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「きぼう」日本実験棟の流体物理実験装置(FPEF)を使用して実施する、マランゴニ対流実験*の1テーマ目が終了しました。
マランゴニ対流実験では、シリコーンオイルという液体で大きな柱(液柱)を作り、液柱内部の流れの変化や、それに伴う温度分布の変動を調べます。
その第5シリーズとなる今回の実験は、平成24年6月26日より実施しておりましたが、平成25年2月25日に行われた実験をもって、予定した実験がすべて終了しました。
また、これにより、1テーマ目の実験もすべて終了しました。
本テーマでは以下の5つの実験シリーズが行われました。
シリーズ | 実験概要 |
---|---|
第1シリーズ | シリコーンオイルという液体で大きな柱(液柱)を作り、その内部の流れを調べる実験を行いました。 |
第2シリーズ | 対流のパターンの変化(定常流から振動流への変化)や液柱表面の流速を定量的に調べる実験を行いました。 |
第3シリーズ | 直径5cmの液柱を作り、液柱サイズや粘性が対流に与える影響を観測しました。 |
第4シリーズ | 液注の温度差を大きくし、対流を強くすることにより発生する様々な流動パターンの対流および温度分布の観察などを行いました。 |
第5シリーズ | 直径5cmの液注を用い、臨界点から数倍大きい高マランゴニ数条件までの対流遷移過程の観察や、様々な条件下での粒子集合構造(PAS:Particle Accumulation Structures)の発生の確認などを行いました。 |
現在、それぞれの実験で得られたデータについて、解析作業を行っています。
同じくマランゴニ対流実験として実施されている2テーマ目の「マランゴニ対流における時空間構造(Marangoni UVP/MaranGogniat)」(代表研究者:依田眞一・JAXA宇宙科学研究所教授)と、今後実施が予定されている3テーマ目の「高プラントル数流体のマランゴニ振動流遷移における液柱界面の動的変形効果の実験的評価(Dynamic Surf)」(代表研究者:鴨谷康博・ケースウェスタンリザーブ大学教授)とともに、液柱内マランゴニ対流現象の解明において、多くの新しい科学的知見と成果を得ることが期待されます。
MEISの最初のPIを勤めさせて頂いた、河村です。
このマランゴニ対流実験(MEIS)が,最終日を迎えたと言うことで、本当に感慨深いものがあります。この実験は、「きぼう」の最初の科学実験として始まったので、実験初日の2008年8月22日は、絶対に失敗できないという決意のもとで、早朝からの実験に望みました。宇宙センターに向かう車の中から見えた真っ赤な朝日が、いまも鮮やかに思い出されます。幸い当日は皆様のおかげで順調に実験をスタートすることが出来、その後も、気泡の発生や液柱の分離、スケジュールの柔軟な変更、ISS昼間の実験などなど、むずかしい問題を、運用の方々の力強いご協力のおかげで解決しながら、今日の最終日をむかえることが出来ました。
この4年半の間には、マランゴニ対流に関する数々の世界最初の科学的な成果ばかりではなく、微小重力における気泡や液柱の取り扱い等、たくさんの技術的な成果を上げることが出来ました。また、「きぼう」の科学実験の運用に関しても、いささかなりかの貢献をさせて頂けたのではないかと思っております。これらのすばらしい成果は、この実験を共に進めて頂いたJAXAの担当者、運用に当たって頂いたJAMSS, JSF, AES等の皆様、たくさん宇宙飛行士各位、NASAの関係者、また、永年に亘って実験の準備をしそして運用を続けて下さったPI, CIそして代々の学生の皆さん達のおかげであります。
今日は、ぜひUOAで一緒に最後の実験の進行を見守りたかったのですが、職務の関係で叶いませんでした。 このご挨拶をもって、心から御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました.
【代表研究者 西野耕一・横浜国立大学大学院教授のコメント】
「きぼう」初の本格的科学実験として2008年8月22日に始まったマランゴニ対流実験(MEIS)が2013年2月25日の実験で最終回を迎えました。慎重な装置運用が求められる大型液柱を用いた宇宙実験を約4年半にわって実施でき、貴重な実験成果を挙げることができましことは、宇宙飛行士、JAXAスタッフを始めとする関係者の皆様のご協力のお陰です。PIとして心より感謝申し上げます。
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