ウロコは再生力が強く、再生ウロコの細胞活性は普通のウロコよりも高いことがわかっています。
そこで、今回の宇宙実験では再生ウロコを用いることにします。
まず、キンギョに麻酔をかけ、ウロコをとります(図1)。
このキンギョを水槽にもどして飼育すると、ウロコが再生してきますので、14日後に再び同じところからウロコをとります。
これが14日目の再生ウロコで、これを複数のキンギョから全体で約1700-1800枚用意します。
これらのウロコは滅菌してから宇宙培養容器にパックされ(図2)、冷蔵でアメリカまで運搬します。
そして、スペースシャトルで打ち上げ、宇宙実験棟の中にある細胞培養装置(CBEF)にセットしてから温度を上げて、約3日間培養されます。
このように培養された再生ウロコは、微小重力実験群(μG群)になります。
なお、ウロコを取った後のキンギョは、病気にならないよう特別に配慮して水槽で飼育します。
また、打ち上げ時にかかる振動や重力の影響がどの程度かを知るために、同じ条件の再生ウロコを打ち上げ後に軌道上で固定して実験群との比較に用います(打ち上げ対照群)。
さらに、軌道上でゆるやかな遠心をかけて擬似的に1Gを作った対照実験も実施します(軌道上1G対照群)。
培養後の試料は冷凍、および化学固定後に冷蔵状態で、同じスペースシャトルで帰還します。
帰還後の試料は、細胞活性の測定、遺伝子発現解析、骨代謝に関与するホルモンの解析や形態学的解析等を行い、破骨細胞と骨芽細胞の相互作用と、新規インドール化合物の骨吸収抑制効果を解析します。
地上での模擬実験のために、打ち上げに使われる実験群と全く同じセットをバックアップを兼ねて作っておきます(地上対照群)。
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図1 キンギョからウロコをとる様子 (薬剤を使用して麻酔状態)
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図2 滅菌したウロコと培養液を入れた宇宙培養容器。
(写真は予行実験のため、容器中のウロコは数枚のみ)
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なるほどコラムその2
【なぜ魚の年齢がわかるの?】
ウロコ上には、樹木の年輪と同じような線があります。
これは隆起線といって、一般的に、魚の成長とともに少しずつ本数が増えてゆきます。
隆起線と隆起線の間隔は温度に依存し、冬には間隔が狭くなります。
つまり、線と線との間が狭い箇所がいくつあるかを調べれば、冬を何回越したかがわかり、結果として魚の年齢が推定できるのです。
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