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油井宇宙飛行士と一緒のソユーズ宇宙船(7月23日打上げ)で「きぼう」に運んだタンパク質サンプルが、「きぼう」での宇宙実験を終えて、油井宇宙飛行士よりも一足早く、9月12日に地上に帰還しました。宇宙で結晶化したタンパク質サンプルは、14日には既に日本に戻っており、これから解析作業が始まります。
油井宇宙飛行士も、軌道上から自身がタンパク質結晶生成実験を担当したことを振り返り、「微小重力で高品質なたんぱく質結晶を作る実験。私達の乗るソユーズで打ち上がり、私がまるで赤ちゃんを扱うかの様に優しく、心を込めてサンプルを扱い、先日ソユーズで一足先に地球へ帰りました。新薬の開発など大きな成果が期待されている分野です。」と発信しています。
タンパク質結晶は、地上に帰還後直ちに共同実験の相手先であるロシアの研究機関でJAXAに引き渡されました。今回、ロシア関係者から今回の宇宙実験の結果に対する期待が寄せられています。
今回も予定通り実験装置の回収に成功し、技術的な面も含めて全て問題なく実施できたことを喜ばしく思います。実験結果は、今後、得られたタンパク質結晶の解析が進む中で明らかになってくると思うが、実験結果が科学研究や産業界に新たな成果をもたらすことを期待している。
タンパク質実験はISSプログラムの中でも重要な実験だと考えている。なぜなら、科学研究だけではなく応用利用としての側面もあるため、研究者に限らず一般社会に対しても貢献できる可能性があるからである。
JAXA PCG実験は半年に1回という最適な頻度で実験を実施できており、この定期的かつ安定的な実験は、ロシアによるソユーズ・プログレスの多頻度打上げ、及び日本による確実かつ迅速な実験準備・実験遂行のたまものである。
世の中のタンパク質は数万種類に及ぶと聞いている。今後も日本とロシアの協力、並びにエンジニアと研究者の融合によりJAXA PCG実験は続いていくと確信している。
回収したサンプルから、タンパク質結晶の構造解析を進める予定です。JAXAとRoscosmosの協力により、構造解析作業をSPring-8(日本の大型放射光施設)で行いますが、これはロシアの科学プログラムにとって重要なポイントです。
今回、回収したタンパク質の種類は、バイオテクノロジーや創薬研究に使用する蛋白質であり、インヒビター(阻害剤)との組み合わせで得られた結晶の解析結果は、"tailor-made"酵素のデザインのために使われます。将来、このような酵素を改良することによって、AIDSやガンなどの治療に著しく効く新しい医薬品も開発できることになります。
また、化学療法、臓器移植の際に選択的細胞免疫不全の状態に変換する必要な酵素も搭載しました。このタンパク質をターゲットとした有効なインヒビターの開発は化学療法、臓器移植における緊急課題の一つです。
このプロジェクトによって良い成果を得られることを期待しています。
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