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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

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金井宇宙飛行士の帰還後リハビリテーションの様子をプレス公開(2018年6月25日)

歩行訓練を行う金井宇宙飛行士

メディシンボールを用いた運動を行う金井宇宙飛行士(出典: JAXA)

6月15日、筑波宇宙センターにおいて、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在から帰還した金井宇宙飛行士のリハビリテーションの様子とその施設公開が報道関係者向けに行われました。

JAXAはこれまで、宇宙飛行士の選抜、訓練・認定から、さらにその健康管理に関するノウハウを積み重ね、2016年にはISSから帰還した大西宇宙飛行士の帰還後に行う45日間のリハビリのうち、約1週間を国内で実施しました。

今回は、前回の大西宇宙飛行士より10日早く帰国し、約3週間日本において帰還後の活動をJAXAが主体となって実施することで、さらなる経験・知見を蓄積することを目的としました。

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ラダーを用いた転倒予防運動を行う金井宇宙飛行士(出典: JAXA)

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バランスクッションの上に乗りバランス運動を行う金井宇宙飛行士(出典: JAXA)

リハビリに関する概要説明

リハビリの公開前に、JAXA有人宇宙技術部門宇宙飛行士・運用技術ユニット長 田崎 一行(たさき かずゆき)、および有人宇宙技術部門 総括医長 三丸 敦洋(みつまる あつひろ)から、これまでの技術と知見の蓄積により、金井宇宙飛行士のミッションではISS長期滞在中の運動およびリハビリをJAXAが自立的に実施できるようになったことが紹介され、さらに、長期滞在帰還後のリハビリの必要性やプログラムについて以下のような説明がされました。

※当日配布された資料を、金井宇宙飛行士長期滞在ページにて掲載しています。
関連リンク:記者説明会資料

日本でリハビリを行う経緯

  • 日本が自立した有人宇宙技術を獲得するため、これまで宇宙飛行士の募集・選抜、訓練・認定、健康管理(軌道上運用等)の技術蓄積を段階的に進めてきました。
  • 飛行前、軌道上の運動とリハビリについては、これまで、NASA専門家の指導の下、日本人宇宙飛行士に対して実施し、運動処方の作成や運動指導の方法等について知見を蓄えてきました。
  • これまでの当該知見が十分蓄積され、運動とリハビリをJAXAのプログラムで実施できることがJAXAおよびNASAにて確認されたことを受けて、現在ではJAXAの処方で運動とリハビリを自立的に実施しています。
  • その一環として、前回(大西宇宙飛行士帰還時)より、国内でリハビリを実施できるように施設設備面の環境も整備し、帰還後のリハビリの一部を筑波宇宙センターで実施することにしました。

早期帰国の目的・意義

  • 有人宇宙技術の経験・知見を蓄積し、日本の有人宇宙活動の自立性・自在性を確立することが、ISS計画参加の意義の一つです。
  • 長期宇宙滞在帰還後の活動についても、段階的に日本主体で実施する役割を拡大してきました。今回は、前回の大西宇宙飛行士より早期の6月13日に帰国し、帰還後の活動を日本主体で実施することで、更に経験・知見の蓄積を進めます。
  • 今後も、帰還直後の活動全てを日本主体で実施できるような経験・知見を蓄積し、日本の有人宇宙技術を高め、国際協力で進められる将来の有人宇宙活動において日本が貢献できる分野を拡げます。

今後のリハビリ予定

リハビリ公開風景

当日のリハビリは筑波宇宙センターの一角に作られた設備にて実施されました。

リハビリ公開では、飛行士のリハビリに関する責任者(生理的対策責任者)である山田 深(やまだ しん)医師から今回の日本でのリハビリの目的と内容について説明がありました。

まず始めに、自転車エルゴメータを使ったウォームアップの後、硬くなってしまったからだを回復させるための動的ストレッチングを行いました。その後、バランス、協調性、敏捷性や俊敏性などの回復を目的としたファンクショナルトレーニングを実施しています。ISS滞在中も筋力トレーニングを行っていたため、金井宇宙飛行士の筋力は軌道上滞在前と比べてさほど低下はありませんでしたが、転倒しないよう体勢を保ちつつ素早く移動する作業を行うといった能力は低下しています。ファンクショナルトレーニングでは、メディシンボール、バランスクッション、バランスボード、この日初めて使用した床面に置いたラダーなどを用い、身体機能の回復を図ります。

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準備運動として自転車エルゴメータを用いた有酸素運動を行う金井宇宙飛行士(出典: JAXA)

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ラダーを用いた転倒予防運動を行う金井宇宙飛行士(出典: JAXA)

リハビリ公開では、ファンクショナルトレーニングを全行程、約1時間程度行いました。

金井宇宙飛行士記者会見

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記者会見を行う金井宇宙飛行士(出典: JAXA)

リハビリ公開後は金井宇宙飛行士が帰還後の感想やリハビリの感想を述べ、記者たちからの質問に答える記者会見が開催されました。
記者会見の際の記者との主なやり取りについて以下に紹介します。
(山田医師とのやりとりも含みます)

Q:帰還直後の感覚はいかがでしたか?

A:とにかく目が回って気持ち悪かったです。回転椅子の上に座ってぐるぐると回して止めると目が回るが、あの感覚が24時間続いているような状態でした。

Q:重力には慣れましたか?

A:自分の感覚としては日常生活には支障がないため90%回復している感じですが、(リハビリを通して)詳しく見ればまだ50%~60%の状態だと思います。
(6月15日時点での回復具合)
今の任務は体調を元に戻すこと。1日ごとに体が変わる面白さを感じています。

Q:日米でのリハビリの差はありますか?

A:変わりはありません。
ただし、リハビリのノウハウがNASAに還元されるか、日本が得られるようになるかを考えたら、これから日本が宇宙開発のリーダーシップを取っていくには日本で経験を蓄積していくことが役立つと思います。

Q:国内でのリハビリの状況はいかがですか?

A:リハビリをサポートしてくれているチームのみなさん(生理的対策担当者(JAXA ASCR))とは、学生時代の部活動のようなノリで楽しく行っています。
JAXAが蓄積した医学管理をしっかり理解し、納得した上で行っています。
自分は体は柔らかい方でしたが、軌道上では重力がないためストレッチができず体が硬くなってしまいました。
バランス能力やストレッチ、敏捷性を回復させるために、動的ストレッチングや、ファンクショナルトレーニングを取り入れたリハビリに取り組んでいます。

Q:大西さんと金井さんのリハビリでは違いはありますか?

A:全体を通してみれば、実施の内容に大きな違いはありません。日本に早めに帰還して行う時期の差が一番違います。帰還後9日で帰国するのは初めてです。
今まで日本では取得できなかった早い段階での医学データを得ることにも役立ちます。

Q:趣味の居合はいつ頃、復帰できそうですか?

A:居合では、手で真一文字を切ることをやりますが、軌道上でやってみたら斜め上に上がってしまいました。
しかし、1カ月も経つと真一文字ができるようになりました。
軌道上では体の重心が肩と肩の間にあるような感じになるのですが、慣れてくるとちゃんとおへそのところにあるように感じられるようになります。
帰還後はまっすぐに歩けない状態で、今でも少し体を左右に振ってしまいます。居合をやるのはもう少し先になると思います。

Q:今回がソユーズ宇宙船での日本人最後の飛行になるかもしれないがソユーズの居心地はどうでしたか?

A:自分はシャトルでの飛行経験がなく、ソユーズしか分からないが、スポーティで小さな宇宙機だと感じました。
加速が急に止まる動きもはっきり伝わるなど楽しい乗り心地でした。帰還時はロシア風のジェットコースターだとの呼び声があったのですがその通りでした。(パラシュートを開くと)ぐるぐる回るため気持ち悪くなりました。しかし、宇宙飛行士冥利につきる楽しい宇宙船です。一つ一つの設計がシンプルで壊れにくいのも特徴です。

山田医師からの補足説明

金井宇宙飛行士のリハビリ状況を見ていると、人の体が重力に再順応していく様子は驚くべきものがあります

山田医師への質問

Q:金井宇宙飛行士だけでなく、サポートするメンバーも一緒になって体を動かしていましたが、その理由は?

A:1人だけでリハビリを行うと辛い運動になりますが、仲間が一緒に体を動かすと、楽しみながらやることができます。


なお、リハビリの合間に集まった記者のみなさんに金井さんから声をかけ、質問を受ける場面があり、ある場面では金井宇宙飛行士が「質問に答えている間は休めるので」と話した際に記者たちからは笑いが起こりました。 また、前回リハビリ公開を行った大西宇宙飛行士や、現在、宇宙飛行士グループ長である油井宇宙飛行士も記者たちと一緒に見守りながら質問があった際には快く答えていました。

将来の有人火星着陸などを考えると、地上の支援を受けられない状態で宇宙飛行士自らがリハビリを現地で行う必要性があることから、今回のように日本に早期帰国してリハビリを行うことで、ノウハウを蓄積し、日本の有人宇宙技術を高めることに貢献していきたい。と金井宇宙飛行士が今後に向けての抱負を語りました。

関連トピックス

大西宇宙飛行士の帰還後リハビリテーションの様子を筑波宇宙センターにてプレス公開(2016年11月25日)
日本でのリハビリの実現に向けて(宇宙飛行士健康管理グループ グループ長 込山立人)(2017年3月31日)
宇宙医学からみたリハビリ(宇宙医学生物学研究グループ 技術領域主幹 大島博)(2017年3月31日)

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