線虫は、大腸菌を餌として与えて生育します。
宇宙で線虫を生育させるために、線虫の幼虫と大腸菌をふたつに仕切られた培養バッグにそれぞれ入れ、スペースシャトルで打ち上げます。
スペースシャトルが国際宇宙ステーション(ISS)に到着したのち、宇宙飛行士が日本実験棟「きぼう」へ持っていき、バッグの仕切りを外します。
すると、線虫と大腸菌が混ざり合い、線虫が大腸菌を食べ始めます。
大腸菌を食べ始めた線虫は宇宙空間で次第に大きくなり、食べ始めから4日後には大人になって卵を産みはじめます。
ここで、一部の線虫を凍結して保存することで、宇宙滞在の第一世代(幼虫から大人になるまで宇宙で育ったもの)がサンプリングできます。
残った線虫については、さらに4日間餌を食べさせて、最後に凍結保存します。
このなかには宇宙滞在の第二、第三世代が育っており、最初の精子と卵子の受精から、初期発生を経て大人になるまでの全過程を宇宙で過ごしたものがサンプリングできます。
また、「きぼう」の実験室にある細胞培養装置の遠心機を用いることで、地上と同じ1Gの重力負荷をかける対照実験も行う予定で、より厳密な微小重力の影響をモニタすることができます。
凍結された線虫は、2010年2月に打ち上げ予定のスペースシャトルで地上に戻り、RNAiの有効性とともに、遺伝子とタンパク質の解析を行います。
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図1 CERISEの培養バッグホルダー
1ホルダーに培養バッグを15個収納することができる(合計4ホルダー使用)。
ホルダー両横のテザー(紐)を引き抜くことで、培養バッグに留めてあるピンが外れ、線虫に餌となる大腸菌が給餌される。
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図2 CERISEの培養バッグ
各培養バッグはピンで2つの部屋に仕切られている。
大きい部屋には線虫の餌となる大腸菌、小さい部屋には線虫が納められており、宇宙飛行士が軌道上でピンを外すことにより両方の液が混ざり、線虫の培養が開始される。
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