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1章 地球を飛び出す

 地球を飛び出すために、輸送手段としてロケットが使用される。でもなぜ、飛行機ではだめなのだろう?
Q1 ジェット機をパワーアップすれば、宇宙へ飛び出すことができるのだろうか?
Q2 ロケットの発射場は、どうやって決めるのだろうか?
Q3 人工衛星を打ち上げるためのロケットは、1段目、2段目、…と分かれている。なぜだろうか?
Q4 ロケットの打ち上げのとき、宇宙飛行士はどのくらいの加速度に耐えられるのだろうか?
Q5 人工衛星やスペースシャトルの軌道はどうやって決めるのだろうか?
コラム1 固体ロケットと液体ロケット
コラム2 G(ジー)って何?


Q1 ジェット機をパワーアップすれば、宇宙へ飛び出すことができるのだろうか?

A1 ジェット機は空気中しか飛べないため、パワーアップだけでは宇宙へ行くことはできない。

 ジェット機は空気中を飛ぶために、空気を利用することを考えてつくられている。ジェット機のジェットエンジンは、まわりの空気を取り込み、その酸素とジェット燃料とを燃やしてできた高温で高圧のガスを噴き出して推進力を得る。この推進力により翼を流れる空気から揚力(ようりょく)を得て、空中を浮かんで飛ぶことができる。だから、いくらパワーアップしても、外の空気を取り込んで飛ぶ構造であるかぎり、空気のない宇宙へは行けない。

 一方、ロケットは空気のない宇宙空間も飛行できるように、燃料とそれを燃やすための酸化剤を一緒に中に持ち込んでいる。そして燃料を燃やして得たガスを噴き出す時の反作用により、推進力を得る。


 スペースシャトルは燃料と酸化剤を一緒に積んで地上を飛び立つが、飛行機に似た翼を持っている。これは地球に戻ってくるときに、空気中を滑空する必要があるからだ。
着陸直前のスペースシャトルオービタ

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Q2 ロケットの発射場は、どうやって決めるのだろうか?

A2 なるべく赤道に近く、安全な場所かどうかで決める。
 ロケットを地球の自転方向に打ち上げると、地球の自転速度をロケットの速度にプラスすることができる。東向き(地球の自転方向)にロケットを打ち上げる場合が多いのもこの理由からだ。そうなると、自転速度が速いほど打ち上げに有利になる。地球の自転速度が一番速いのは赤道上なのだ。だから、発射場はできるだけ赤道に近い方がよい。

 図からもわかるように、A→A'もしくはB→B'の速度をロケットの打ち上げ速度にプラスすることができる。B→B'より、A→A'の方が速度は大きいため、赤道近くの方がロケットの速度を増大させるには有利なのだ。

 また、ロケットは飛行機と違って空気を利用しないから打ち上げに滑走路は必要ないが、爆発の危険がゼロではないことや、ロケットが切り離した残骸(ざんがい)が空から降ってくるという危険があるし、打ち上げ時の騒音問題もある。そこでロケットを安全に打ち上げるために、発射場は都会を避け、人里離れた平坦部が選ばれる。

 日本の内之浦や種子島、アメリカのケネディ宇宙センター、欧州宇宙機関(ESA)のギアナ宇宙センターなどは、こうした理由から発射場に選ばれたのだ。

発射場は都会や山野から離れた平坦部が選ばれる。


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Q3 人工衛星を打ち上げるためのロケットは、1段目、2段目、…と分かれている。なぜだろうか? 

A3 燃焼後、不要となった機体を一つ一つ切り離して身軽になっていくことで、速度を上げていくため。

 ロケットは、積み込んだ燃料と酸化剤(あわせて「推進剤」という)を燃やして、高温、高圧ガスを排出しながら飛んでいく。このとき、ロケットの全体質量と使った推進剤の質量、排気した高温・高圧ガスの速度とロケットの速度とのあいだには、運動量保存則が成り立っている。つまり、ロケット全体の初期質量と燃焼終了時の質量の比、および排気ガスの速度が決まれば、ロケットの増速量が決まってしまうのだ。

 ロケットの初期質量の80~90%は推進剤であるが、現在の材料や構造体の技術とロケットエンジンの性能では、1段だけで人工衛星が軌道を周回できるような高速度を達成することはできない。そのため、大きなロケットの上に小型のロケットを段状に取り付ける方式にして、推進剤を使い切った下段部分を切り離した後、引き続いて上段のロケットを作動させると、下段ロケットの増速量に上段ロケットの増速量が加わり、人工衛星の軌道速度を容易に得ることができる。

 でも、ロケットを1回の打ち上げだけで捨ててしまう方式では、ロケット代が高くなってしまう。そこで最近は、繰り返し使用が可能な1段式ロケットも研究・試作されている。
ロケットの打ち上げ


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Q4 ロケットの打ち上げのとき、宇宙飛行士はどのくらいの加速度に耐えられるのだろうか?

A4 立った状態では3.5~4G(スペースシャトルの打ち上げ時を超える加速度)くらい、横になった状態では6~7Gくらいが耐えられる限界だ。

 頭を進行方向に向けているとしよう。このとき進行方向、つまり頭から足の方向に加速されると、血液は足もとの方向に移動する。「耐えられない」とは、頭まで血が上らなくなり失神してしまう状態、つまり血液を送る心臓ポンプの力が、血液にかかる力に負けてしまった状態になることだ。
加速前    加速時

 例えばスカイダイビングで落下している場合、空気の抵抗以外は体に感じる力はないが、パラシュートが開いた瞬間、重力の数倍(加速度数G)の力が体にかかる。しかし瞬間的であり、脳に十分酸素があるので、ヒトは耐えられるのだ。

 さて、ロケットの打ち上げ時に加速される時間は、数分間もある。このときは、立った状態が一番厳しく、3.5~4Gの加速度までしか耐えられない。なお、寝ている状態では、立った状態よりも頭に血液が流れやすく、脊柱(せきちゅう)や呼吸への負担も少ないため、6~7Gの加速度まで耐えられる。


 スペースシャトルは最大3G程度まで加速されるが、宇宙飛行士は上向きに着席した状態で打ち上げられるので、健康な人なら十分に耐えられる範囲だ。これなら私たちも宇宙に行けそうだ。


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Q5 人工衛星やスペースシャトルの軌道はどうやって決めるのだろうか?

A5 人工衛星などの使用目的や、宇宙の環境によって決める。

 軌道高度は、地上から200km~1000kmの範囲と、3万6000km付近の2つに大きく分かれる。前者は「低軌道」と呼ばれて、スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどに使われる軌道で、後者は「静止軌道」と呼ばれて、気象衛星や放送衛星などに使われる軌道なのだ。では、どのように使い分けているのだろうか?

 空気の抵抗による衛星の減速を極力ふせぐため、空気が十分うすい200km以上の高度が必要である。一般的にロケットの運搬能力は、軌道高度が高くなるとともに、急激に低下していくため、特に要求がない限り、低い軌道が選ばれる。また、地球のまわりには、太陽や銀河系から「宇宙線」と呼ばれる人体に危険な放射線が飛び交っている。でも地上から1000~5000km付近の上空には、「ヴァン・アレン帯」という地球の磁場で放射線を閉じ込める場所があって、そこから下の高度へふりそそぐ放射線はかなりさえぎられる。だから、人が生活したり宇宙実験をするには、人体に安全な500km以下の軌道高度が選ばれるのだ。

 一方、赤道上空の高度約3万6000kmの円軌道を飛行する人工衛星は、地球を1周するのにかかる時間が自転と同じ24時間となるので、地上から見上げるといつも同じところに止まっているように見える。だから、この円軌道は「静止軌道」と呼ばれ、宇宙から地上の同じ場所をずっと観測することを目的とした気象衛星などは、この軌道を利用するのだ。


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コラム1 固体ロケットと液体ロケット

 化学ロケットには主に、推進剤に酸化剤と燃料を均一に混ぜ合わせて固めたものを使う「固体ロケット」と、液体の酸化剤と燃料を別々のタンクに入れ、燃焼室にパイプを通じて送り込む「液体ロケット」がある。


 固体ロケットは、固体推進剤が一気に燃えて大きな推進力を得る。ただし、一度火がついたら比較的、燃焼制御が難しく、推進力が長く続かない。液体ロケットは、液体推進剤の量を調節しながら燃焼させて推進力を得る。だから、推進力を止めたり、大きさを制御しやすい。

 一般に大きな初速度が必要な場合や、比較的小型のロケットには、構造の簡単な固体ロケットが使用され、大型ロケットや精密な軌道投入を行う場合には、制御が容易で構造体の重量を低減できる液体ロケットが使用される。

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コラム2 G(ジー)って何?

 今、私たちが地上に立っていられるのは、地球と私たちの間に引力が働いているからである。だからジャンプしてもすぐ地球に引き寄せられてしまう。この力を「重力」といっており、地球の自転による遠心力と万有引力との合力で表わされる。

 地上では遠心力の大きさは、万有引力の大きさに比べて300分の1以下であるため、重力はほとんど万有引力と等しい。このときの加速度は、9.8m/s2。この加速度を便宜上、1G(1ジー)として加速度の大きさを考えるとき、2倍の大きさであれば2G、半分の大きさであれば0.5Gと呼んでいる。

 ジェットコースターなどに乗っているとき、数Gかかると言うが、「数Gの大きさで加速される」という表現が正しいことになる。


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最終更新日:2000年 3月 3日

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