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研究をしていて、若林先生が楽しいと思うのはどんな時ですか。

「非常に単純なんですが、やはり植物が育っていくのを見るときでしょうか。 今回の実験では、光を入れずに暗黒条件下でイネを育てるんです。 今までに何度も予備実験を行いましたが、培地に植えた種子をプラスチック容器に入れ、4日目にふたを開けたときにちゃんと育っているのを見ると、もうそれだけでうれしくなります。 何度やってもそうなるので当たり前と言ってしまえばそれまでなんですが、毎回ふたを開ける前には、どんなふうに育っているかワクワクしますね」

ご自分の予想通りの結果がでたときなどもうれしいでしょうね。

「もちろん、自分なりに予想をたてて実験をして、実際にそれを裏付ける結果がでたときには『やった!』とガッツポーズしたくなります。 反対に、予想と異なる結果がでたときは、びっくりしてちょっとショックを受けたりするんですけど、でも、どうしてそうなったんだろうと冷静に考えてみると、まったく別の視点が開けてきたりして。 それがまた別の研究の糸口になることもあるので、どんな結果がでても面白いです」

子どもの科学離れが取り沙汰されて久しいですが、そうした科学の面白さをもっと多くの人と共有できたらいいですね。

「そう、基本的に科学ってすごく楽しいものなんですよ。 身の回りにもなぜだろうって思うこと、たくさんありますよね。 知りたくて知りたくてしょうがないから、それが何の役に立つかわからないけどとにかくやってみる、そんなところからスタートしてもいいんじゃないでしょうか」

研究室の学生さんに対しては、そうした点を考えながら接していらっしゃるのですか。

「研究室の方針はいろいろあると思いますが、私の場合、頭ごなしにこれをやれということはありません。 ある程度の指針や目的を伝えたうえで、あとは学生自身が実際に手を動かしていくなかで工夫できるようにしています。 最近の学生は、すべてを自分自身でやるより、いちいちああしなさい、こうしなさいといわれる方が楽なのかなと感じることがよくあります。 指示待ち人間とでも言うんでしょうか、ちょっと寂しいですよね。 もしかしたら、ものすごい創造性をもっているかもしれないものを、そのまま眠らせておいてはいけない。 それをなんとか引き出す、別の言葉で言えば学生がみずから自分のオリジナリティを発見できるようにする、それが重要だと思っています」



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