筋肉の衰えを抑えるヒントを得た 宇宙の無重力下におけるRNAiの効果
宇宙から持ち帰ったサンプルを東北大学、JAXAと、英国ノッティンガム大学とで共同で解析しました。その結果、3つの全く異なる遺伝子(線虫に遺伝子組換えした緑色蛍光タンパク質GFP、細胞増殖に必須のタンパク質、筋肉を構成するα-アクチンを分解する分解酵素)のそれぞれに対して、宇宙の無重力下においても地上と同様にRNAiが有効に使えることが確認できました(図1から3)。
将来的には、このRNAi技術を、宇宙飛行士の無重力下における筋肉の衰え(萎縮)を抑る対策のひとつとして利用する応用展開が期待されます。
図1 GFP遺伝子のRNAi効果
図3 α-アクチンの 分解酵素遺伝子asp-4とasp-6のRNAi効果
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図2 rbx-1遺伝子のRNAi効果
GFPが導入された遺伝子組換え線虫を用いて、GFP遺伝子ならびに細胞増殖に必須のタンパク質を構成するrbx-1遺伝子に対するRNAiをそれぞれ行ったところ、GFP RNAiでは線虫内のGFP蛍光シグナルが抑制され(図1)、rbx-1のRNAiでは初期胚の細胞核の異常な断片化が生じました(図2)。さらに野生型線虫に対して、筋肉を構成するα-アクチンの分解酵素である遺伝子asp-4とasp-6のRNAiを行ったところ、α-アクチンの分解が抑えられることを明らかにしました(図3)。
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