カイコの卵を休眠状態で宇宙に持って行き、発生の初期の段階での宇宙放射線の影響をみるのが、この実験の大きな目的の一つです。
地上でカイコ(黒い皮膚を持つ系統)の卵に放射線をあてると、白い斑点(突然変異)をもった幼虫が現れます。
放射線の照射量とエネルギーが大きいほど斑点を持つ幼虫の数が増えました。
人間は卵から孵化するわけではありませんから、カイコで起こったことがそのまま当てはまるわけではありません。
ですが、遺伝子からタンパク質を作る基本的なメカニズムは同じですから、胚の発生中に働く遺伝子に対する宇宙放射線の影響を検討します。
また、カイコが放射線を受けたときに出る白い斑点は、目に見える変化として現れるので、例えば宇宙船内で受ける放射線のレベルが斑点を現した幼虫の数でおおよその見当がつくなど、放射線被曝の「物差し」として使えると考えられ、その可能性も探ります。
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図1 放射線を当てたカイコ
地上でカイコ(黒い皮膚をした系統)に放射線を当てると、幼虫の5齢の時期に白い斑点をもったカイコが現れる。
エネルギーの高い放射線を当てると、斑点の数が増えた(右の写真)。
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