微小重力環境の「ライナスの毛布」 -Security Blanket-
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4-1-b 「バルーン型(ピロー型)」ツールのデザイン、制作、提案
無重力体験飛行でのゴム風船を用いた実験をもとに、比較的柔らかな物体に「しがみつく」「かかえる」等の体勢で使用するタイプのものをいくつかのバリエーションを含め製作した。無重力体験飛行での実験で用いたゴム風船(直径約90cm)は、可搬性や収納性に優れ、使用意図も充分満たすものであったので、当初同様の素材による形態のバリエーションを計画したが、諸処の理由により断念した。そこで、可搬性や収納性の制約を離れ、様々な外皮素材、充填素材と形態の組み合わせによる触感のバリエーションのサンプリングを主眼とした試作品の製作を行った。

*「ライナスの毛布の触手」:映像資料の分析により、微小重力状態に戸惑う宇宙飛行士が船内壁や装置の把手に触れてほっとした表情を見せていることから、身体が自己より安定した何かに触れている=つながっていることが心身の安定性において重要であると考え、物体と船体を簡易につなぐ伸縮性のジョイント部を新たに附与することも試みた。この「触手」は、バルーン型の試作だけでなく、ブランケット型の小型マケットにも取り付け、その効果を探った。

A バルーン型 (Yellow Arm)
素材:
    ニット布
    緩衝材
サイズ:
    W960mm x D600mm x H600mm, 触手L1600mm

実験で用いたゴム風船と同等のサイズの長球形をしている。「しがみつく」体勢での使用を想定。また、本体から伸びる長い1本の触手状の形態は、本来無方位的であるバルーン形に方位性を追加すると同時に、この部分の先端を船内壁に結び付けることで本体を船内定位置にとどめるために利用したり、素材の伸縮性を生かした遊び等の用途も想定している。
YellowArm01.jpg YellowArm02.jpg
B ピロー型 数種
素材:
    フリース布
    緩衝材
サイズ:
    B-1(赤豆型マケット) W46mm x D22mm x H20mm
    B-2(赤豆型) W100mm x D50mm x H45mm
    B-3(サンドバッグ型) W880mm x D330mm x H330mm

バルーン型に比較して細身の形態であり、「かかえる」「だく」体勢での使用を想定している。大小幾つかのサイズ、ポケットのあるもの等をバリエーションとして製作した。部分的に異なる色彩を使用し、微小重力環境での方位性に対する参照軸としての要素を含めている。
redbean01.jpg redbean02.jpg
SBpillow01.jpg SBpillow02.jpg
C ヒト型
素材:
    競泳用水着 (ポリエステル75%、ポリウレタン25%)
    緩衝材(発泡粒)
サイズ:
    W650mm x D250mm x H1400mm

競泳用水着を裏返し細かな発砲粒を内部に充填した。触感サンプルとしての理由から競泳用水着素材に注目すると同時に、外形が抽象的である他のタイプと比較しヒト型であることに由来する心理的効果にも注目した。
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