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第6回 航空機による学生無重力実験コンテスト
※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。
「無重力状態の水中で、ピンポン玉と鉄球の位置関係が変わったらどうなるか?」
千葉大学大学院融合科学研究科博士課程2年
関根 絵美子
『航空機』『フリーフォール』『パラボリックフライト』etc.なんだか厳つい単語の中で行われた無重力実験の最中は実に穏やかであった。暖かい日差しが窓から差し込み、パラパラというエンジン音とイヤホンから聞こえるカウントダウンのコール、そんな一種の静寂の中で一瞬にして宇宙が訪れた。
思い起こすと実験内容が採択されてからのこの数ヶ月、楽しみが半分、恐怖が半分であった。元々、宇宙関係の研究に興味があったことと、教育にも興味があったため子供たちの教材になるということで応募させていただいた。しかし、ジェットコースターや乗り物に強くない私は、採択はされたものの実験を最後まで遂行できないのではないかとずっと心配だった。名古屋に着いてからは実験準備に忙しくそれほどでもなかったが、やはりどことなく不安に包まれていた。不安が消えたのは、フライト前に酔い止め薬を一気に飲み干したときであった。もう逃げられないと腹をくくったのと同時にわくわくが止まらなくなった。無重力ってどんな感じだろう。。好奇心が先にたった。
そして実際のパラボリックフライト。2Gがかかるときには胸やお腹が締め付けられるような感じがした。なんとなく本能でじっとしている。そして、無重力へのカウントダウン。無重力数秒前にスッと力が抜けるような感じがし、急にふわっと浮き上がった。まるで自分の周りだけ小宇宙。窓から入る光がキラキラしている。それぞれが各自の実験の操作をしている音が小さく響く。心地よい。ふと窓の外を眺めると、太陽が下に見えた(機体が回転していたのであろう)。そして20秒ほどの時を経て、ふっと重力が戻る。もう終わりか、残念、、これが正直な気持ちであった。9回のパラボリックフライト中も、早く次のパラボリックをしたい、もっと長い時間無重力状態でいたい、こんなことを何度も考えていた。帰りのフライトでは、ほとんどウトウトしていた。酔い止め薬が強力なものであったことから眠気に襲われたことと、無重力フライトがとても心地よかったことによる。
実験自体はとても順調で、目的のテーマに対して十分なデータを得ることができた。今回の実験を振り返って思うことは、人生に1度あるかないかのこんなに素晴らしい機会に恵まれてよかったということである。準備をしているときには、何回も壁にぶち当たった。装置の設計がなかなか進まず悩んだ時期もあったし、実験日までに準備が間に合わないと焦ったこともあった。でも、あの体験で全てがチャラです。今でも眠りに落ちる前のふっとした瞬間に、あの体が浮く感覚が甦る。もし将来、宇宙に行くことが当たり前の時代が来たら、そのときはおばあちゃんになっていると思うが、是非宇宙飛行がしたい。
本実験を主催してくださった(独)宇宙航空研究開発機構様、また、多大なご協力を賜った(財)日本宇宙フォーラム、ダイヤモンドエアサービス(株)の皆様に深く感謝いたします。また、千葉大学教授安西和紀先生((独)放射線医学総合研究所チームリーダー)には多くの温かく丁寧なご指導、ご助言を賜りました。ここに深く感謝申し上げます。
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