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「きぼう」での実験

Kibo-ABC定例会/JAXA 小型衛星放出機構(J-SSOD)エキスパートとのトークセッション

最終更新日:2016年5月27日


自国における「きぼう」利用実現を目指すイニシアティブKibo-ABC(アジア9ケ国)は、協働簡易実験の企画や各国の情報共有の目的のために毎月定例Web会議を開催しています。

今年からは、定例会のメニューに「きぼう」利用のミニワークショップとした「きぼう」運用に関わるエキスパートとのトークセッションをJAXAの協力のもと行っています。



Kibo-ABCの月例ウェブ会議の様子

今回のトークセッションは、アジア諸国で関心が高まっている超小型衛星の打上げミッションの創成に向け小型衛星放出機構(J-SSOD)を利用した打上げプロセスについて、JAXA高田正弘 主任開発員がスペシャリストとしてトークセッションに参加しました。

高田主任は初期段階の「きぼう」の開発から携わりJ-SSODのハードウェアの開発をリードしました。J-SSODの初期段階の開発完了後はJ-SSODユーザーインテグレーターを担当し、J-SSODでの豊富な知識と経験を蓄積しているエンジニアです。(アジアによるJ-SSODを利用した小型衛星ミッションとしてはフィリピンDIWATA-1など)

今年からは、定例会のメニューに「きぼう」利用のミニワークショップとした「きぼう」運用に関わるエキスパートとのトークセッションをJAXAの協力のもと行っています。

中野フライトディレクタ(FD)とのトークセッション(英語)
市村FDとのトークセッション(英語)




DIWATA-1の打上げサイトへの輸送準備の様子

J-SSODとその仕様、実例紹介と、今後予定されている衛星放出ミッションの概要、打上げプロセスにおけるJ-SSODユーザーの役割と責任、準備スケジュールなどを説明しました。Kibo-ABCコミュニティはJAXAと協働しこのような特別な機会を得て役立てることができます。

今後Kibo-ABC各参加国からの新しい小型衛星ミッションの創成が期待されます。

Q&A
トピック1: 衛星放出機会提供サービス全般


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JAXAとユーザーのそれぞれの役割と責任

Q. 打上げ放出費用を詳しく教えてください。(ベトナム)

A. J-SSODサービス料金(打上げ及び放出)

1U / 3,000,000円

2U / 6,000,000円

3U / 8,000,000円

50Kg 級 / 104,000,000円


超小型衛星の放出機会提供(有償利用)

Q. J-SSODではキューブサットをコンステレーションで放出できますか? 一度に何基のキューブサットをコンステレーション用に放出できますか?(マレーシア)

A. はい、J-SSODで可能です。現在は、3~6基のキューブサット(1U)を同時に放出できます。JAXAでは18基のキューブサットを放出できる高度なJ-SSODを検討しています。


Q. 宇宙物体の登録の責任者は誰ですか? (マレーシア)

A. 登録はユーザー(衛星開発者)の責任となります。JAXAの責任ではありません。


Q. 6Uキューブサットを利用できるようになるのはいつからですか? (シンガポール)

A. 6Uキューブサットの開発計画は定められていませんが、6Uサイズのキューブサットが主流になりつつあるため、JAXAではこの計画を議論する予定です。


Q. J-SSOD利用がより低コストでより安全な方法として大学に対しても商業的にオープンになりますか? (オーストラリア)

A. アジア/太平洋の大学はJAXAと契約している日本の大学と提携すれば、J-SSODを利用できます。JAXAはKibo-ABCメンバーにJ-SSODの利用に必要な情報を提供できます。



トピック2: ISS/「きぼう」からの衛星放出に関する質問:軌道高度、軌道上寿命など

Q. 打上げ後、ISSから小型衛星を放出する場合、衛星はISSに数か月間保管される可能性があります。その段階での衛星の周囲の環境はわかりませんが、衛星に何らかの影響があると思われます。特に、低温によりバッテリーが消耗します。この段階の環境や期間について、詳しい情報が公開されることを希望します。(ベトナム)



A. 小型衛星はISSキャビン内の貯蔵ロッカーに放出まで保管されています。ISSキャビンは加圧されており、室温では貯蔵環境は衛星に影響をおよぼしません。バッテリーについては、バッテリーの消耗を防ぐために貯蔵期間を調整できます。


Q. 軌道高度380~420 kmで100~250日の軌道上寿命は50 kg級の衛星には短すぎます。将来的にこの耐用期間を延ばす計画がありますか? (ベトナム)

A. この100~250日の軌道上寿命は、1U~3Uのキューブサットの場合です。50kg級の衛星の軌道上寿命は1~2年です。放出された衛星の高度はISSより高くしてはならないため(衝突を防ぐため)、軌道上寿命を延ばすために、より高い軌道に衛星を放出することは困難です。


Q. J-SSODは特定の位相分離(同じ軌道面で120度で3衛星または90度で4衛星など)でコンステレーション放出をサポートしますか? (シンガポール)

A. いいえ、 J-SSODではできません。


Q. J-SSODではキューブサットを赤道付近の軌道(NEqO)に放出できますか、それともISSの軌道に完全に依存しますか? (マレーシア)

A. J-SSODではISSの軌道にのみ放出できます(衛星の放出速度は約1.5m/秒のみで軌道調整装置は装備されていません)。


Q. J-SSODでは正の+⊿V(増速)による正の仰角で放出して、キューブサットがより高い高度を獲得するようにできますか? (質問の意図は、50kg級の超小型衛星が軌道への放出後に推進装置で50kgの衛星の近地点がISSの近地点より高くなるところまで高度を上げることができるかということです。これにより50kg級の衛星の長い軌道寿命が保証されます。)(シンガポール)

A. いいえ、現在、J-SSODでは安全上の理由からISSより低い高度でしか放出できません。


Q. J-SSODから推進装置付きの衛星を放出できますか? (フィリピン)

A. 電気推進装置は使用できますが、化学推進装置は毒性の問題によりできません。
 
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