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※日付は日本時間
11月11日夜、「きぼう」日本実験棟で実施されていた、植物を使用したはじめての長期生育実験(SpaceSeed)※1が終了しました。
※1 微小重力環境における高等植物の生活環
(代表研究者:神阪盛一郎 富山大学客員教授、大阪市立大学名誉教授)
SpaceSeed実験は、シロイヌナズナという植物を用いて、種子から発芽し、次の世代の種子がとれるまでの一連のサイクル(ライフサイクル)に対する重力の影響を調べるもので、シロイヌナズナの生育の様子を地上から観察するとともに、宇宙で収穫した種子や植物体を冷蔵や冷凍で持ち帰ります。
本実験は、9月10日に開始され、植物実験ユニット内で62日間シロイヌナズナを生育し、11月11日(水)午後8時9分に終了しました。その間、33日目に実施した短期収穫を含め、発芽から収穫までを行いました。
収穫された植物は、「きぼう」にて冷凍・冷蔵保存され、来年地上へ回収される予定です。
ライフサイエンス実験では、同じ環境下でのコントロール(比較対照群)を持つことがデータの信頼性と解析にとって重要となります。生命現象を見るのに、0G(微小重力)と1G(重力)での反応を比較することが、重力影響を調べるために非常に重要という意味です。
本実験では、2ヵ月もの長期にわたって微小重力実験区と人工重力実験区を比較しながら植物を生育させました。このような宇宙実験は初めてのことです。これまでの2週間程度のシャトル実験では達成できない種類の長期実験であり、国際宇宙ステーション(ISS)の特色を生かした実験と言えます。宇宙飛行士の作業と装置の自動運転とを組み合わせて、2ヶ月間の生育実験を最後まで実施できました。装置内部に設置した植物生育用の照明、給水、換気システム等を維持し続けることができ、植物は発芽し、成長し、花が咲き、莢(さや)が確認できました。
装置運転に関しても、温度・湿度制御に関するデータを取得することができました。細胞培養装置の温調機能と植物実験ユニット内の温度補償ヒータを用いて、実験期間を通じて植物の最適温度である目標温度に保つことができ、宇宙で莢ができたことが画像から確認されました。このことは宇宙でも植物の生育環境が適切に制御されたことを意味しており、技術的にも重要な成果になります。このようなデータは、将来的に宇宙で植物を栽培する上での貴重なデータとなります。
実験中、植物実験ユニットが一時的に停止するなどトラブルにも見舞われましたが、地上運用要員と宇宙飛行士の連携、および地上からのコマンドで実験を再開することができました。
回収した植物体で細胞壁関連酵素の分析や、植物体の形態を詳細に観察したり、宇宙生まれの種子が地上生まれの種子と異なるかどうか、発芽率などをみる試験を地上で行う予定です。
【代表研究者 神阪盛一郎教授のコメント】
今年4月初めに筑波宇宙センターで植物実験ユニット内の栽培容器に種子を播種してケネディー宇宙センターに輸送し、播種した種子を4月末に現地で確認し、NASAに合計8個の植物実験ユニットを預けて帰国しました。
植物実験ユニットは8月28日にスペースシャトルSTS-128で「きぼう」に運ばれ、9月10日に給水することによって実験を開始しました。9月13日に発芽が確認された時には正直ほっとしました。
それから2ヶ月、シロイヌナズナは花を咲かせて莢を作り、種子も作ったようです。これから地上に回収されたサンプルの解析が楽しみです。
最後に、「きぼう」で実験を実施してくれたストット宇宙飛行士と、筑波宇宙センターの支援スタッフの皆様の昼夜にわたる働きに感謝します。
SpaceSeed実験紹介ページ:微小重力環境における高等植物の生活環
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