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船外活動手順開発試験
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筑波宇宙センターの無重量環境試験棟で、2000年11月下旬から2001年3月6日まで第2回「きぼう」日本実験棟船外活動手順開発試験が行われました。
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第2回「きぼう」日本実験棟船外活動手順開発試験とは |
「きぼう」日本実験棟は2006年から2007年にかけて3回に分けて打ち上げられ、軌道上でスペースシャトルのロボットアームや船外活動によって組み立てられます。
「きぼう」日本実験棟の組立にかかる船外活動の作業手順は、NASDAが手順書を用意し、NASAはNASDAの協力を得て作業手順を仕上げることなっています。手順書には、船外活動用工具の運搬や、打上げ時に「きぼう」日本実験棟を覆っていた断熱カバーの取り外し手順、宇宙飛行士の移動方法、それらの作業にかかる時間などの、組立にかかわる作業順序の詳細が記述されています。
この試験は、NASAへ提出する手順書について確認を行い、より効率の良い組立手順を確立することを目的とした試験で、「きぼう」日本実験棟の船内保管室および船内実験室の組立フライトでの船外活動を想定して行われました。
無重量環境試験棟の水槽に「きぼう」日本実験棟のモックアップ(実物大模型)を沈めて、宇宙服(*)を着た宇宙飛行士および技術者によって試験を行いました。
第1回目の試験は、2000年1月から2月にかけて行われ、船外活動用工具の運搬手順や、「きぼう」日本実験棟への作業用足場の取り付け、船外活動による組立作業のシミュレーションなどを実施しました。
* 水中で使用する宇宙服は、軌道上で使用する宇宙服の一部を水中用に改修したものです。
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試験内容 |
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宇宙服を着る野口宇宙飛行士 |
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水中作業を行う野口宇宙飛行士 |
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水中作業を行う野口宇宙飛行士 |
この試験では、野口宇宙飛行士、NASAの宇宙飛行士や技術者が、宇宙での組立て作業と同様の手順で以下の内容を確認しました。
1回の潜水時間は、3時間におよびます。
- 船外活動作業場所への工具などの運搬方法の確認
- 宇宙飛行士の移動経路、移動時間の確認
- 「きぼう」日本実験棟に取り付けられ宇宙飛行士が移動する際に使用するハンドレール(手すり)やハンドホールド(取っ手)などの配置の確認
- 船外活動作業場所での視野範囲の確認
- 工具の使いやすさの確認
- 工具などの仮置き場の確認
- 船内のクルーとの連携の確認
- 待機場所の確認
- 作業時間の確認
など
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様々な分野の技術者たち |
試験は、宇宙服を着て作業する宇宙飛行士は一人です。しかし、様々な分野の技術者がこの試験に参加しています。
例えば、水中での宇宙飛行士を支援するサポートダイバーたちがいます。宇宙飛行士の水中での移動を支援したり、浮力を調整して中性浮力状態(浮きも沈みもしない状態)に調節したり、試験を記録したり、10人程のダイバーが同時に水中で作業を行います。
また、試験全体を指揮して、時には、宇宙飛行士に指示を与える試験指揮者、宇宙飛行士やダイバーたちの安全を管理する医療チーム、水中宇宙服の調整やメンテナンスを行うスーツテクニシャン、水質/水温管理や宇宙服に空気を送気する装置などの無重量環境施設の設備担当、船外活動の作業手順を作成し確認する技術者など、様々な分野の技術者がこの試験に参加し、これらの技術者の共同作業によって手順を確立していきます。
これらの試験を通じて得られる様々な分野の技術は、数年後に来る「きぼう」日本実験棟の本格的な運用に向けて、着実に蓄積されていきます。
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今後の予定 |
今回の試験で蓄積された船外活動手順は、今後NASAジョンソン宇宙センターにある無重量環境訓練施設(NBL:Neutral Buoyancy Laboratory)で行われる「きぼう」日本実験棟関連の船外活動訓練手順に活用される予定です。
また、2002年初頭、第3回目の「きぼう」日本実験棟船外活動手順開発試験を実施する予定です。
このように「きぼう」日本実験棟打上げに向けて着々と準備が進められています。
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