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第6回船外活動手順開発試験
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試験の準備を行う若田宇宙飛行士とウルフ宇宙飛行士 |
試験全景 |
JAXA筑波宇宙センターの無重量環境試験棟(Weightless Environment Test Building: WET)で、2005年10月24日~11月4日の間、「きぼう」日本実験棟第6回船外活動手順開発試験が行われました。今回の試験には、若田光一宇宙飛行士とNASAのデイビッド・ウルフ宇宙飛行士が参加しました。
今回の試験では、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟、並びにISSへ物資を輸送するため日本が開発している宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)について、手順開発*1および設計検証*2を実施することを目的としています。
*1 手順開発とは、軌道上で宇宙ステーションの組立作業、修理作業等を実施する際にどのような手順で作業をやればよいか事前に手順を開発する作業
*2 設計検証とは、軌道上に打ち上げて船外活動で作業するための設計に問題がないか確認するための試験
船外活動手順開発試験とは
「きぼう」日本実験棟の各要素は3回に分けてスペースシャトルで打ち上げられる予定ですが、「きぼう」の組み立て作業にはロボットアームによる作業に加えて宇宙飛行士が行う船外活動(Extravehicular activity: EVA)が必要です。
船外活動手順開発試験では、このEVAについて、組立手順や宇宙飛行士の移動方法、それらの作業にかかる時間などの確認を行い、より効率の良い組み立て手順を確立することを目的とした試験です。
この試験では、筑波宇宙センターの無重量環境試験棟(WET)内にある水槽(Weightless Environment Test System: WETS)内に「きぼう」や関連機器のモックアップ(実物大模型)を沈めて、水中用宇宙服を着た宇宙飛行士が組み立て作業の手順確認や検証を行います。
今回の試験内容
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試験レイアウト(水槽を真上から見た様子) |
今回の試験では、「きぼう」の船内実験室と船外実験プラットフォームの軌道上組立手順について、実際と同じく2名の宇宙飛行士で実際のシーケンスに沿って組み立て作業を行い、連携作業や作業時間の確認を行いました。水中用宇宙服を着用した2名の宇宙飛行士が同時に入って試験を行うのは、1998年以来です。また、HTVの曝露パレットに模擬バッテリを搭載し、異常時を想定して船外活動によってそれを取り外すことができるか、設計の確認をしました。
「きぼう」関連
主な検証手順を以下に示します。
- 「きぼう」船内実験室組み立てタスク
- 「きぼう」ロボットアーム展開前に行うロボットアーム関節(6ケ所)、先端把持部の断熱カバー取り外し手順。
- 軌道上交換ユニット(Orbital Replaceable Unit: ORU)バッグによる「きぼう」船内実験室の外側に取り付けるカメラの運搬・設置手順。
- 結合機構(Berthing Mechanism: BM)を点検後、断熱カバー取り付け手順。
- 「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)とグラプルフィクスチャのクリアランス確認手順。
- 船外パレットが船外プラットフォーム側装置交換機構(Exposed Facility Unit: EFU)に取り付けられているときカメラ取り付けのクリアランス確認手順。
- 断熱カバーとロンチロック機構取り外し手順。
- 共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)のアクティブ側にある断熱カバー取り外し手順。
- 共通結合機構(CBM)のデブリ・シールド展開手順。
- 共通結合機構(CBM)ハッチのロンチロック機構取り外し手順。
- カメラとその骨組みの設置手順。
- 「きぼう」船外実験プラットフォーム組み立てタスク
- カメラのインターフェイスケーブル取り外し手順。
- 船外実験プラットフォームへカメラ取り付け手順。
- 船外プラットフォーム側装置交換機構(EFU)の断熱カバー取り外し手順。
- 子アーム保管装置の断熱カバー取り外し手順。
- 軌道上交換ユニット(ORU)の断熱カバー取り外し手順。
- 衛星間通信システム(ICS)の断熱カバー取り外し、アンテナ保持機構分離手順。
- 設計検証
- 共通結合機構(CBM)のデブリ・シールド展開手順。
- ロゴの交換手順。
- 手順開発
- 結合機構(BM)のパッシブ側にある断熱カバー取り外し手順。
- 遠隔操作コネクタ(Remotely Operated Electrical Umbilical: ROEU)への断熱カバー取り付け手順。
- グラプルフィクスチャの取り外し手順。
HTV関連
主な検証手順を以下に示します。
- HTV-曝露パレット(EP)タスク
- HTV-曝露パレット上のバッテリから故障したカナダアーム2の先端把持部を分離する手順。
- HTV-曝露パレットからカナダアーム2の先端把持部を分離する手順。
- バッテリをテザーでハンドホールド(取っ手)に固定する手順。
- ロボットアーム故障時のバッテリ交換手順。
- 曝露実験装置分離機構(HTV Cargo Attachment Mechanism: HCAM)の手動解除手順。
- ペイロードをテザーでハンドホールド(取っ手)に固定する手順。
- 非与圧部補給キャリア(Un-pressurized Logistic Carrier: ULC)タスク
- ULCを搭載したHTVのカナダアーム2把持用のブラプルフィクスチャ(把持部)に対する緊急時のカナダアーム2先端のエンドエフェクタ(把持手)分離手順(グラプルフィクスチャのロッドを外す)。
- ULCからHTV-曝露パレット(EP)を取り出す際のコネクタ分離機構故障に対する緊急分離手順。
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水中用宇宙服を着用した若田宇宙飛行士 |
水中用宇宙服を着用したウルフ宇宙飛行士 |
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潜降する若田宇宙飛行士 |
潜降するウルフ宇宙飛行士 |
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管制室の様子 |
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プレス公開
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(13分19秒) |
10月25日には試験の様子を報道関係者に公開し、大勢の取材陣が訪れました。また、試験終了後、若田宇宙飛行士とウルフ宇宙飛行士は訪れた取材陣に対して記者会見を行いました。記者会見で、若田宇宙飛行士は「きぼう」、及びHTVに関する船外活動の設計は非常に順調に進んで来ていると話しました。
最終更新日:2006年2月17日
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