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「きぼう」での実験

メダカの顕微鏡観察実験を「きぼう」で実施しました

最終更新日:2014年2月17日

生命科学実験テーマ『メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析』(MEDAKA実験)(代表研究者:工藤明 東京工業大学大学院生命理工学研究科教授)を、「きぼう」日本実験棟の蛍光顕微鏡を使用して実施しました。


観察容器に入ったメダカはプログレス補給船(54P)に搭載され、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から2014年2月6日午前1時23分(日本時間)に、ロシアのソユーズロケットにより打ち上げられました。

その後、若田光一飛行士が観察容器を蛍光顕微鏡にセットし、2月7日未明から2月14日まで顕微鏡観察実験が行われました。

宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで長期間生活すると、骨の量が著しく減少することが知られています。これは、新しく作られる骨の量と、役割を終え血液中に吸収されていく骨の量のバランスが、微小重力環境ではくずれ、生成される量の方が少なくなるためと考えられています。微小重力環境では、この、骨の量を減らす働きをする細胞(破骨細胞)が活性化するために、このような現象が起こるものと考えられていますが、まだ基本的かつ重要なことはわかっていません。

宇宙においてメダカを用いて破骨細胞の状態を解析することで、これまでに見えていない骨代謝の新しい機構が明らかになる可能性があります。この成果は、皮質骨の骨量低下が見られる老人性骨粗鬆症の新たな治療法開発へのきっかけとなることが期待されます。

本実験は、メダカを用いて骨代謝のメカニズムを解明するために、2012年10月から約2ヶ月間にわたって行われた長期飼育実験に引き続いて、短期蛍光観察実験として行われたものです。実験では、破骨細胞あるいは骨芽(造骨)細胞で特異的に蛍光を発するトランスジェニックメダカの稚魚を、「きぼう」の蛍光顕微鏡で観察しました。


【代表研究者 工藤教授のコメント】

メダカの稚魚の骨の様子を、4種類のトランスジェニックラインを作成し、観察しています。一週間の連続観察の今日は5日目で、造骨と破骨の細胞の様子が生きたメダカで観察でき、感激しています。特に宇宙で私達の期待に一生懸命応えているメダカに感謝しています。


【「きぼう」で撮影された顕微鏡画像】

2014年2月10日撮影 対物レンズ10倍
(写真提供:東工大 工藤教授)

<明視野画像>

<蛍光画像>

骨代謝が活発な咽頭歯を支える骨(枠内)に注目。黄色部分が破骨細胞と骨芽細胞。赤色は骨芽細胞のみ。

MEDAKA実験の詳細はこちらをご覧ください。

 
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