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イネは言ってみれば「生もの」なので、試料をあつかううえでのご苦労も多いでしょうね。

「イネの種子は寒天培地に植えつけた状態で低温保存しますので、何週間も置いておくことができないんです。 ですから、シャトルの打上が延期された場合に備えて、打上がいつ行われてもいいように日々新鮮なバックアップを準備しておく必要があります。 苦労といえば、そうした地道な作業でしょうか」

種子を植える作業は射場であるケネディ宇宙センター(KSC)で行うのですか。

「はい、KSCの実験室です。 打ち上げるのは1200粒ですが、さきほど言いましたとおり、打上待機中はバックアップ用として毎日1200粒を準備します。 これが私たち研究チームの日々の日課となります」

1200粒だなんて大変ですね。 具体的にどういった作業を行うのですか。

「四角いプラスチック容器に寒天培地が入っていまして、そこにちょっと切り込みを入れるんです。 その切り込みに種子を差し込むような感じで植えていきます。 ピンセットを使って、すべて同じ方向を向くように植えるんです。 容器1個に25粒の種子が入りますので、48セット作るとちょうど1200粒になります」

宇宙実験というと壮大なイメージがありますが、実際は地道な作業が多いのでしょうか。

「そうですね、特にこうしたライフサイエンス系の実験は、ほとんどが地道な実験だと思います。 私たちがやっていることは、地上で行う普段の実験とあまり変わらない、というのが実際のところです。 ただ、地上では微小重力環境を長時間にわたって作り出すことはできませんから、宇宙が非常に貴重な、得がたい環境であることは間違いありません」

宇宙実験ならではのご苦労は。

「普段から実験をやっている私たちのような人間が宇宙で実験するわけではないので、どうしても制約がでてきてしまいます。 宇宙飛行士にやっていただく作業の手順や作業にかける時間など、いろいろな面で。 込み入った作業をともなう複雑な実験はできませんので、比較的シンプルな内容になってしまいますね。 だから、本当はもっとやってみたいこともあるのだけど、どこかで理想と現実の接点を見出さなければならない。 そのへんが宇宙実験の難しさであると感じました」



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