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宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発し、国際宇宙ステーション(ISS)の「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)外部に搭載した微小粒子捕獲実験及び材料曝露実験(MPAC&SEED)において、これまでにない鉱物学的特徴を持つ新種の地球外物質(「Hoshi(※1)」と命名)を回収したことが判明しました。
今回、惑星間塵(※2)や微隕石(※3)と成因的な関係があり、かつ、今までに見出されていない組織と鉱物組成を持つ微小粒子を発見したことは、世界初となります。
このことは、まだ我々が手にしたことのない鉱物学的特徴を持つ始原的な地球外物質が存在していることを示しており、太陽系誕生の初期の時代に何が起きたかを解明するための新たな手掛かりとなります。
分析結果については、学会誌"Earth and Planetary Science Letters"に昨年掲載されましたが、この度、成果を日本鉱物科学会年会で発表しますので、お知らせいたします。
微小粒子捕獲実験及び材料曝露実験(MPAC&SEED)は、微小粒子を捕獲する装置(MPAC)と材料を宇宙環境に曝す実験装置(SEED)から構成されます。
MPACは、近年問題視されているスペースデブリ(宇宙ごみ)及びマイクロメテオロイド(微小隕石)を捕獲し、その起源や存在・分布量を把握することを目的としています。またSEEDは、宇宙曝露環境下で使用される宇宙機用材料の耐宇宙環境性の評価や劣化メカニズムを解明することを目的としています。
MPAC&SEED実験装置は、微小粒子を捕獲することを目的に2001年にISSのズヴェズダ外部に設置され、2002年から2005年にかけて3回に分けて試料を回収したのち、様々な観点から分析を行ってきました。
このうち、2005年に回収されたシリカエアロジェル(※4)に捕獲されていた、大きさ30ミクロン程度の微小粒子について、茨城大学(野口高明教授)との共同研究による分析の結果、始原的な隕石を特徴付けるコンドルール(※5)様物体であるものの、既知のコンドルールには見られない鉱物学的特徴(※6)を持つことがわかりました。
それと同時に、分析結果では、「Hoshi」に含まれる鉱石(カンラン石や輝石)の酸素同位体比(※7)は、これまでに地上や大気圏で得られた惑星間塵、微隕石及びヴィルト第2彗星塵(※8)に似ていました。
この両者の特徴を兼ね備えた物質は未だに発見されていません。即ち、今までに知られている地球外物質とは違う小天体起源の物質と考えられます。
惑星間塵や微隕石に「Hoshi」と似た鉱物学的特徴が見出されていないのは、大気圏通過時あるいは地上における分解・風化が原因という可能性があります。
このことは、ISSにおけるサンプル収集が、地球外物質をそのままの状態で捕獲するという観点で、非常に重要な役割を果たしていることを示しています。
MPAC&SEED実験装置は、その後、ISSの「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームに搭載されており、2010年に試料が回収されています。シリカエアロジェルで捕獲された微小粒子について分析が進められており、今後も、太陽系誕生のなぞに迫る新たな発見が期待されます。
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