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「きぼう」での実験

光触媒の素材などに使われる多孔質材料の機能向上を狙う、新しい材料"ナノスケルトン"を作成する宇宙実験が終了しました。

最終更新日:2010年3月15日

※日付は日本時間

「きぼう」日本実験棟の細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)を使用して実施する、「微小重力環境でのナノスケルトン作製」(ナノスケルトン実験)が終了しました。今後、ナノスケルトン作製時の重力の影響を評価し、宇宙で得られたような最高特性に近いナノスケルトンを地上で製造する条件を突き止めて、光触媒等の製品製造への貢献を目指します。


3月12日(金)午後4時54分、「きぼう」日本実験棟で実施していたナノスケルトン実験が終了しました。

ナノスケルトンは、光触媒開発に用いられる多孔質材料の機能向上を狙った新しい材料カテゴリの名称です。ナノスケルトン実験では、対流や浮上・沈降のない静かな環境が維持される微小重力の中で、チューブの細孔(筒状の穴の部分)のサイズを大きくしたナノスケルトンの作製を行います。

実験試料回収までの主な流れは以下のとおり。

  • 2月8日(月) スペースシャトル「エンデバー号」(STS-130ミッション)で実験試料打上げ
  • 3月1日(月) 野口宇宙飛行士が実験準備(実験試料の解凍など)を実施
  • 3月2日(火) 野口宇宙飛行士が実験試料の攪拌・混合を行い、午後8時25分頃から実験を開始
  • 実験中は実験データや実験画像の取得を実施
  • 実験開始3日目(3月5日)と10日目(3月12日)に反応を停止させて実験を終了
  • 実験試料は、山崎宇宙飛行士が搭乗する予定のスペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-131ミッション)で回収予定

今回「きぼう」で取得した高い特性を有することが期待されるナノスケルトンと地上で重力影響を受けた状態で作成したナノスケルトンとの比較を行い、ナノスケルトン作製プロセス中の重力影響を精緻に調べます。
また、計算機を駆使したシミュレーションに実験結果を取り込み、地上実験で最高特性に近づける製造条件を提案し、環境浄化やエネルギー問題解決につながる光触媒等の製品製造への貢献を目指します。

3月5日に取り出した3日間実験用の試料

3月5日に取り出した3日間実験用の試料

透明の試料バックの中で実験試料(酸化チタン溶液、界面活性剤、油)を反応させナノスケルトンを作製した。試料バックの白くなっているところがナノスケルトンが生成した部分。


ナノスケルトン実験紹介ホームページ
 
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