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2章 宇宙でうごく (1)

 無事、地球をまわる軌道にたどりついた。重さのない世界で、重力という力がどのような影響を与えているのか、一緒に考えてみよう。

Q 6 人工衛星やスペースシャトルは、なぜ、地球に落ちてこないのだろうか?
Q 7 人工衛星はどのくらいの速さで地球の周りをまわっているのだろうか?
Q 8 どうしてスペースシャトル内では、無重力になるのだろうか?
Q 9 スペースシャトル上部から、質量の小さいひもつきの人工衛星(こども衛星)を放出する。それぞれの軌道はどうなるのだろうか?
Q10 宇宙で、振り子時計はそのまま使えるのだろうか?
Q11 ヨーヨーは宇宙でできるのだろうか?
Q12 宇宙船内でビリヤードの球を衝突させると、どのような動きをするのだろうか?
Q13 宇宙でも質量を測りたい。どうしたらよいのだろうか?
Q14 スクリューのついた潜水艦のおもちゃは、宇宙船内でどのような動きをするのだろうか?
Q15 宇宙船内で、球状磁石を正面衝突しないように、図のように静かに近づけると、どうなるのだろうか?
Q16 宇宙船内でコマはどう回転するだろうか?
Q17 宇宙船内で円形レールの内側をおもちゃの車が走ると、どうなるだろうか?
Q18 宇宙船内で水滴を自転させると、どうなるだろうか?
Q19 宇宙船内で紙飛行機はどう飛ぶのだろうか?
Q20 国際宇宙ステーションは重さのない宇宙でクレーンを使って組み立てられる。なぜだろうか?
Q21 宇宙でアーチェリーをしたい。地上と同じようにできるのだろうか?
Q22 宇宙船外で宇宙遊泳をする。宇宙船は高速で運動しているのに、宇宙飛行士は取り残されないのだろうか?
Q23 宇宙船内で地上と同じように演奏ができない楽器は、次のうちのどれだろうか?
コラム3 「人工衛星のパラドックス」
コラム4 「無重力」と「無重量」
コラム5 「慣性力」と「遠心力」
コラム6 「特大プリン」


Q6 人工衛星やスペースシャトルは、なぜ、地球に落ちてこないのだろうか?
A6 実は、常に地球に落ち続けている。

 これには、2つの見方がある。1つは、地上から見て、地球の重力に引っ張られて、人工衛星も常に落下している、という考え方だ。

 小石を持って、手を離すと重力に引かれて、落下する。高いところから水平に小石を投げると前に飛ぶが、やはり地球の重力に引かれて曲げられ、やがて地上に落下する。このとき、速く投げるほど、曲げられ方は少なく、遠くまでとどく。

 とても速く投げると、地球の丸みにそって、いつまでも「落下」し続けながら飛ぶことができると考えられるのだ。

 このことは、ニュートンがその著書「プリンキピア−自然哲学の数学的諸原理(初版は1687年)」の中で述べている。実際に人工衛星が打ち上げられるより、300年も前のことだ。

 「慣性の法則」から、物体には運動を保つ性質があるから、力が働かないと、人工衛星はどこまでも飛んでいってしまう。その考えでいくと、「なぜ落ちてこないの?」ではなく、「なぜ、地球から離れて飛んでいってしまわないの?」ということになる。地球の重力のおかげで、軌道にとどまっているわけだ。

 もう1つの考え方は、飛んでいる人工衛星の立場に立った考え方だ。自動車に乗っているとき、カーブになるとどうだろう?「慣性の法則」から、体が直進しようとするにもかかわらず、自動車だけ曲がろうとするわけだが、乗っている人間は、体がカーブの外側に引っ張られている感じがする。回転運動する物体が、あたかも外側に引っ張られているように感じる力が「遠心力」だ。

 人工衛星の立場で自分自身を見ると、地球の重力と遠心力がつり合って、軌道を保っている、ということになる。


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Q7 人工衛星はどのくらいの速さで地球の周りをまわっているのだろうか?
A7 低い軌道では約8km/s。軌道が高くなるほど遅い。

 地表近くの低い軌道をまわっている人工衛星の速さは、ほぼ8km/s(2万8800km/h)だ。これを「第1宇宙速度」と呼んでいる。これは、ジャンボジェット機の約30倍の速さだ。地球1周は4万kmだから、1時間半弱で、ひとまわりしてしまう。

 地球から離れるほど地球が引く力(これは重力と呼ばれたり、万有引力と呼ばれたりする)は弱くなる。そのため、必要な速さは小さくなる。

 「必要な速さが小さくなる」と言って、人工衛星の打ち上げが簡単になると思ったら大間違い。高く打ち上げるのに、エネルギーはよけいに必要だ。

軌道高度
(km)
速度
(km/s)
周期
0
400
1,000
35,786
7.93
7.67
7.35
3.08
1時間24分
1時間33分
1時間45分
23時間56分
人工衛星の軌道高度と周期

 ところで、右の図のように、地表から約3万6000kmの軌道高度では、地球を一周するのにかかる時間が地球の自転周期と一致する。これが「静止衛星」の正体だ。本当に静止しているわけではなく、赤道上を東向きに自転と同じ速度で飛行しているのだ。

 静止衛星は、放送衛星や気象衛星として活躍しているが、必ず赤道上空にある。衛星放送用のパラボラアンテナをすべて南に向けている理由もわかるだろう。日本上空で「静止」するのは、不可能なのだ。

 電波(光と同じ速さで30万km/s)が地表と軌道高度約3万6000kmの静止衛星との間を往復するのに0.2秒以上かかる。だから衛星放送の画像はその分、わずかに「遅れて」いるわけだ。


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Q8 どうしてスペースシャトル内では、無重力になるのだろうか?


A8 「重力と遠心力がつり合っている」、または、「すべてのものがいっしょに、落ち続けている」から。
 宇宙船の中のようすを、ビデオなどで見たことがあるだろうか。宇宙飛行士や、いろいろな物がプカプカ浮かんでいる。そればかりか、容器から出た水は流れることなく、シャボン玉のような球となって浮かぶ。これは、地球から遠く離れたためではない。スペースシャトルは、地表に近い軌道を飛行しているので、働く重力そのものは、数%程度しか小さくはならない。

 船内が無重力になるのは、スペースシャトルの運動による遠心力のため、と言うことができる。遠心力の大きさは、その物体の質量に比例する。その意味では、重力と同じ性質を持っている。加速する乗り物で感じる(ブレーキをかけたときも同じ)力は、「慣性力」と呼ばれるが、これも同じである。

 スペースシャトル内では、人も物も、スペースシャトルと一緒の軌道上を同じ速度で運動しているので、スペースシャトル本体について、重力と遠心力がつり合っているなら、船内のすべての物体についても、重力と遠心力はつり合う。すると、すべての物体について重力はうち消され、見かけ上の重力はゼロ、ということである。

 もう一つの考え方は、「地表から見れば、スペースシャトルは落下し続けている」ということだ。15世紀のイタリアの科学者、ガリレイは、重い物体も軽い物体も同じ加速度で落下することを実験で示した。質量が大きいと、働く重力は大きいが、同時に加速もされにくくなり、加速度は同じになるのだ。

 乱暴な話だが、乗っているエレベータのワイヤーが突然切れたとしよう。エレベータも人間も持ち物も、すべて同じように落下するので、「無重力」を体験できる。遊園地にある「フリーフォール」が、まさにそれだ。

 宇宙飛行士が無重力の訓練をするとき、この現象を利用して飛行機を上空で重力に任せた放物線飛行(垂直落下ではない)させて、25秒ほどの「無重力」を作り出している。


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Q9 スペースシャトル上部から、質量の小さいひもつきの人工衛星(こども衛星)を放出する。それぞれの軌道はどうなるのだろうか?
A9 スペースシャトルはもともとの飛行軌道よりも低い軌道、こども衛星はスペースシャトルよりも高い軌道を飛行する。

こども衛星を放出して飛行している状態

 「こども衛星」の質量は小さいから、スペースシャトルと衛星全体の重心はスペースシャトル本体のすぐそばにある。上下に分かれると、両者の関係は、高い軌道と低い軌道で安定する。というのは、地球からの万有引力と遠心力がつり合う位置が重心となっているわけで、高い軌道の方が地球から引かれる力は小さくなる。

 一方、同じ回転速度なら、回転半径が大きいほど、遠心力は大きくなる。したがって、高い軌道になった方はどんどん上に引かれ、低い軌道の方は下がっていく。ひもがピンと張った状態で安定するのだ。

月から見て、近い側と遠い側が満ち潮になる。
 つまり、万有引力と遠心力のバランスが破れた差額分は、ひもの張力が補ってくれるのだ。

 ところで、スペースシャトルは新しい人工衛星を打ち上げるほかに、古い人工衛星を回収したりもするが、軌道を調節するのは結構むずかしい。前方を飛んでいる人工衛星に近づきたいとき、ロケットを噴射してスピードを上げると、そのエネルギーで高い軌道に移ってしまい、かえって遅れてしまうのだ。かえって、スピードを落とし、低い軌道に移って先に行く必要がある。

 このような、万有引力と遠心力の微妙なバランスを、地上で生活する私たちも実感することができる。実は、「潮汐力(ちょうせきりょく)」という、文字通り、潮の満ち引きを引き起こす力がそれなのだ。月は地球の周りを公転しているが、正しくは、お互いに回り合っている。

 万有引力と遠心力がつり合っているのは、それぞれの重心についてであって、お互いの手前側と反対側は、つり合いが破れている。この部分の海水が盛り上がって、満ち潮になるわけだ。地表面は自転しているから、1日2回、潮の満ち引きがくり返される。


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Q10 宇宙で、振り子時計はそのまま使えるのだろうか?
A10 そのままでは使えない。
 振り子の周期は、おもりの重さに関係なく、糸の長さだけで決まる。このことは、ガリレイが発見したことで知られる。時計に応用したのがホイヘンスだ。振り子と歯車を組み合わせて、歯車が一定の速さで回転するようにしたのが、振り子時計の原型で、人類最初の機械式の時計だ。その後、バネの振動周期を利用したものや、「クォーツ時計」と呼ばれる、水晶発振を利用したものなどが開発された。

 振り子の周期は、おもりの重さに関係ないが、その場所の重力の強さは反映される。重力が4倍になれば、周期は半分になる。つまり、重力が強いほど、周期は短くなるわけで、振り子の周期を正確に測ることで、地球上の場所による、わずかな重力の違いを知ることもできる。

 軌道上の人工衛星や、エンジンを噴射していない慣性航行中の宇宙船内では、重力がうち消されるため、振り子が振れなくなる。だから、振り子時計は使えない。

 一方、月面上のように、重力が小さい(地球上の6分の1)場所なら、振り子の長さを短くするなどの調節をすれば、使うことができる。

 どうしても人工衛星内で、振り子時計を使いたいとすれば、たった一つだけ、方法がある。

 振り子時計を脱水機のように回転する容器に入れ、遠心力を発生させる。遠心力が「疑似重力」になるので、振り子を振ることはできる。

 もちろんそのとき、時計の進み方が正しくなるように、回転速度を正確に保たなければならない。回転運動に限らず、加速度をともなった運動は「慣性力」と呼ばれる疑似重力を発生させる。そのために振り子の周期は影響を受ける。

 だから、宇宙船でなくても、乗り物の中に置くには、振り子時計は不向き、と言うことができる。


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Q11 ヨーヨーは宇宙でできるのだろうか?
A11 初心者にとっては、自由自在にできる気がする。上級者は、技が全く使えない。

 宇宙船内では重力がないので、糸を巻いたヨーヨーから手を離しても、落ちていかない。そのかわり地上でやるように、軽く投げてやれば、どの方向に投げてもヨーヨーはもどってくる。上でも下でも自由自在。ちょっとした名人気分は味わえる。

 ところが逆に、上級者にとって、これはやっかい。技が全く使えなくなるのだ。
© バンダイ 1998
ハイパーヨーヨーが回転している様子


 いわゆる「ハイパーヨーヨー」は、糸がヨーヨー本体に固定されていない。軸の周りに、糸が輪になっているのだ。上級者は、ヨーヨーを勢いよく回転させ、糸がのびきった状態で空回りをさせて、このときを利用していろいろと技を繰り出す。

 ハイパーヨーヨーは、軸の部分が、バネの力で糸を押さえつけている仕組みになっている。勢いよく回転させると、遠心力の働きで、押さえがゆるみ、糸に対して軸が空回りしやすくなるのだ。

 ところが、重力がないと、糸がのびきったときの反動で、すぐに手元にもどってきてしまう。重力がないと、一番下の位置で、空回りしてくれないのだ。すると、せっかく身につけた技を使う場面が、ほとんどなくなってしまうのだ。


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Q12 宇宙船内でビリヤードの球を衝突させると、どのような動きをするのだろうか?
A12 地上と同じ動きをする。

 地上で、等質量のビリヤードの球を回転をかけずに静かに正面衝突させると、打った球はほとんど止まり、的の球が弾かれる。これは「速度交換」と呼ばれる現象で、2つの物体が等質量でよく弾む(これを「弾性衝突」と呼ぶ)場合に限って、起こる現象だ。

 地上で鉄の球をつるして一直線に並べ、端の1個だけぶつけるともう一端の1個だけが弾かれる、という実験もできる。

 宇宙で「重さ」がなくなっても、質量があることには変わりがないため、宇宙でも等しい質量の球が正面衝突できれば、地上と同じ動きとなる。しかし、宇宙では球をつるすことも、机に沿って球を滑らすこともできないので、正面衝突は難しいのだ。

 ところで、質量の異なる鉄の球と木の球を衝突させたらどうなるだろうか?

 木の球を的にして、鉄の球をぶつけると、木の球は勢いよく弾かれ、鉄の球はほとんどそのまま進む。逆に、鉄の球を的にして、木の球をぶつけると、鉄の球はほんの少しだけ弾かれ、木の球は反対方向に弾かれる。

 宇宙でも、すべての物体が質量を持っていることは変わらないのだ。




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Q13 宇宙でも質量を測りたい。どうしたらよいのだろうか?
A13 バネによる振動を利用する。

 無重力になっても、質量は存在する。したがって、重力を利用するふつうの「はかり」は使えない。中学校の教科書には、「ばねはかりで測るのが重さで、てんびんで測るのが質量」と書いてあり、「てんびんで測ればよい」と言う人がいるが、ふつうにてんびんを使おうとしても、使えない。では、どうしたらよいだろうか。

 「質量」の性質として、「加速されにくさ」がある。この性質を利用して、一端を固定したバネにつないで振動させ、振動周期を測れば質量を測ることができる。質量が大きいほど、周期は長くなるのだ。

 宇宙飛行士の健康管理の上で、「体重」の測定は重要だ。実際、この方法がとられている。
出典: NASA "SKYLAB, Our First
Space Station" 1977
宇宙飛行士は、台に体を固定し、振動させて「体重」を計る

原理図
 物体の質量は、上記の式で求められる。
 ばね定数は、それぞれのばねで決まっているため、軌道上で振動の周期を測定すれば、物体の質量が計算できる。

 そのほかに考えられるのは、力を加えて、加速の具合を測ることだ。「ばねはかり」につないで引っ張り、生じた加速度と目盛りの関係から求めることができる。ひもにつないで回転させ、ひもに生じる力を測ってもいい。


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Q14 スクリューのついた潜水艦のおもちゃは、宇宙船内でどのような動きをするのだろうか?
A14 空気中をゆっくり前に進むが、本体はスクリューと逆向きに回転する。

 潜水艦のおもちゃは、水中では、浮力の働きで浮かび、スクリューが水を後ろにかき出す反動で前に進む。宇宙船内では無重力となるため、潜水艦のおもちゃは空気中に浮かび、スクリューは水のかわりに空気を後ろにかき出す。空気は水よりずっと軽いから、反動も少なく、ゆっくり進むことになる。

 さらにどうしたことか、胴体までゆっくりと回転し出す。それは進行方向を軸にして、スクリューと逆向きの回転だ。
 これは「角運動量保存の法則」で理解できる。スクリュー(ゴムでもゼンマイでもでモーターでも、動力は何でもかまわない)が回転を始める前、潜水艦自体は全く回転していない。スクリューが回転しても胴体が逆回転すれば、全体の角運動量はゼロに保たれる。そのかわり、胴体はサイズも質量も大きいから、回転速度はゆっくりになる。

 この角運動量保存則は、さまざまなところで見ることができる。たとえば、摩擦の少ない回転台や、回転いすに乗って、上半身をひねると、下半身は逆方向にねじれるはずだ。ヘリコプターも、主プロペラだけで飛ぼうとすると、胴体がプロペラと反対方向にぐるぐる回り始めてしまう。そのために、小さな補助プロペラで回転しないように調節している(アニメでは、頭につけたプロペラだけで真っ直ぐ飛んでたりするけれど…)。

 海中の潜水艦が回転しないのは、重心が胴体の下側にあり、スクリューが回って胴体が回転しようとすると、重力が回転を抑える働きをするからだ。
傾いても、重力による回転力
(モーメント)により元に戻る。


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Q15 宇宙船内で、球状磁石を正面衝突しないように、図のように静かに近づけると、どうなるのだろうか?

A15 2つの磁石の重心を中心に、ゆっくりと回転をはじめ、その後、回転速度を増しながら、やがてくっつく。

 
 
 異極同士を近づけると、摩擦がないので、磁気力だけでお互いは引きつけ合う。このとき、軸をずらして近づけると面白い。両者の重心を中心に互いに回転を始め、しかも近づくに連れて回転速度を増していくのだ。

 これは、「角運動量保存の法則」で説明がつく。

 1点の回りの角運動量は、回転半径に比例する。回転半径が小さいと角運動量が小さくなってしまうので、その分をおぎなうために、回転速度が増すのだ。

 ちょうど、フィギュア・スケートの選手が、スピンの最中に手足をすぼめると、回転速度を増す。あれと同じだ。

 太陽のような恒星が2つ、お互いにまわり合っているいるものを「連星」というが、これも、全く同じ原理だ。連星ばかりでなく、この現象が、宇宙のしくみについて教えてくれる。

 宇宙の天体のほとんどが、渦を巻いていたり、自転や公転をしているのはなぜだろう? 地球は24時間で自転しているが、このとき地表の速度は、赤道上で460m/sという速さだ。

 星は宇宙に散らばっていたチリが、お互いの引力によって集まってできたと考えられる。そのときの運動が、重心よりわずかでもずれていれば、回転成分が生まれる。引き合って、回転半径がせばまれば、回転速度は増していく。

 太陽よりも大きな恒星が、放出するエネルギーを失うと、どんどん収縮し、「中性子星」と呼ばれる天体となる。1cmが、1兆g以上という密度まで収縮するが、中性子星は、1秒間に1000回も自転する。


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Q16 宇宙船内でコマはどう回転するだろうか?


A16 宇宙船内ではとても安定した回転をする。

コマを回す毛利宇宙飛行士。

 コマを地上と同じように回転させると、宇宙船内で軸方向を変えずに回転する。力を加えて、軸の向きを変えようとしても、なかなか変わらない。非常に安定した回転になるのだ。コマのように軸のまわりに対称な物体は、回転軸が対称軸と一致するととても安定する。実は、この性質は、人工衛星の姿勢制御に用いられている。

 地上でも、船や航空機などに、方位を知るための「ジャイロ・コンパス」が積まれているが、この性質が利用されている。人工衛星からの電波で自動車の位置を知るカーナビゲーション・システムもトンネルなど、電波が届かない場所には弱いので、ジャイロ・コンパスが補助的に使われている。

  もっと身近なところでの応用は、スポーツ。アメリカン・フットボールでは、クォーター・バックの投げるロングパスが何と言っても見せどころだ。上手なプレーヤーのパスは、楕円形のボールの向きが空中でとても安定している。これは、片手で投げながら、ボールの対称軸のまわりに、強烈な回転をかけているからだ。

 ラグビーのバックスが両手で投げるスクリューパスも同様。距離を稼ぐためのタッチキックもそうだ。やり投げのやりも、長い距離を真っ直ぐ飛んでいくのは、軸のまわりに回転がかかっているからだ。対称軸と一致していないと、回転軸は不安定になり、場合によってはひっくり返ったりする。

 軸のまわりを安定に回転している物体に対して、軸の向きを変えようと力を加えると、軸は力の向きでなく、それとは垂直な向きに傾く。これを「歳差運動(さいさうんどう)」と呼ぶ。地上で回したコマが、傾いたときに軸がゆっくりまわる運動がそれだ。

 地球に対しても、月や太陽による潮汐力が、地軸の向きを変えようとしているから、地球の地軸も公転面に対して23.5度傾いたままゆっくりと(周期2万6000年で)歳差運動している。


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最終更新日:2000年 3月 9日

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