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「きぼう」日本実験棟船内実験室システムラック組込み

 2000年9月5日~26日にかけて、「きぼう」日本実験棟船内実験室へのシステムラック組込みが三菱重工業株式会社(MHI)名古屋航空宇宙システム製作所飛島工場で行われましたので、ご紹介します。
 システムラックとは、電力系、通信制御系、熱制御系など「きぼう」のシステムを制御するための機器が納められたラックのことです。


作業内容
 船内実験室の入り口は直径約1.3mと狭いため、専用の装置を使ってゆっくり、慎重に組み込みの作業を行いました。そのため、ひとつのラックを船内実験室の所定の場所に収めるまで、7~9名の技術者で作業を行います。
1台のラックを収納するために約1日半かかり、予定の8台を収納するために、12日間かかりました。
 作業の流れはおよそ次のようになります。

船内実験室の床面(壁面)パネル取り外し
システムラック搬入およびラック組込治具調整
 
 
船内実験室を必要な位置に回転
システムラック移動
 
 
ラック組込治具搬入
システムラック据付
 
 
ラック吊り上げ治具およびシステムラック準備
電源系などの配線結合

作業内容(10倍速) 
一連の作業経過を10倍速でご覧になれます。
再生時間:6min5sec
28K 56K


システムラックとは
 システムラックとは、船内実験室の中に備え付け、「きぼう」日本実験棟を制御する装置が収まっているラックで、地上での重量はおよそ450kg~800kgあります。システムラックは機能によりいくつもの種類があり、以下の9台のシステムラックがあります。

(1)電力ラック 2台「きぼう」各部に安定した電力を分配するためのシステムラック
(2)情報管制ラック 2台「きぼう」各部とのデータのやりとりをするシステムラック
(3)空気調和/熱制御ラック 2台船内実験室および船内保管室内の温湿度を一定に保つためのシステムラック
(4)ワークステーションラック1台「きぼう」を制御するコンピュータ端末が収まっているシステムラック
(5)共通ガス供給装置1台船内実験室で行う実験用のガス(Ar, He, CO2)の供給や排気をするシステムラック
(6)RMSラック1台ロボットアーム(RMS)を制御するためのシステムラック
(7)衛星間通信装置ラック1台データ中継衛星経由で地上と通信するための装置を搭載したシステムラック

システムラックのひとつ、空気調和/熱制御ラック
 今回、上記(1)~(5)の合計8台のシステムラックを取り付けました。この状態でシステム試験を行っています。
 船内実験室には全部で10台のシステムラックが収められますが、全てのラックを取り付けるとスペースシャトルの最大打上げ重量を超過するため、打上げ前にワークステーションラック、情報管制ラック1台、電力ラック1台を外します。
 ワークステーションラック、情報管制ラック1台、電力ラック1台、RMSラックと衛星間通信装置ラックは船内保管室に入れて打上げ、2人のクルーの手作業によって軌道上で船内保管室から船内実験室へ移動し、据え付けます。
 なお、「きぼう」には全部で24台のラックを据え付けることが可能で、システムラック以外に、実験装置が取り付けられる実験装置ラックや実験試料などを収納する保管ラックがあります。
 ラックの規格は、シャトルなどでの輸送時の搭載方法を統一するためやISS各モジュール相互に他国のラックも搭載できるように、ISS全体で仕様が統一されています。


今後の予定
 船内実験室は、システムラックを組み込んだ状態で2000年10月からシステム試験を開始しています。2001年6月にはシステム試験が終了し、8月に筑波宇宙センターへ輸送され、全体システム試験を開始する予定です。


最終更新日:2001年 1月24日

 

 

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