このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。

<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。

サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

「きぼう」での実験

2014年国際公募ライフサイエンスおよび宇宙医学分野の国際宇宙ステーション利用実験テーマ募集の候補テーマ選定結果

最終更新日:2015年4月28日

2014年に募集したライフサイエンス国際公募において、日本の宇宙実験候補テーマとして2課題が選定されました。


宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)において日本以外の実験装置を利用した生命科学実験や、ヒトを対象とする実験の機会を活用するため、2014年に国際的に実施されたライフサイエンスおよび宇宙医学分野の国際公募に参加し、2014年2月から2015年3月にかけてテーマの募集・選定を行いました。

国内からは、23課題の応募があり、アメリカ、ヨーロッパ、カナダの応募課題とともに国際評価パネル及び国内の外部委員会等で選考評価を受けた結果、以下の2課題が候補として選定されました。今後、2016~17年頃の宇宙実験の実施を目指し、1年程度をかけて実施内容を具体化し、宇宙実験を実施するテーマを最終確定する予定です。

2014年国際公募 候補テーマ

選定テーマ名 微小重力環境下での哺乳類初期胚の発生能について
Early mammalian embryogenesis under microgravity in space
代表研究者 山梨大学生命環境学部生命工学科
若山 照彦
テーマ概要

 地球上の生物が、宇宙で正常に生殖可能なのかについては、これからの宇宙活動において重要な課題である。しかしながら胎盤を作って母体の子宮内で成長する哺乳類は、その特殊な生殖手段と飼育の難しさから宇宙での生殖実験はほとんど行われていない。擬似微小重力再現装置(3D-クリノスタット)を用いた地上研究では、マウス初期胚は胎盤への分化が抑制され、出産率が大きく低下してしまう結果が出ている。
 本提案は、長期安定した「きぼう」の微小重力環境下を用いて、哺乳類初期胚の発生能を調べる野心的な実験である。凍結したマウスの2細胞期胚(*1)を、きぼうの微小重力環境下で解凍し、一定期間培養する。遺伝子発現が変化する2細胞期胚に着目し、培養期間中に、この2細胞期胚が地上と同じような細胞分裂をしながら胚盤胞(*2)まで発生が進むのか、その場合胚の発育速度は正常なのか、胎児側と胎盤側への細胞分化が正しく起こるのかなどを軌道上で蛍光顕微鏡観察を行って調べる。宇宙実験後には、地上に回収した試料を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い、宇宙で発生させた胚の正常性を明らかにする。
 これにより、これまで明らかでなかった微小重力環境下での哺乳類初期胚の発生に関する知見を得、初期発生における重力の必要性を明らかにする。

*1 2細胞期胚 :受精後1日目で、最初の卵割を行って2つの細胞に分かれた段階の胚。
*2 胚盤胞 :受精後4-5日目で32-64細胞まで増えた胚。胎児側と胎盤側への最初の分化が起こり、胚の内部に腔が生じる。

選定テーマ名 宇宙滞在中の液体生検による血漿中核酸のゲノム・エピゲノム解析
~cfDNA等を用いた低侵襲体内モニタリングに向けて~
Genome and epigenome analysis of circulating free DNA and RNA-based liquid biopsy
代表研究者 筑波大学 医学医療系 ゲノム生物学
村谷 匡史
テーマ概要

 本提案では、国際宇宙ステーション滞在中に採取された宇宙飛行士の血液サンプルを用いて、体内組織の状態をモニター可能な「血漿による生検サンプル採取」を行い、セルフリーDNA(cfDNA(*1))とRNA(cRNA(*2))のゲノミクス解析を行う。これにより、細胞のゲノムDNAの状態や、宇宙放射線や微小重力といった宇宙環境がもたらす後天的な遺伝子の働きの変化(エピゲノム変化)を明らかにする。
 現在、ヒトを対象としたエピゲノム解析は、国際宇宙ステーションでは行われておらず、骨や筋肉の変化に関して新たな知見が得られる可能性が高い。また、日本では小動物(マウス)を用いた宇宙環境における遺伝子解析実験が進行中であり、マウス実験のデータと本提案で得られるヒトサンプルのデータの相互比較により、マウスとヒトで共通して起きる現象を知る手がかりを得ることも検討する。
 血漿中のcfDNAとcRNAを用いることで、体内組織の生理状態を比較的少量の採血で解析できる。このため、特定の遺伝子をバイオマーカー(指標)として定義できれば、宇宙飛行士に起きる環境応答のモニタリングが可能になるとともに、その成果を宇宙滞在や老化にともなう骨や筋肉の変化をサポートする医薬品の開発等に活用できる。

*1:cfDNA:血中等の生体液に遊離した細胞外(cell-free)DNA。
*2:cRNA:血中等の細胞外のRNA。サーキュレーティング(circulating)RNAと呼ばれる。

 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約