| STS-87ミッション概要 | ミッション | 飛行実績 | STS-87搭乗員 |
| STS-87の船外活動 | ミッションスケジュール |
| ミッション最新情報 | NASAステータスレポート |


ミッション

 スペースシャトル・コロンビア号によるSTS-87(Space Transportation System-87)フライトで、以下のミッションを行います。土井隆雄宇宙飛行士は、宇宙ステーション/日本の実験棟(JEM: Japanese Experiment Module)の軌道上での組立に必要な機器や、作業の検証試験を行うために日本人として初めての船外活動を行います。

 

第4次米国微小重力実験ペイロード(USMP-4: United States Microgravity Payload-4)/軌道上加速度研究実験(OARE: Orbital Acceleration Research Experiment)
 NASAが推進している、微小重力科学実験を中心としたシリーズミッションで、今回はその4回目になります。この実験ではスペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)を利用した様々な微小重力化学実験を行っています。今回は材料実験関係に焦点をあて、以下の実験を行います。
(1) 地上及び軌道上での材料凝固実験(MEPHISTO: Material Pour I’Etude des Phenomenes Interessant la Solidification sur Terra et en Orbit)
地上と微小重力環境下で実施する実験結果の比較により、対流の影響を定量的に評価します。

(2) 等温樹枝状結晶成長実験(IDGE: Isothermal Dendritic Growth Experiment)
微小重力環境における流体の樹枝状結晶成長を観察する実験です。

(3) 次世代自動型方向性凝固炉(AADSF: Advanced Automated Directional Solidification Furnace)
AADSFを利用して赤外線探知機やレーザ発信器に使われている鉛錫テルル(PbSnTe)の方向性凝固の様子を観察し、詳細なデータの取得を行います。

(4) 封入ヘリウム実験(CHeX: Confined Helium Experiment)
クロスオーバー現象(物質が3次元的な現象が顕著となる状態から2次元的な現象が顕著となる状態へ移行する際、その境界で観察される現象)に関する理論を検証するための物理実験です。

(5) 宇宙加速度計測システム(SAMS: Space Acceleration Measurement System)
同時に3つの実験システムの重力加速度を計測・記録し、調整する機能があります。

(6) 軌道上加速度研究実験(OARE: Orbital Acceleration Research Experiment)
軌道上におけるスペースシャトルの線形加速度を計測します。

 

第4次スパルタン201(SPARTAN201-4: Shuttle-Pointed Autonomous Research Tool for Astronomy201-4)
 スパルタン201は、再利用可能な太陽物理観測用フリーフライヤーであり、コロナ層で発生する太陽風やコロナ層の温度上昇等のメカニズムを検証します。今回は、以下の実験を行います。

紫外線コロナ分光器(UVCS: Ultraviolet Coronal Spectrometer)
コロナの紫外線スペクトルを観測するために使用される機器を用いてコロナ観測を行います。

白色光コロナグラフ(WLC: White Light Coronagraph)
コロナの発する白色光を観測する機器で、コロナ層の電子密度を観測します。

スパルタン改良実験(TEXAS: Technology Experiment Augumenting SPARTAN)
S-band通信を介して、白色光コロナグラフの撮影映像のリアルタイム・ダウンリンク、白色光コロナグラフへのコマンド等のアップリンクを試験的に実施します。

ビデオ誘導センサ実験(VGS: Video Guidance Sensor)
自動ドッキングシステム開発のため、距離・高度測定システムの試験を実施します。

 

第5次船外活動開発飛行試験 (EDFT-05:EVA Development Flight Test-05)
 1998年から予定されている国際宇宙ステーションの組立には、船外活動による組立作業が必要となります。NASAは、船外活動による国際宇宙ステーションの組立作業を開始するにあたり、国際宇宙ステーション組立に使用する機器の開発/手順書の作成に着手しており、EDFT-05は船外で実施される作業、機器の検証試験となります。
 EDFT-05は、土井MS(Mission Specialist)とスコットMSの2名がEVA( Extravehicular Activity: 船外活動、通称「宇宙遊泳」)を行い、船内からはチャウラMSが支援して検証試験を実施します。
 EDFT-05は、国際宇宙ステーションの軌道上交換ユニット(ORU: Orbital Replacement Unit)の運搬用に開発したEVAクレーンを用いて大型ORU、小型ORUの工具類、その他、各種EVAツールの操作性についての検証試験やEVAクレーンの機能・性能を検証します。また、これにあわせて、国際宇宙ステーション組立時に向けてのリスク軽減実験(RME: Risk Mitigation Experiment)の一環として以下の2つの実験を行います。

(1) 宇宙服内での超音波ドップラー計測(RME1309 In-suit Doppler Experiment)
減圧症発生のリスクを抑えるプレブリース時間が短縮できるかどうか可能性を探るための実験です。

(2) 自律型船外ロボットカメラ(RME1323 AERCam/Sprint)
NASAでは、船外を自由に飛行できるロボットカメラAERCam(Autonomous EVA Robotic Camera)を開発中です。Sprintはその初期段階の実験機で、EVAクルーにより船外に放出/回収し、放出中は船内のクルーによって操作を行い、評価を行います。

 

ゲット・アウェイ・スペシャル (GAS: Get Away Special)
 GASキャニスタは、直径50cm×長さ約70cmのドラム缶状密閉容器であり、最大約90kgのペイロードを格納できます。GASペイロードは電力供給及びデータ記録は自ら装備する必要があります。今回のフライトでは以下の2つのGASが搭載されます。

(1) 乱流拡散炎実験(TGDF: Turbulent Gas-Jet Diffusion Flames Experiment)

(2) ゲット・アウェイ・スペシャル-036 (G-036: Get Away Special-036)

 

ヒッチハイカ (Hitchhiker)
 ヒッチハイカは、GASキャニスタにシャトルからの電力供給機能、地上及びクルーからのコマンド機能、データのダウンリンク機能を追加したものであり、GASより広範囲な実験が可能です。
 今回のフライトでは以下の3つのヒッチハイカが搭載されます。

(1) スペースシャトルによる地球リム(地球の輪郭)のオゾン観測実験 (SOLSE: Shuttle Ozone Limb Sounding Experiment)

(2) ループ・ヒートパイプ (LHP: Loop Heat Pipe)

(3) ナトリウム・硫黄バッテリ実験 (NaSBE: Na-Sulfer Battery Experiment)

 

ミッドデッキ・グローブボックス(MGBX: Middeck Glovebox)
 MGBXは、危険を伴う実験を、与圧域内(シャトル乗員区画)において搭乗員が安全に処理できるようにするために開発された装置で、今回のフライトでは、この装置を使って以下の3つの実験を行います。

(1) 不混和液体の濡れ特性観察実験(WCI: Wetting Characteristics of Immiscibles )
サクシノニトル及びグリセリンの混合物を約90度まで加熱し、融解したのち冷却し、その過程を顕微鏡で観察します。

(2) 容器内層流炎観測実験(ELF: Enclosed Laminar Flames)
メタンを燃焼させ、気流を変化させながら炎を観察します。

(3) 凝固界面での粒子取込・吐出観察実験(PEP: Particle Engulfment and Pushing by Solidifying Interfaces)
試料を約120度まで加熱し、固液界面を観察します。

 

ウクライナとの共同実験 (CUE: Collaborative Ukrainian Experiment)
 ウクライナ国立宇宙機関(NSAU)とNASAが協力して植物のライフサイクルに関して11種類の実験を行います。


Last Updated : 1997.10.31


| STS-87ミッション概要 | ミッション | 飛行実績 | STS-87搭乗員 |
| STS-87の船外活動 | ミッションスケジュール |
| ミッション最新情報 | NASAステータスレポート |