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第6回 航空機による学生無重力実験コンテスト
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「無重力状態の水中で、ピンポン玉と鉄球の位置関係が変わったらどうなるか?」
早稲田大学先進理工学術院1年
菅 真吾
装置完成までの過程において特筆すべきことはない。みんなで涙を流したり、夢を語りあったり、意味もなく海に向かって走り出したりすることもなく装置は完成した。とても良いことだと思う。装置が完成したら、チームから1日1名選出される搭乗者以外は暇なので、僕はゴッドファーザーという映画を鑑賞していた。昼寝もした。それは穏やかな午後だった。
次の日、僕が搭乗する番だった。わりと緊張していたが、その緊張は実験がうまくいくかどうかよりも、トイレに行きたくなったらどうしよう、乗り物酔いしたらかっこ悪いなという遠足前の小学生のようなものだった。
で、パラボリックフライトだ。
無重力突入30秒前。無重力に入る前に飛行機が急上昇するため1.8Gの重力がかかる。実感としては空気そのものが重くなったようであった。しかしそこまで大層な負荷ではない。この状況下でがんばって立ち上がり、腕立て伏せでもすれば、ドラゴンボールごっこができるなと思えるくらいの重力だ。しかしここで油断して頭を動かすと激しく酔うらしいので注意が必要だ。僕はずっと1点を注視することでこの時間をやり過ごした。
そんな状態がしばらく続いた後、5秒前くらいから徐々に身体が軽くなっていき、突然浮く。フワリ。「あっ」と「おっ」と「えっ」の中間みたいな声が僕の口から漏れていた。無重力に入る瞬間はフリーフォールで落ちていく感覚が一番近い。支えを失って世界に放り出されるような、なんとも形容しがたい嫌な感覚だ。しかし嫌な感覚だけで終わったりしない。フリーフォールとパラボリックフライトが決定的に異なるのは時間の長さだ。フリーフォールで落ちているのはほんの数秒だが、パラボリックフライトは20秒ちかくもその状態が続く。すると何が起こるのか? 答えは慣れる、だ。身体が無重力状態に慣れる。身体が浮くことに違和感がなくなる。
無重力突入から20秒経過すると、突如重力が戻ってくる。重力が戻ってくると残念な反面、ほどよい重力が身体に馴染む。旧友に会ったときのようなくすぐったい気分になる。あるいは旅行先から自宅へ帰りついたときのようにほっとする。それから次のパラボリックフライトまで実験器具を調整したり、外の景色(眼下に広がる雲)を眺めたりする。それを10回繰り返す。
まとめ、すごくおもしろかった、以上。まるで言葉を覚えたてのいたいけな幼児のような感想ではあるが、これもまた良し。
本実験を主催してくださった(独)宇宙航空研究開発機構様、また、多大なご協力を賜った(財)日本宇宙フォーラム、ダイヤモンドエアサービス(株)、ならびにコニカミノルタセンシング(株)の皆様に、深く感謝いたします。
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