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「きぼう」での実験

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日米共同研究により長期宇宙滞在における眼球組織障害の軽減に人工重力負荷が有効であることが初めて明らかとなりました。~月・火星に向けた有人宇宙探査へのステップとなる「きぼう」小動物ミッションから得られた成果~

最終更新日:2018年9月 6日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

【概要】

  • 宇宙長期滞在において、宇宙飛行士の身体には微小重力による変化(異常)が引き起こされます。帰還後の視覚障害に至る眼球組織の障害はその1つであり、国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在や将来の有人宇宙探査に向け解決すべき重要な課題であると認識されています。
  • この原因究明や対策法確立を目指し、ISSにおいて多くの研究が進められていますが、眼球組織に対する重力の影響評価や分子レベルでのより詳細な解析データ蓄積のため、NASAとJAXAがそれぞれ重点的に進めている小動物(マウス)を用いた研究が有効と考えられます。
  • 特に、マウスへの重力の厳密な影響評価は、JAXAのみが有する軌道上で微小重力群と人工重力群の比較検証を行える環境を用いることで初めて可能となります。
  • ISSにおける貴重な宇宙実験機会をより効率的、効果的に活用し、その成果を最大化するため、日米協力の新たな枠組みとして「日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム(JP-US OP3)」が2015年に策定されました。本枠組みのもと、両国の協力による有人宇宙活動における共通課題への取組みとして、眼球組織障害の課題に対しマウスミッション初の共同解析が進められてきました。
  • その結果、JAXAの第1回小動物ミッション(2016年7月~8月に実施:35日長期飼育)において実施・取得した組織サンプルの日米共同解析により、微小重力群マウスで検出された網膜組織障害(細胞死といわれるアポトーシスやそれに関連するタンパク発現等)が、人工重力負荷の環境では軽減されることが明らかとなりました。
  • これまでの宇宙実験においてもマウスの眼球組織障害が報告されてきましたが、地上飼育群との比較であり微小重力以外の低線量放射線や打上げ/帰還時の加重力負荷などの影響を排除できませんでした。今回、JAXA独自の軌道上人工1G環境を活用したことで初めて、視覚系に影響を与える眼球組織障害が微小重力によるものであることが明らかとなりました。今後の解析によって更なる知見の獲得が期待されます。
  • この成果は、世界で初めて軌道上でのマウスへの人工重力負荷の影響を詳細に解析している、筑波大学 高橋智教授を中心とした日本の研究チームと、宇宙飛行による視覚系等へのストレス影響に関し多くの研究実績を有する米国の研究チームとの協力により初めて生み出されたものです。
  • これらの解析結果は、JP-US OP3の協力のもと進められた初の科学的成果として、オンラインジャーナル「International Journal of Molecular Sciences」で8月28日に公開されました。
  • 本成果を第1歩として、今後もJP-US OP3に基づき有人宇宙探査の進展に必要な解析データの蓄積などを日米共同で先導的に進めていく計画です。

【論文情報】

雑誌名:International Journal of Molecular Sciences

論文タイトル:Impact of Spaceflight and Artificial Gravity on the Mouse Retina:Biochemical and Proteomic Analysis

著者:Xiao W. Mao (1), Stephanie Byrum (2,3), Nina C. Nishiyama (1), Michael J. Pecaut (1), Vijayalakshmi Sridharan (4), Marjan Boerma (4), Alan J. Tackett (2,3), Dai Shiba (5), Masaki Shirakawa (5), Satoru Takahashi (6) and Michael D. Delp (7)

1) Department of Basic Sciences, Division of Biomedical Engineering Sciences (BMES), Loma Linda University School of Medicine and Medical Center, Loma Linda, CA 92350, USA

2) Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Arkansas for Medical Sciences, Little Rock, AR 72205, USA.

3) Arkansas Children's Research Institute, Little Rock, AR 72202, USA

4) Division of Radiation Health, Department of Pharmaceutical Sciences, University of Arkansas for Medical Sciences, Little Rock, AR 72205, USA

5) JEM Utilization Center, Human Spaceflight Technology Directorate, JAXA, Tsukuba 305-8505, Japan

6) Department of Anatomy and Embryology, University of Tsukuba, Tsukuba 305-8575, Japan

7) Department of Nutrition, Food and Exercise Sciences, Florida State University, Tallahassee, FL 32306, USA

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