宇宙でも植物はきちんと育つ!
図1B 人工重力下での栽培結果(28日目)
図1A 無重力下での栽培結果(28日目)
@乾燥状態で打ち上げられた種子は水をあげ始めてから3日後に発芽し、葉が開き、茎が伸びて開花、そして実が形成されました(図1A、1B)。また、宇宙で受粉が起こることも確認されました。人工重力(1G)下で育てたものに比べると、無重力下では茎の成長速度が早く、葉の老化が遅いことが初めて明らかになりました。重力のような機械的ストレスは、植物の成熟に関わるエチレンの合成を促進します。従って、機械的ストレスが小さい無重力環境ではエチレンの合成が抑制されて、その結果、葉の老化が抑制されたと考えられます。
A無重力下と、人工重力下でシロイヌナズナを32日間栽培し、どのような遺伝子が働いているかを測定しました。その結果、茎を支えるために重要な細胞壁に関わる遺伝子としてこれまで注目されていた16の遺伝子の内、1つの遺伝子の働きが無重力下で減少し、4つの遺伝子の働きが高まることが分かりました。
B地上あるいは軌道上の人工重力の環境と比べて、無重力環境下では、微小管変異体の茎が現われる時期が早く、それ以降の成長速度や成長量も大きいことが分かりました。また、このような茎の成長促進は、細胞壁が伸びやすくなったことが原因だと分かりました。
これらの結果より、重力に抵抗する際に微小管が細胞壁と協調して重要な役割を果たしていることが初めて明らかになりました。
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