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SMILESは2009年9月に国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれ、軌道上で動作を確認した後、2009年10月から地球大気の連続的な観測を開始しました。2010年4月に装置内部のサブミリ波発振器が故障するまでの約6ヶ月間の大気観測データを取得し、オゾンや塩素化合物・臭素化合物などのグローバルな分布を求めました。
観測事例として、2009年秋季~2010年春季に赤道付近の成層圏オゾンが特異な分布をしていることを捉えました(図1)。また、2010年1月には、北半球でも南半球オゾンホールと同様の塩素化合物によるメカニズムでオゾン破壊が引き起こされていることを、明らかにしています(図2)。
SMILESのデータは、これまで長年にわたって行われてきた地上観測や人工衛星からの観測データと比べても精度の高いものとなっています。また、地球大気の微量成分分布を計算する複数の数値シミュレーションの計算結果ともほぼ一致しています。例えば、これまで明らかでなかった、成層圏オゾンの日周変動 (一日の中での、時間帯による変化) について、一日周期でオゾンの量が増減する様子を初めて明確に観測し、なおかつ数値シミュレーションでも同様の変動が再現されました(図3)。SMILES 観測とシミュレーションとは独立に行われたものですので、それらが一致するということは、地球大気中のオゾンの日周変動現象を両者とも正しく示したものであるということができます。
2010年4月のサブミリ波発振器の故障以降、軌道上からの地球大気観測は実施できていませんが、装置を極低温まで冷却するために開発された小型・長寿命の機械式冷凍機の技術実証を2014年3月まで継続して実施し、温度変化に伴う特性データなどを取得しました。
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