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土井宇宙飛行士軌道上イベント
科学技術庁長官と交信 NHK共同企画番組 軌道上記者会見

11月26日(日本時間)飛行7日目、土井宇宙飛行士は谷垣科学技術庁長官と交信を行いました。

五代宇宙開発事業団副理事長 谷垣科学技術庁長官 土井宇宙飛行士

:土井君、スパルタンの回収と宇宙ステーションの訓練操作など、船外活動なども無事に終了して、ホッとしていると思います。今後も無事に作業が終了して皆さんが無事に地球に戻ってくるということを祈っています。それでは、東京で谷垣大臣がお待ちになっておられますので、宇宙飛行や船外活動などについてお話をして下さい。谷垣大臣、五代でございます。今、スペースシャトルで土井宇宙飛行士が待機しておりますので、どうぞお話し下さい。

:科学技術庁長官の谷垣です。聞こえますか?

:谷垣大臣、よく聞こえます。土井隆雄です、よろしくお願いします。

:どうぞよろしくお願いします。船外活動の御成功おめでとうございます。土井さんの12年間の御苦心が実ったと思いますが、今のお気持ちはどうですか?

:大変うれしく思います。クルー全員、本当に一生懸命働きましたし、地上の人たちとの協力も得て本当に巧く船外活動とスパルタン衛星を捕まえることができて、ほんとにホッとしています。

:船外活動は日本人として土井さんが初めておやりになったわけですが、スペースシャトルから外に出るときの気持ちというのはどんなものでしょうか?怖くないですか?

:怖さは全くありませんでした。本当に自分でも信じられないくらい落ち着いていました。ハッチを抜けて丁度外に出たときは、私が見たのは暗黒の宇宙でした。地球はそのとき丁度、シャトルの下の方にあったんですね。

:非常にスリリングな体験だったと思うんですが、それに今度初めに計画されていなかったスパルタンを捕まえるというミッションが加わりましたんですよね。これは大変難しいお仕事だったんだと思うんですが、それをやるというときの気持ちはどんなでした?

:はい、スパルタン衛星をみんなでしっかり捕まえようと全員で決心していましたから私自身、スパルタン衛星を本当に捕まえるということを確信して、船外活動を実施していました。

:なるほど。この回収の訓練もされていたようですけど、実際とだいぶ感じは違いましたか?

:はい。訓練はNASAのジョンソン宇宙センターの無重量施設を使って2回行っていましたので、手順などははっきりしていたのですけれど、実際、衛星を宇宙で捕まえる感じと、それから水の中で訓練中に衛星を捕まえて動かすというのはかなり違いがありました。

:衛星を捕まえたときの感じはだいぶ重い感じがあるのでしょうか?

:はい、宇宙では重さはないんですけど、質量があります。スパルタン衛星自体は約1トン位の重さがありますから、やはり捕まえたときにはですね、やはり少しずつ動い  ているので、圧力というか、動きを止めるのに結構、力が必要でした。

:衛星をつかむまでに、スコット宇宙飛行士と待っておられたわけでありますが、その間、どんなことを考えておられましたか?

:1時間以上待ってましたけれど、いろいろなことを考えていました。特に考えていたことはまず、スパルタン衛星、いろんな姿勢をしている可能性があったので、こういう姿勢の時にはどこを掴んで捕まえようかとか、そういうことをまずいろいろ考えていました。それ以外に、やはり宇宙空間、特に大宇宙が背から丁度頭の上に広がっていましたので、それを見ながら、自分の存在とか大宇宙、どこまで無限に広がっているのかと、そういうことを思いめぐらしていました。

:なるほど。衛星を固定する作業がだいぶ難しかったようですけど、予想とはだいぶ違いましたか?

:はい、実際少し問題があったですね。というのは、私たちが身体をその、スパルタン衛星を固定しているMPESSというストラクチャがあるのですけれども、構造物があるんですけど、その上に私たちが立っていたんですが、その上に立つために使う補助  的な道具があるんですが、これが少し高すぎたために私たちがスパルタン衛星をMPESSの構造物の上に固定しようとしたときに、その補助的な道具が邪魔してしまって、うまくスパルタン衛星を固定することができなかったんです。それで結局、スペースシャトルのアームを使って、スパルタン衛星をシャトルのペイロードベイに固定することになりました。

:クレーン操作は、映像で見ているとかなり楽々となさっていた感じがするんですが、如何でしたでしょうか?

:ええ、本当にクレーン操作は非常にスムーズでした。私も驚いたほどで、地上でいろいろ動かしたときよりも宇宙でそのクレーンを動かした時の方が本当に楽々に動きました。皆さん、設計者の人たちも非常に喜んでいることと思います。

:良かったですね。船外活動ですけれどもね、いろいろと訓練を積み重ねておられたにしても、やっぱり出ていって気持ちのゆとりというものはあるんでしょうか?

:船外活動を実際にやってみると、やはり地上との訓練でかなり違いがありました。特に、最初に出たときには、やはり、宇宙空間にまだ身体がなれていないということで、それに、慣れてですね、この自由に無重量状態の中で動き回るということを学ぶの   に結構時間がかかりました。特に水の中では水の抵抗があるために身体が安定して、また、逆に動きづらいんですけど、宇宙に来ると、水の抵抗がないために動きやすいんですけれども、逆に今度は身体が不安定になりやすくなってしまうんですね。そう  いう意味で自由に宇宙空間で動き回るのにやはり、それを習得するのにかなり時間がかかりました。

:日なたの部分と日陰の部分で200度以上の温度差があると聞いておりますが、それは宇宙服でうまく調整できているんでしょうか?

:宇宙服自体、非常に良くできていまして、私自身着ておりまして、昼間と夜の温度差は、自分自身ではほとんど全く違いは感じませんでした。一度だけ、スパルタン衛星を待っているときに夜が来たんですけれど、手首の先端がやはり非常に冷たく感じられる時がありました。それ以外は、非常に宇宙服の温度調節機能っていうのは優れていますから昼、夜の温度差は全く着ている本人には感じることはありません。

:あと、1週間ほどあるわけですけど、これからまだまだ活動が続く、そのことについて御抱負はおありですか?

:はい、これからいろいろと微小重力の材料実験、今もミッドデッキで行われていますけれども、これを主担当でやることになっていますので、まだまだ、これから忙しい時間が続きます。それ以外にはやはり自分の好きな星の観測とか、地球の観測、また実際、今回はクレヨンを持ってきてますので、それを使ってスケッチなどをしてみたいと思っています。

:今日は3時間ほど自由時間があったと聞いておりますが、その間は何をなさっておられました?

:今日、3時間ほど自由時間があったんですけれども、実際、私たちは昨日の船外活動の後始末というか、船外活動に使った服をきれいにしたり、それのバッテリに充電したり、それから昨日の船外活動についての報告を書いたりして、その仕事につぶれて  しまいました。

:スケッチなどもこれからですね。それでひとつ伺いたいのはですね、土井さんの活躍、スコット飛行士と2人のチームワークの映像が日本で大きく流れているわけですけれども、土井さんのそういうお姿を見て、憧れて自分も後に続きたいという人が出てくるのではないか、それを期待しているわけですが、後進へのアドバイスというのがありましたら何かお願いします。

:はい、私自身、子供の時に持った夢を忘れないでその夢を実現するためにずっと頑張ってきました。それが一番自分にとってもやりたいことだったし、やって楽しいことだったので、それで自分の夢を追求することができたということが今の自分を作っていると思います。ですから、今の若い人たち、自分のやりたいことをガンガン追求していってもらいたいと思います。

:ちょっと、また元に戻りますが、あれだけ8時間近くも外で動いておられると、地上でいえば、重いものを動かしたりするわけですから、疲労困憊されるものと思われるんですが、あの間はどんな感じでしたか?

:実際、船外活動を7時間と45分続いたんですけれども、ハッチに帰ってきたときはそれほど疲れは感じていませんでした。ただし、少し船外活動では手の動く操作が多いんですね。それで、ハッチに帰ってきたときは殆ど左手の握力はゼロに近い状態でした。それ以外は本当に元気でした。

:お腹は空きませんでしたか?

:きっと興奮していたんでしょうか、お腹は空きませんでしたけれども、私たちが宇宙服の中に持っている水があるんですけれどもその水は全部飲んでしまって、殆ど空っぽの状態でした。

:相当、汗はかくものですか?

:そうですね。実際、宇宙服で活動していると、軽いジョギングをずっと続けているような状況になっていますので、かなり、汗をかきます。ただ、その宇宙服の中は湿度が常に調整されているので、汗をかいたという感じはないんですが、常に、やはり動いていますので、汗をかいています。

:土井さん、いろいろ興味深い話、ありがとうございました。土井さんとスコットさんが船外で、チームワークよく仕事をしておられる姿を見ますと、私は真善美を求める  人間の良い姿を本当に見せていただいたような感動を覚えたんです。土井さんの姿が  ですね、若い人たちに夢とフロンティアに対する憧れをかきたててですね、土井さん  に続く人をあとからどんどん続いてくることを心から期待します。土井さんを始め、  皆さんが元気で地球にお帰りになって、そしてまた、土井さんを初め、みなさんにお目にかかるのを楽しみにしています。どうか、皆さんによろしくお伝えをいただきますようにお願いを致します。ありがとうございました。

:どうもありがとうございました。


Last Updated : 1997.12. 2


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