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※日付は日本時間
2012年5月21日から、宇宙放射線の物理計測「マトリョーシカ-R球体ファントム実験」を「きぼう」日本実験棟船内実験室で開始しました。この実験は、人体の深部線量被ばくを計測し、宇宙飛行士に対する宇宙放射線被ばくのリスク評価を行うための実験です。
実験の実施・軌道上運用は、JAXAとロシア連邦宇宙局(FSA)、ロシア生物医学問題研究所(IBMP)、RSCエネルギア社が国際研究協力協定に基づいて行います。2012年から2016年の間に3回の実験を実施する予定で、今回はその第1回目です。
国際宇宙ステーション(ISS)のロシアモジュールに2004年から搭載されているロシアの宇宙放射線計測実験のための実験機器です。この機器は、バスケットボールサイズ(370x370x390 mm)の球体型(重量:32kg)で、人体組織等価物質材料でできています。
内部に20本の棒状のコンテナを差し込むことができ、表面の皮膚等価材料で製作されたカバーには32個のポケットが付いています。棒状のコンテナとポケットの中に線量計をいれることができます。
2004年からロシアの「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)や「ピアース」(ロシアのドッキング室)で実験が実施されていましたが、今回「きぼう」日本実験棟に初めて搭載されました。
マトリョーシカ-Rの実験には、ロシアの線量計と日本の線量計が搭載されています。今回実験で使用する線量計は、2012年5月15日にソユーズTMA-04M宇宙船(30S)でバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。これらの線量計と一緒に、Area PADLES(ISS/「きぼう」船内定点宇宙放射線環境計測用の線量計)も搭載されました。日本の放射線計測実験担当者もバイコヌール宇宙基地での射場作業に参加しました。
実験準備は、バイコヌール宇宙基地内の実験施設で行われました。この建屋は、ソユーズ宇宙船に搭乗するクルーが、打上げ当日にガラス張りの部屋で記者会見をする施設でもあります。
ズヴェズダ内に保管されていた球体ファントムを、ロシアのオレッグ・コノネンコ宇宙飛行士が取り出し、「きぼう」船内実験室のF2ラックに設置しました。今回の取付け作業は、ISS建設以来、ロシアの宇宙飛行士が初めて担当した「きぼう」の中での実験タスクとなりました。
ソユーズ宇宙船(30S)の帰還までの約4カ月間宇宙放射線に曝露され、実験終了後、組み込まれた線量計のみを地上に回収します。PADLES線量計は、地上へ回収・帰還後、筑波宇宙センター内の実験室で解析されます。
本実験は、人体表面・深部を模擬した線量実測により、人体への宇宙放射線被ばく影響を正確に評価することが目的です。得られたデータは、実測できない人体深部の被ばく線量やリスク評価の計算精度を向上させる研究や、次世代有人宇宙活動(地磁気圏外での有人ミッション)において事前に被ばく線量予測をする宇宙放射線シミュレーションプログラムの開発のための基礎データに利用します。
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