実験テーマ一覧


STS-91による宇宙放射線環境計測計画 実験テーマ一覧
テーマ名 提案者 研究の概要
宇宙放射線に対する実時間線量計測 道家 忠義(早稲田大学)
 実時間放射線計測実験装置(RRMD)を用いて、宇宙船内における全ての入射荷電粒子によるLET(線エネルギー付与)分布をリアルタイムで計測し、線量当量を正確に推定します。
宇宙放射線環境データのリアルタイム交換実験 富田 二三彦(通信総合研究所)  太陽や宇宙環境に関する様々な観測データと、RRMDのデータを準リアルタイムで交換し、総合的に解析することによって、宇宙放射線環境の現状を把握するシステムを実験的に運用し、また、将来の宇宙放射線環境変動予測に資するデータを蓄積します。
人体等価物質下での線量計測 藤高 和信(放射線総合医学研究所)  NASAの提供する人体ファントム模型の各主要臓器の位置に検出器を埋め込み、スペースシャトルに搭載して宇宙放射線による人体中の線量分布データを取得します。これにより、宇宙放射線による被曝のリスクを評価するための手法を確立することを目的とします。
DNA修復に及ぼす宇宙環境の影響に関する研究 小林 泰彦(日本原子力研究所)  放射線耐性菌であるD.Radiodurans(ディノコッカス・ラジオデュランス)は宇宙環境で放射線損傷からの修復反応を行わせると、地上に比べ有意に促進される結果が、第2次国際微小重力実験室計画(IML−2)で得られました。その後、STS−79にて再度確認実験を試みましたが、IML−2のような修復反応の明瞭な違いが得られなかったため、同じ試料により同様な手順、条件で、結果の再検証を行うことが目的です。
DNA損傷修復に対する微小重力の影響 大西 武雄(奈良県立医科大学)  生物のDNAに与えられた放射線損傷は、通常修復酵素により速やかに修復されますが、宇宙では微小重力環境がこれらの反応に何らかの影響を与えている可能性があることがこれまで示唆されています。この実験は人工的に作成したDNAの2本鎖切断鎖を酵素反応により重合させる修復反応過程が微小重力環境でどのように影響されるか調べます。


STS-91において再実験を実施する実験テーマ
テーマ名 提案者 研究の概要
微小重力環境における突然変異生成率の測定 大西 武雄(奈良県立医科大学)  これまで、宇宙放射線が生物に与える影響について、いくつか宇宙実験で矛盾する結果が得られていますが、この実験はその原因を明らかにすることをねらった実験で、突然変異生成の一要因と考えられるDNA複製過程のエラー率について、DNAポリメラーゼによる酵素反応過程が宇宙環境(特に微小重力)によってどのように影響されるか調べます。
宇宙放射線に曝露された細胞の遺伝子、タンパク質の発現解析 平野 昌彦(東レリサーチセンター株式会社)
共同研究者:大西 武雄(奈良県立医科大学)
 これまで宇宙放射線に曝された高等生物の細胞内では、様々な反応が生じていることが報告されつつありますが、それらの現象はまだ分子レベルで明確になっていません。
 この実験では真核生物(ヒトと基本的に同じ細胞の構造をもつ)のモデルとして酵母を用い、分子レベルでなるべく広範囲に解析し、より高次なヒトなどの細胞への影響について基礎的な知見を得ることが目的です。


Last Updated : 1998. 6.10