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NASDA(現JAXA)は、2001年3月から約8ヶ月間にわたり、国際宇宙ステーション(ISS)の「デスティニー」(米国実験棟)に、NASDA(現JAXA)が開発した実験装置「中性子モニタ装置(Bonner Ball Neutron Detector: BBND)」を搭載してISS船内の中性子の計測を行いました。BBNDは、日本がISSに搭載する初めての実験装置です。
2001年年12月17日にSTS-108により回収され、ISSで初となる貴重な中性子計測データが得られました。
中性子計測実験は、NASAの有人研究(Human Research Facility: HRF)プロジェクトの一環として行われます。NASDAは、HRFプロジェクトに本実験装置をもって参加し、国際パートナーに取得データを提供し国際貢献を図るとともに、ISSでの有人宇宙活動に必要となる宇宙放射線被曝管理技術の向上に資するための基礎データとして活用します。
HRFプロジェクトとは、ISSにおいて宇宙環境が人間におよぼす影響について、広く研究を行う国際共同プロジェクトで、ISSでの宇宙放射線計測、神経医学、宇宙心理学の実験が計画されています。HRFプロジェクトには、米国を中心として、日本、ドイツなどの大学や国立研究機関が参加しています。
宇宙放射線計測の研究では、2001年3月から、ISSの米国実験棟で、NASDA(現JAXA)のBBNDによる船内中性子環境計測のほか、ドイツ航空宇宙研究所(DLR)の船内荷電粒子環境計測(DOSMAP)、NASAの人体模型による臓器線量計測(TORSO)が行われました。
BBNDは、STS-89でスペースシャトルに搭載した中性子モニタ装置ディテクタユニットに、計測データを処理・制御・記録するためのコントロール装置をとりつけて、計測データを記録できるように開発したものです。計測データは約1週間に一度の頻度でまとめて地上へ送信されます。本装置で、約8ヶ月間という長期にわたり、ISS船内の中性子エネルギースペクトル(分布)を計測しました。
BBNDの主な仕様
BBNDは、ISSに搭載された日本として初めての装置です。2001年3月米国実験棟に搭載され、11月の計測終了までNASAと共同で、太陽活動が活発な極大期に相当する約8か月の船内中性子環境計測を実施しました。等価線量当量(各組織や臓器の局所的な被ばく線量)の平均を年に換算すると34mSv/年となりました。これは、地上において自然環境から受ける等価線量当量の約14倍に相当します。
また、実験期間中には多くの太陽フレアが発生し、2001年11月に発生した太陽フレアとそれに伴う地球磁気の乱れが、ISS内部の放射線環境にも影響を与えました。太陽フレアによって大量の太陽放射線が放出され、さらに地球を放射線から守っている地磁気が乱れたことから、この太陽フレアの影響によって等価線量当量が、0.19mSv増加したことが分かりました。これは、地上で自然環境から受ける等価線量当量の約1ヶ月分に相当します。しかし、BBNDの約8か月の実験期間中の全等価線量当量に対するこの太陽フレアの影響は1%以下でした。
また、計測環境を模擬したシミュレーションを行い、実測値との比較を行うことにより宇宙放射線被ばく管理技術が向上しました。
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