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実験の背景


あおむけの姿勢から立ちあがると、重力の方向が変わり、静水圧差が増加して血液が下半身の方に移動します。そして、心臓に戻ってくる血液量と心臓から送り出される血液量(心拍出量)が減少し、心拍出量と血管抵抗の積である血圧が低下します。

一方、姿勢が変わることによる重力方向の変化は、内耳にある重力を感知する器官である前庭を刺激して、血圧が上昇します。この反応を「前庭−血圧反射」といいます。これら2つの血圧変化の総和として、起立直後の血圧は維持されています(図1)。

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このように、前庭−血圧反射は、ヒトが起立する時の血圧調節に重要な役割を果たしています。

森田啓之先生は、これまで、前庭が正常なラットと前庭を破壊したラットの応答を比較することにより、これらのしくみを解明してきました(図2)。しかし、ヒトを使った実験では、ラットと同じ様に前庭を破壊して比べることはできません。

そこで、人体に大きな負担のかからない方法を見出しました。前庭系を外から電気刺激する方法―Galvanic Vestibular Stimulation(GVS)ーにより、重力情報が入力されないようにし、前庭−血圧反射をブロックするのです(図3)。

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図2 立ち上がり(左図)、および自由落下による微小重力(右図)に対する血圧応答。
前庭が正常なラットと前庭を破壊したラットの応答を比較しています。

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図3 耳の後ろに置いた1対の刺激電極を用いて、体表上から前庭を電気刺激します。
前庭電気刺激により、重力変化に基づいた前庭への入力が遮断されます。

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