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スペシャルインタビュー 【那須先生編】 vol.1


那須教授


水は貴重な資源。 通潤橋は、農業用水や飲料水を供給するための水道橋として1854年に完成した。(熊本県山都町にて)

先生は環境微生物学がご専門ですが、なかでも水環境中の細菌に興味をお持ちのようですね。

「身近な例から話を始めたいんですが、欧州から輸入されるナチュラルミネラルウォーターには細菌が何個くらい入っていると思いますか? あれ、無菌じゃないんですよ。 1ccに約1万個。 500mlのペットボトルだったら、およそ500万個の細菌がいることになります。 というのも、欧州では、ナチュラルミネラルウォーターの加工を一切認めていないんです。 ただ地下水をくみ上げて、ボトル詰めするだけ。 自然の環境には、細菌がいて当たり前なんですね。 じゃあ、どうして僕らが安心して飲めるかというと、それは徹底的な細菌検査が行われていて、安全な細菌しかいないことを確認しているためです」

安全な細菌と危険な細菌があるんですか。

「細菌というと、大腸菌O-157やサルモネラ菌、それに細菌兵器なんかを思い浮かべて、なんとなく怖い感じがするでしょう。 だけど、世の中にある細菌のほとんどは悪いことをしないんです。 その証拠に、ミネラルウォーターと一緒に500万個の細菌を飲み込んでも、僕らの体はどうってことないでしょう。 悪いことをしないどころか、人間のためにいいことをしてくれる細菌もいます。 納豆を作るバチラス・ナットウとかね」

日本でも、半世紀くらい前までは普通に井戸水を使っていましたよね。 当時の水には危険な細菌はいなかったんでしょうか。

「今の日本では、赤痢という言葉を知らない方のほうが多いかもしれませんが、第二次大戦後、昭和30年くらいまでは、たくさんの子どもが赤痢にかかって命を落としました。 それが今やほとんど聞かなくなりましたね。 なぜでしょう。 水道が普及したこと、そして井戸水などの、水の検査を徹底したからです。 きちんとした上水道のシステムが整ったことで、この病気を克服できたということです。 ただ、残念なことに、世界に目を向けると、まだ毎年100万人以上が赤痢で亡くなっていると見積もられています。 水の問題に取り組むことは、昔も、今も、そしてこれからも大きな課題であり続けるでしょうね」



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