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国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年10月8日(木)、第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)決勝大会を「きぼう」船内実験室で開催しました。
本競技会は、日米協力のもと、アメリカ航空宇宙局(NASA)の協力を得て行う宇生向けの国際的なプログラミング競技会です。参加する学生たちに、宇宙開発やロボットのプログラミングなどの工学的スキルだけでなく、チームワークやチャレンジ精神、創造的探究心を育むことを目的としています。
決勝大会では、各国・地域の予選を勝ち抜いた、日本を含むの7つの国と地域の代表チームの学生がオンラインで参加し、シミュレーション環境でのプログラミングスキルの高さによる順位を競うとともに、実際に作成したプログラムを使って「きぼう」船内ロボット飛行結果による順位を競いました。その結果、日本代表チームHypernovaがプログラミングスキルの部門で優勝し、インドネシア代表チームSpacecatが特別賞(飛行結果の部門)を受賞しました。
今回のKibo-RPCには、オーストラリア、インドネシア、日本、シンガポール、台湾、タイ、アラブ首長国連邦からの313チーム、1168名の学生にご参加いただきました。また、オブザーバとして参加したバングラデシュの学生も加えると、全部で361チーム、1340名の参加者となりました。
今回の競技会にご参加いただいた皆様、また競技会の開催に向けて支援していただきました皆様、誠にありがとうございました。第2回のKibo-RPCの開催も来年予定していますので、ぜひ次回もご参加ください!
なお、決勝大会の詳細報告は、以下をご覧ください。
決勝大会には、2020年6月上旬頃各国/地域で行われた予選を勝ち抜いた1チームずつが、各国/地域の代表として参加しました。今回は残念なことに新型コロナウイルス感染拡大の影響で日本チーム以外の参加者は筑波宇宙センターに来ることができず、Web会議ツールを使用したリモートでの参加となりました。しかし、参加者は自身が作成したプログラムによってISS船内で実際にAstrobeeが動く様子を見て、とても興奮し、楽しんでイベントに参加しました。
今回の決勝大会を迎えるにあたり、NASAエイムズ研究センター(ARC)のAstrobeeチームとJAXAで、一連のAstrobeeの軌道上動作確認を実施してきましたが、軌道上Astrobeeの自己位置推定に懸念点が残ったままの開催となってしまいました。飛行に失敗した場合、その原因が参加者のプログラムによるものなのか、Astrobee本体によるものかを明確に区別できない状況であったため、プログラミングスキルの評価はシミュレーション環境によって順位付けを行い、軌道上での飛行結果による評価として特別賞の表彰を行いました。
決勝大会ではまず、開会式としてイベントのMCを務める山崎直子宇宙飛行士、解説員の東京大学中須賀真一教授、油井亀美也宇宙飛行士、東京大学柳田幹太さん、NASA/ARC AstrobeeチームのJose V Benavidesさんより挨拶が行われました。その後、決勝大会に出場するチームの紹介ビデオと挨拶を放送しました。紹介ビデオは、自国の紹介、プログラム作成の様子や戦略など様々な内容が盛り込まれており、各チームでとても特色がありました。また挨拶では、この大会に参加できることへの喜びや決勝大会への期待を思い思いに話していただきました。
軌道上ではNASAのChris Cassidy宇宙飛行士が既に準備を進めており、準備が整った後、開会の挨拶をもらいました。その後、予選成績順に各チームのプログラムを用いたAstrobeeの飛行を行いました。
Astorobeeの飛行ではミッションを完遂できるチームもあれば、残念ながら途中でAstrobeeが自己位置を失い制御できなくなった場合やミッション制限時間の10分になりタイムアウトしたチームもありました。しかし、どのチームもとても工夫を凝らしたプログラムを作成していました。Astrobeeの飛行経路は障害物に見立てた侵入不可領域(KOZ:Keep Out Zone)を避けた飛行をさせる必要があり、いち早く次のポイントに移動できる経路や最小限の動きで移動できる経路など、各チームとも様々な経路を辿って飛行を行っていました。また、通常であればAstrobee前面のカメラでQRコードの読み取りを行いますが、方向転換を最小限にするために後面のカメラを使用するチームもありました。
途中、Astrobee本体のシステムエラーが発生し、飛行がうまくいかない場面がありましたが、JAXAのKibo-RPC技術サポートスタッフとNASA/ARC Astrobeeチームの懸命な復旧作業によりエラーは解消し、無事全7チームがAstrobeeの飛行を終えることができました。
順番 | チーム名 | 国/地域 |
---|---|---|
1 | won-spaceY | タイ |
2 | Spacecat | インドネシア |
3 | 999-IN-SPACE | アラブ首長国連邦 |
4 | Hypernova | 日本 |
5 | Taipei Fuhsing Robotics Omega | 台湾 |
6 | GALENVEX | オーストラリア |
7 | Moonmen Group | シンガポール |
軌道上でのイベントが終了した後、結果発表セッションへ移行しました。まずはプログラミングスキル賞(Programming Skills Award)として、シミュレーション環境でのプログラムの動作解説を踏まえて発表が行われました。3位はインドネシア代表Spacecat、2位はアラブ首長国連邦代表999-IN-SPACE、優勝は日本代表Hypernovaが受賞しました。見事優勝したHypernovaのプログラムはターゲットへの的確なレーザー照射だけでなく、ミッション完遂時間がとても短かったことが特徴的であり、勝利を掴むことができた要因でした。
次に軌道上のAstrobee飛行で最も優秀な動作を行うことができた、特別賞(Best Achievement Onboard Award)の結果発表を行い、見事インドネシア代表のSpacecatが受賞しました。Spacecatのレーザーは的のかなり近くに照射されましたが、惜しくもターゲットの円の外側であったためターゲットへの照射となりませんでした。2位のTaipei Fuhsing Robotics Omega(台湾)の飛行結果とは僅差でしたが、両チームともレーザーがターゲットから外れていたため、より早くミッションを完遂したSpacecatの勝利となりました。
軌道上Run成績一覧 | 順位 | 国/地域 | クラス | ミッション終了時間 | 点数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | Spacecat | インドネシア | A | 190.2秒 | 53.89点 |
2 | Taipei Fuhsing Robotics Omega | 台湾 | A | 201.6秒 | 52.38点 |
3 | GALENVEX | オーストラリア | C | 201.5秒 | - |
4 | won-spaceY | タイ | D | 23.3秒 | - |
5 | 999-IN-SPACE | アラブ首長国連邦 | D | 66.7秒 | - |
6 | Hypernova | 日本 | D | 98.3秒 | - |
7 | Moonmen Group | シンガポール | E | - | - |
本大会は約5時間に渡る長いイベントとなりましたが、参加者の皆さんからのコメントによると、最後までとても楽しんで参加されたようです。多くのスタッフの方々のご協力、そして最後まで諦めずにプログラムの作成を行っていただいた参加者の皆さんの努力により第1回Kibo-RPCを完了することができました。このイベントを通して学んだこと、経験したことが参加者の皆さんにとって将来の良い糧となることを願っています。
第1回Kibo-RPCには、オーストラリア、インドネシア、日本、シンガポール、台湾、タイ、アラブ首長国連邦からの313チーム、1168名の学生の皆様に参加いただきました。また、オブザーバとして参加したバングラデシュを加えると、361チーム、1340名の参加者となりました。
参加いただきました皆様、またサポートしていただいた皆様、誠にありがとうございました。第2回Kibo-RPCの開催も予定していますので、ぜひ次回もご参加ください!
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