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変幻自在の結晶成長を捉える
皆さんは結晶というと何を思い浮かべるでしょうか?雪、氷、砂糖、ダイヤモンド...一口に結晶といっても、物質によって様々な形をしていることにお気づきでしょうか?特に、雪や氷の結晶は木の枝のような形をしていて、ひとつひとつ微妙に違う形をしています。このように変幻自在に形を変える結晶の様を、結晶を長年研究した著名な先生は、“結晶は生きている”と表現しました。しかし、長年研究を積み重ねても、どのようなときに、どのような形になるか、いまだ正確に予測することは難しいのです。
結晶の形を予測することが難しい理由のひとつは、地上で発生する自然対流が結晶成長の様子を見極めることを難しくしている点にあります。結晶にある変化が生じても、地上だと、自然対流によって結晶の周りがかき混ぜられてしまうので、そのときの温度や濃度を正確に見極めることができないのです。このため、自然対流の発生しない宇宙を利用して、結晶成長の謎を解き明かす研究が行われています。
溶液結晶化観察装置(SCOF)は、結晶成長の様子を詳しく調べるための観察装置を備えた結晶成長装置です。
結晶の形は、結晶が出来るときの環境(温度、濃度、圧力およびそれらの変化)と密接に関係しています。すなわち結晶の形を理解するには、結晶が出来るときの環境をしっかりと捉えることが必要となるのです。SCOFには、そのための様々な観察装置が取り付けられています。
結晶の形を捉える
結晶の形を正確に捉えるために振幅変調顕微鏡が備えられています。
結晶の組織を調べる
結晶の組織を調べるために、岩石の組織観察などに使われる偏光顕微鏡が備えられています。
結晶の周りの温度を測る
目に見えない結晶周りの温度を測るためにマッハツェンダ干渉顕微鏡が備えられています。マッハツェンダ干渉顕微鏡から得られた縞模様から温度分布を求めることができます。
結晶の周りの濃度を測る
目に見えない結晶周りの濃度を測るためにマッハツェンダ干渉顕微鏡が備えられています。マッハツェンダ干渉顕微鏡から得られた縞模様から濃度分布を求めることができます。
結晶の誕生と成長を捉える
動的光散乱計は、溶液から結晶核が生まれる様子や、それが徐々に大きくなっていく様子を捉えることができます。
結晶成長の研究は、物理学の枠を超えて、新しい数学、新しい計算機科学を生み出していきます。これらの研究結果は、我々の生活に欠くことのできないコンピュータ、携帯電話、ゲーム機などに使われる半導体チップ、次世代を支える光デバイスなどの製造にも生かされます。
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