このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。
<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。
5月12日に国際宇宙ステーションから地上に帰還したタンパク質結晶サンプルは、宇宙での結晶化状況を把握するため、米国から日本に持ち帰った直後の5月20日、21日に早速、結晶化容器の外部から顕微鏡観察を実施し、結晶生成状況の確認を行いました。JAXAが行った顕微鏡観察したタンパク質結晶の一部を速報でご紹介します。 今回のクイックな観察では、全体の7割弱のタンパク質で解析作業が可能と外観から判断される結晶が得られました。今後、得られたタンパク質結晶は研究者に順次渡され、SPring-8等の放射光施設を利用した解析作業に進みます。
代表研究者:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 裏出良博教授
筑波大学・裏出教授の研究グループは、遺伝子治療や再生移植治療以外に治療法が存在しないデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法を確立するため、製薬企業と協力しながら薬剤の開発を進めています。宇宙実験を通じて、標的タンパク質とその働きを阻害する化合物の詳細な構造データを取得することで、より副作用が少なく効果が高い薬を創り出すことを目指しています。
今回、製薬企業から提供された薬剤候補を搭載して詳細な立体構造を得るため実験を行いました。顕微鏡観察の結果、宇宙実験において複数のきれいな単結晶が得られました(下画像: 顕微鏡観察)。
代表研究者:岩手医科大学薬学部 阪本泰光助教
阪本助教らのグループは宇宙実験を通じて、タンパク質やペプチドを栄養源とする多剤耐性菌や歯周病原因菌の生育に重要なペプチド分解酵素の立体構造および基質認識機構をこれまで解明してきており、阻害剤候補化合物(薬の候補)の探索、合理的な開発を行うため、阻害剤候補化合物との複合体の立体構造解析を目指しています。
今回、宇宙実験で得られた阻害剤候補化合物との複合体結晶は地上結晶と比較して、大きく、外形の異なる結晶が得られており、これまでの地上研究で得られていない良好なデータの取得が期待できます(下画像)。
これらの成果は治療が困難な院内感染症の原因となる多剤耐性菌に対する新たな抗菌薬や歯周病治療薬の開発につながると期待されます。
代表研究者:東京大学大学院農学生命科学研究科 五十嵐圭日子准教授 実験者:立岡美夏子、石田卓也
セルロース(地球上に最も多く存在する生物由来資源)等の再生可能な生物資源(バイオマス)をアルコールや有機酸に変換し、そこからさらに様々な物質を製造する研究(バイオマス利用研究)が世界的に行われていますが、酵素による分解効率が低く、利用が困難なことが問題となっています。五十嵐准教授らのグループはこのバイオマス利用研究で最も注目されているセルロース(植物細胞壁の主要成分)を分解するセルロース分解酵素の触媒メカニズムの解析を進めています。
今回、宇宙実験で得られた地上結晶と比較して、非常に大きな結晶が得られており、これまでの地上研究で得られていない良好なデータの取得が期待できます(下画像)。
これらの成果は将来、バイオマスを再生可能エネルギーの原料や有用物質の生産原料として有効利用するグリーンイノベーションの一端を担うと期待されています。
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency | SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約 |