先生のプライベートな一面もお聞かせ頂きたいのですが、ご趣味は。
「趣味と言えるかどうかはわからないけど、料理はよくやってますね。
2000年に大阪の大学を辞めて富山大に移ってから、ずっと単身で自炊をしてたんです。
今は家内と一緒に富山に住んでますけど。
で、5年ほど前かな、研究室の学生がなんかすごい弁当を作って持ってきたんですよ。
外食したり、弁当を買っていると、食費がかかってしょうがない、なんて言ってね。
それを見て、じゃあ、僕も挑戦してみるかなと思って、それから毎日弁当を作るようになりました。
料理というのは自然科学の実験と似ているんです。
どういう手順で作れば効率がいいか、頭の中でシミュレーションをして、下準備をする。
そして、手も実によく動かしますし、細かい配慮や経験則も必要です。
単身の時は1週間分の食料をまとめ買いしていましたから、冷蔵庫の中に何が入っているか常に頭の中にインプットされていました。
週の後半は、今ある食材をいかに無駄なく、いかにうまい組み合わせで使い切るか、それを考えるのも楽しかったですね」
得意料理は何ですか。
「得意料理ねえ。
富山の旨い魚をいかしたいろいろな料理に挑戦していますけどね。
ブイヤベースとか、スペインのパエリヤとか。
それと自家栽培の野菜はよく料理してますね」
野菜も育てていらっしゃるんですか。
「それが、ようやく念願かなって富山に家を建てましたので、畑を始めたんですよ。
今の季節だったら、キュウリ、トマト、ナス、大葉。
秋になるとチンゲンサイやアブラナなんかを作ります。
トマトやナスは、シーズン中は自給自足できるくらい採れますよ。
しかも無農薬で」
初めて収穫した時はうれしかったでしょうね。
「うれしいというか、なんというか、手痛い思い出がありまして。
実はね、野菜を作りだして初めて、ピーマンに一つ実がついたんです。
これは料理してやらなきゃいかん、と喜び勇んで二つに割ったら、中から大きなナメクジが出てきましてね(笑)。
やっぱり自然は厳しいと身をもって感じましたよ。
あなたもピーマンを料理する時は気をつけてくださいね。
まず穴が開いていないかどうかよくチェックして。
ナメクジが入っている可能性がありますから」
はい(笑)。
では最後の質問ですが、もし機会があれば宇宙に住みたいと思いますか。
「う〜ん、どうでしょうね。
確かに好奇心はそそられますが、国際宇宙ステーションに長期滞在すると、ビールが飲めそうにもないので(笑)。
昼間は研究して、夜は自分の作った野菜で一杯飲む、これがいちばん幸せですよ。
だから、僕はおとなしく、このまま地上で土に帰ることにします(笑)」
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