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スペシャルインタビュー vol.3


使い方によっては生活に恩恵をもたらしてくれる放射線。 この実験で、生体に対する放射線の効用も解明されるかもしれない。

放射線の生物影響についてはどのくらい研究が進んでいるのでしょうか。

「生物影響の研究といっても、遺伝子、染色体、細胞、組織、個体と実にさまざまなレベルがあります。 それぞれのレベルで少しずつ進んでいるとはいえますね。 なかでも、たくさんの人のデータを集めて統計処理を行い、病気を引き起こす可能性を調べる疫学研究の分野は相当進んでいます。 ただ、DNAレベルでのメカニズム研究となると、どんな遺伝子や修復酵素が関与しているかなど、まだまだ解明の糸口が見えてきたかどうか、という程度ではないかと思います」

放射線はやはり怖いものなのでしょうか。

「もちろん怖い面もありますが、使い方によっては私たちの生活に恩恵をもたらしてもくれますね。 大切なのは、ちゃんとした知識をもって科学的に怖がることだと思います。 生命の進化に放射線が関与してきたという歴史もありますし、ラジウム温泉なんか有名ですが、わずかな放射線を浴びた場合にはかえってよい影響を及ぼすことさえあります。 たとえば、放射線ホルミシス研究というのがあって、放射線を遮断した場合と放射線にさらした場合の2つの環境で植物を育ててやると、放射線にさらした方が生育がよくなるんです」

今回の実験では、そうした放射線のメリットにも焦点をあてるのですか。

「実は、それも考えています。 あらかじめ微量の放射線を照射しておくと、後からくる大きな刺激(放射線も含めて)に対して、染色体異常の発現が少なくなる、という現象があります。 これはもう十数年も前に明らかになったことで、これまでにさまざまなかたちで追試がなされており、私も関心をもってみてきました。 今回の実験では、宇宙から戻ってきた細胞に大きな刺激、この場合は染色体を切断するという処理をして、それが修復される度合いを調べてみる予定です」



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