ICE-FIRSTプロジェクトで使用された実験装置と宇宙実験スケジュールを紹介いたします。
KUBIK(ロシア語で立方体のこと)は小型の培養装置です。ISS完成後は軌道上常設の大型培養装置が利用できるようになりますが、これを待たずに生物実験を行うため、ESAによって開発されました。
一辺が390mmの立方体で、ISS船内およびソユーズ宇宙船内のどちらでも使用することができます。培養温度は、6℃から37℃まで1℃間隔で制御可能です。KUBIK には、AMBERとTOPAZの2種類があります。外観と温度制御能力は同じですが、次のような特徴を備えています。
種別 | 特徴 | 搭載可能な培養容器数 |
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AMBER | 遠心器が組込まれていて、微小重力実験と軌道上人工重力対照実験が実施可能 | 微小重力用16個、遠心器用8個 |
TOPAZ | 微小重力実験のみが可能 | 35個から40個 |
CNES Dr. Michel Viso提供 |
EC-1は90mmx58mmx24mmのアルミ製直方体のケースです。これまで約20年間、広範な宇宙生物学の実験で使用されてきた実績があります。
ICE-FIRSTプロジェクトでは、軌道上で培養したC. elegansを生きたままで地上に回収する実験用に、通気性のあるEC-1と培養バッグを利用しました。
培養バッグはC. elegansにたいして毒性がなく、かつ酸素透過性のある樹脂のフィルムで出来ています。
ICE-FIRSTでは、EC-1にC. elegansを浮遊させたCeMM培地を封入した培養バッグを詰めて、KUBIKに収納しました。培養量は2.5mlと5mlを使い分けましたが、EC-1には合計40ml分までの試料を収納することができます。
CCAは、10mlの培養容器とそれに酸素供給が可能な材質の隔壁で仕切られた約17mlの空気室から出来ています。軌道上実験の途中で、容器の外側にあるネジを回すことにより、器具内部の化学固定剤(ICE-FIRSTではホルムアルデヒド)入りのカプセルが破かれ、軌道上でC. elegansを固定した状態にして回収することができます。