタに異物が入り込むのを防ぐための蓋)を外した影響でデータバスとの通信が途絶えたため起こりました。この時、船外活動クルーのひとりはSSRMS上に乗って移動していましたが、設計通りにSSRMSが安全停止されたため、Kuバンドアンテナを移動する作業が少し遅れました。
Kuバンドアンテナ
アンテナと支柱の隙間
飛行4日目の第1回船外活動で実施したKuバンドアンテナの設置作業において、船外活動クルーがアンテナを支柱に3本のボルトで結合しましたが、ボルトの増し締めをしても支柱とアンテナとの結合部に約1mmの隙間があることが確認されました。
このため、第1回船外活動では、アンテナ回転用の駆動部の固定機構を取り外す作業が計画されていましたが、構造的に問題がないか解析を行う必要があるとして、第1回船外活動での実施は見送られ、アンテナと支柱をテザーで結びつけて補強する作業が行われました。
確実なボルト固定ができなかった原因は、アンテナと支柱の温度が熱的に平衡でなく、ガイドピン(位置決め用のピン)が曲がったためと考えられました。
飛行6日目の第2回船外活動では、ボルトを増し締めする作業が行われ、成功しました。これを受けて、補強に使用されていたテザーが取り外され、アンテナ駆動部の固定機構の解除も行われました。
米国の水供給装置(PWD)
飛行5日目、「デスティニー」(米国実験棟)に設置されている米国の水供給装置(Potable Water Distributor: PWD)から温水が供給できなくなりました。
その後、飛行8日目にサーキットブレーカの再設定を行い、ヒータの機能が回復し、温水の供給が可能になりました(この間、常温水の供給は可能でした)。PWDの温水が使用できない間、クルーはアトランティス号のギャレーの温水を使用しました。