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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

星出彰彦宇宙飛行士

星出宇宙飛行士の作業状況(2012年9月11日)

SSRMSに把持された「こうのとり」3号機と(右から)星出、アカバ、ウィリアムズ宇宙飛行士(7月27日撮影)(出典:JAXA/NASA)

SSRMSに把持された「こうのとり」3号機と(右から)星出、アカバ、ウィリアムズ宇宙飛行士(7月27日撮影)(出典:JAXA/NASA)

9月10日、星出宇宙飛行士は、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の国際宇宙ステーション(ISS)からの離脱に向けた準備作業を主に実施しました。

星出宇宙飛行士は、ジョセフ・アカバ宇宙飛行士とともに、ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)による「こうのとり」3号機の取外しと放出に向けた準備として、DOUG(Dynamic Onboard Ubiquitous Graphics)と呼ばれるSSRMSの動きを模擬する訓練用のソフトウェアを使用して、1時間の訓練を行いました。「こうのとり」3号機のISSからの離脱は、9月12日に予定されています。

また、「こうのとり」3号機の補給キャリア与圧部にNASAの再突入データ収集装置(ReEntry Breakup Recorder: REBR)を取り付けるためのブリーフィング資料と映像を確認したほか、ISS船内の廃棄品を「こうのとり」3号機に搭載する作業を約3時間にわたり実施しました。この作業は、最新の廃棄品リストを参照し、地上の担当者と進捗状況を確認しながら行われました。

作業終了後、星出宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船(30S)の帰還に向けた準備として、米国の回収品を事前に梱包する作業を行っていたサニータ・ウィリアムズ、アカバ両宇宙飛行士に加わりました。30Sの帰還は、9月16日に予定されています。

実験に関する作業では、NASAの「食事摂取から予想・予防できる宇宙飛行中および回復期間の骨代謝の変化(Pro K)」実験の一環として、食事で摂取した食べ物の記録や、尿の採取およびpH測定、採血を行う5日間にわたるセッションを開始しました。今回は星出宇宙飛行士にとって3回目のセッションとなります。

そのほか、自身の情動状態(Profile of Mood Status: POMS)についての実験で、アンケートに回答し、地上にデータを送信しました。POMSは、市販もされている一種の心理情態に関するテストで、緊張・抑うつ・怒り・活気・疲労・混乱の6因子が同時に測定できるテストです。

また、筑波宇宙センター(TKSC)の宇宙ステーション総合推進センター(Space Station Integration and Promotion Center: SSIPC)との打ち合わせのため地上と交信しました。

断りの無い限り、日時はISSでの時間(世界標準時 (日本時間-9時間))です。

【コラム:US EVA18とUS EVA19を振り返って(その2):歯ブラシの活躍】

8月30日に実施された船外活動(US EVA18)の後、9月5日に追加された船外活動(US EVA19)では、電力切替装置#1(Main Bus Switching Unit #1: MBSU#1)のボルトの問題の解決に向けた様々な方法を地上の対策チームで試し、万全の準備を行った上で臨みました。

コラム:船外活動の舞台裏
コラム:US EVA18とUS EVA19を振り返って(その1)
軌道上で製作された船外活動用工具

軌道上で製作された船外活動用工具(出典:JAXA/NASA)

星出宇宙飛行士らは、US EVA19の前に、地上からの指示に従い、軌道上にあるものをかき集めて4種類の新しい船外活動用工具を製作しました。ユニークなものが「Toothbrush Cleaner」で、文字通り歯ブラシを流用して作りました。「Wire Brush Tool」はワイヤーブラシをピストル型パワー・ツール(Pistol Grip Tool: PGT)の先端に取り付けられるよう改造したものです。いずれも簡単な作りですが、船外の厳しい熱環境に耐えられるようテープを巻いて保護し、地上の真空チャンバで高温・低温、真空環境に耐えられることも試験して確認しました。また、2種類の「Bolt Tool」は、MBSUと同じボルトを使っていた機器からボルトだけを外してレンチを取り付けられるようにした工具です。

US EVA19では、まず「Wire Brush Tool」をPGTの先端に取り付け、MBSU#1のボルトを受ける支柱の内部に付着した金属粉をゆっくりと回転させながら除去し、窒素ガスを噴射してさらに吹き飛ばした後、宇宙の真空環境でも使用可能なグリース(潤滑剤)を塗布した「Toothbrush Cleaner」で潤滑しました。その上で、ボルトを受ける支柱に「Bolt Tool」をねじ込み、規程の回転数まで回るかどうかを手作業で確認しました。確認の結果、4回転ほどできつくなりましたが、回らない状況ではなかった(ボルトを約4回転したところで摩擦が増大することが確認されましたが、そこを過ぎると問題なかった)ため、「Bolt Tool」を抜き、もう一度潤滑を加えたボルトを通した後、本番のMBSU#1のボルトの締結に挑み、見事に成功しました。

船外活動を行う星出宇宙飛行士と「きぼう」日本実験棟(出典:JAXA/NASA)

船外活動を行う星出宇宙飛行士と「きぼう」日本実験棟(出典:JAXA/NASA)

実は、今回のUS EVA19では、ボルトとボルトを受ける支柱の清掃と潤滑に入る前、前回のUS EVA18で仮固定してあったMBSU#1の取外し時にボルトが外れず、ボルトが折れるかもしれない覚悟でトルクをかけて外すことに挑戦し、無事成功したという状況にも遭遇していました。軌道上で急遽製作した手作りの工具がうまく機能したこと、そして、真空環境下でも使えるグリースがISSに保管されていた(2007年に発生した太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)における摩擦の増大の問題に対応した際に使用され、その後は標準的に使われるようになっていた)ことなど、いくつかの努力と幸運がうまく機能した結果でした。

仮にMBSU#1の取付けが成功しなかった場合は、ISS船内に回収してボルトを外し、更に追加の船外活動を行ってボルトなしでMBSU#1を設置する対応策も用意されていましたが、その案を採用せずに済んだのは、軌道上のクルーと地上の運用管制チームの努力の成果でしょう。

このように、US EVA18とUS EVA19では様々な困難が軌道上のクルーと地上の運用管制チームの前に立ちはだかりました。これらの問題を見事に解決できたのは凄いと思われるかもしれませんが、米国やロシアは、長い有人宇宙活動の歴史の中で、このような緊迫した状況を何度も切り抜けてきました。日本も今回、有人宇宙活動の分野で貴重な経験や知見を得たことになります。何らかの問題が発生した時、伝えられるニュースはごく短いものであることが多いのですが、その裏側で起きていることは簡単なことではないという一端を、一連のコラムで少しでもお伝えできたでしょうか。

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