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「きぼう」日本実験棟において、生命科学分野『ES細胞を用いた宇宙環境が生殖細胞に及ぼす影響の研究(Stem Cells)』(代表研究者:森田 隆 大阪市立大学教授)の実験が開始されました。
「Stem Cells (ステムセルズ)」実験は、国際宇宙ステーション(ISS)にマウスの万能細胞の一種である胚性幹細胞(ES細胞;Embryonic Stem cell)を打ち上げて長期間冷凍保存し、その後、地上に戻してDNA切断や染色体異常、発生能力などを解析し宇宙環境の哺乳動物(マウス)細胞への影響を調べる実験です。この実験は人類の長期的な宇宙滞在による影響を把握する基礎データを得るとともに、生体に備わるDNA修復遺伝子の機能について明らかにすることを目的として実施されます。
この実験の試料であるES細胞を入れたサンプルケースは、米国の民間宇宙船ドラゴン補給船運用2号機(SpaceX-2)に搭載され、平成25年3月2日午前0時10分に米国ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、平成25年3月4日 23時52分、「きぼう」日本実験棟船内実験室にある冷凍冷蔵庫の冷凍区画に、Thomas Marshburn飛行士により保管されました。
Stem Cells実験では合計5セットのサンプルケースを打ち上げました。今後、3年間の間に経時的な変化を調べるために、1セットずつ5回に分けて回収する計画です。最初の回収はドラゴン補給船運用3号機(SpaceX-3)の予定です。地上へ回収したES細胞を使って、細胞の生存率、DNAの二重鎖切断、染色体異常などを調べます。さらにES細胞を受精卵に導入してマウス個体に発生させ、哺乳動物細胞に対する宇宙放射線の影響を総合的に解析する予定です。
なお、本テーマは「きぼう」船内実験室第二期利用に向けた候補テーマ募集(平成21年度実施)で選定されました。
Stem Cells実験のホームページはこちら
【代表研究者:森田教授のコメント】
今回の打ち上げに至るまで地上公募研究での研究期間も含めて約7年の準備期間が過ぎ、やっと本当の宇宙実験が始まりました。今まで手元にあったサンプルが本当に宇宙に行ってしまったということで打ち上げそのものを見ても感無量でした。これから、さらに3年以上の実験が続きますが、宇宙放射線の哺乳動物への影響を慎重に正確に解析していくことが、我々の使命であると考えています。
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