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2010年5月15日

このページでは、JAXA・金沢大学・東京医科歯科大学ほかの機関で結成されたFish Scales研究チームがどのように宇宙実験の準備を進めているか、そのほんの一部ですが、準備の様子を紹介していきます。 Fish Scalesとは、英語で「魚の鱗(ウロコ)」の意味です。 この実験では、キンギョのウロコを使います。 Dome Geneでフライト実績のある、容器や器具をウロコ用に改良して使うことになりました。 器具や手順を何度も試しながら、研究チームが一丸となって本番の宇宙実験を成功させるべく準備をしました。 国内では、ウロコを容器に詰める作業を、米国では器具に薬剤を詰める作業をそれぞれ実施しました。 そして米国に運んだ容器を打ち上げ状態に組み立て、NASAに引き渡しました。 Fish Scalesの容器と器具を載せたスペースシャトルSTS132は、2010年5月14日(米国東部夏時間)、フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられました。

国内でのフライトサンプル準備
2010年2月に実施したリハーサルを踏まえて、4月末から打ち上げ本番用の宇宙実験の準備を開始しました。 東京医科歯科大学にて、打ち上げ用の試料を準備をしました。

正常ウロコをキンギョから取る作業。

作業の後に記念撮影。 キンギョから正常ウロコをとるために集結した「ウロコ倶楽部」のメンバーです。

宇宙用の容器へ再生ウロコを収納して容器を組み立てる作業。 緊張感のある作業が続きます。

射場作業(米国作業)
スペースシャトルの打ち上げ射場のあるケネディ宇宙センターでは、ウロコを薬剤処理するため器具の最終確認と器具への薬剤の注入を行いました。

器具に薬剤を注入する様子

輸送
日本で準備したウロコ入りの容器を冷蔵状態を維持しながらケネディ宇宙センターまで輸送しました。 ケネディ宇宙センターの実験室で、輸送後のウロコ入り容器の包みを開く千代田アドバンストソリューションズ株式会社の吉馴さん(左)。 ウロコの状態を確認する共同研究者の富山大学・田渕先生(右)。


NASAへの引き渡し
準備を整えた容器と器具をスペースシャトルに積み込んでもらうために、NASAに引き渡しました。 ウロコ入りの容器は冷蔵のまま、その他の器具は常温で国際宇宙ステーションまで運びました。 ウロコ入りの容器を、冷蔵を長時間保つことのできる保冷材入り断熱バッグに丁寧に詰めました(左)。 常温で輸送する器具の名前と番号を慎重に確認し運搬のためのバッグに詰め込みました(右)。


おわりに
今回のスペースシャトルは通算132回目の打ち上げです。 スペースシャトルアトランティスは32回目の飛行。 アトランティス自体の飛行としてはこれが最後です。
5月14日、カウントダウンと歓声が響く中、午後2時20分、晴れた青い空にオレンジ色の閃光と白い水蒸気の煙を吐き出しながら、天に昇る竜のように勢いよく上がって行きました。 タンクのオレンジ色とシャトルの白、炎と煙、そのはっきりとした色のコントラストが青い空に映え、素晴らしいものでした。 私たちの実験を載せて、予定通り打ちあがってくれたことにホッとすると同時にこれから始まる実験を思い、気を引き締めました。 この実験はきぼうの細胞培養装置で培養された後、同じアトランティスで帰還する予定です。
アトランティス、宇宙で培養したウロコを載せて、無事戻ってきてください。

Photo By Shigenori Yoshinari

(文責:JAXA宇宙環境利用センター 矢野幸子 やのさちこ)


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