国際宇宙ステーションのクルー交代/ソユーズ宇宙船交換ミッション(8S)
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DELTAミッションロゴ |
ESAのアンドレ・カイパース宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に飛行するミッションはDELTA(Dutch Expedition for Life science, Technology and Atmospheric research)ミッションと呼ばれ、ISSに10日間滞在し実験運用を実施します。DELTAミッションの実験は、ロシアとオランダ間の商業契約のもと実施され、使用されるESAの実験装置の多くはすでに補給ミッション(13P)でISSに運搬されており、残りの実験装置が8Sミッションで運ばれます。
生理学実験
- CIRCA
微小重力下での血圧・心拍パターン
宇宙飛行士の血圧および心拍パターンを24時間測定し、心臓血管系の機能を調べます。宇宙飛行士の上腕(昼は15分間隔で、夜は30分間隔で自動的に測定)と指(連続測定)につけた装置で計測します。
- HEART
宇宙飛行後の起立不耐症を予測するための生理学的パラメータ
宇宙空間で長期間過ごした宇宙飛行士の起立不耐症を調べます。血圧測定、心電図、超音波計測器を使い脳血流量や胸腔の伸縮などを測ることによって、生理学パラメータをベースにした予測を行います。
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MOP(Motion Perception)
重力変化における内耳前庭機能の適応性
内耳の前庭機能が微小重力下でどのように適応するかを調べます。
人間は前庭機能と視覚的情報によって姿勢のバランスを取ます。本実験では宇宙飛行士が頭を動かすことによって、どのようにそれを動作認識するかを調べます。飛行中は毎日短い質問に答えていきます。
- MUSCLE
宇宙滞在中の腰痛に関する研究
微小重力下での腹筋の萎縮が腰痛を引き起こすという仮説を検証します。宇宙飛行士は痛みの場所、強弱や持続性についてのアンケートに答えます。核磁気共鳴映像法を用いて、地上と微小重力下での背下部と骨盤部分の筋肉構造と質量の変化を比較します。
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ETD |
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ETD(Eye Tracking Device)
眼球追尾装置
眼球追尾装置(ETD)を使用した生理学実験。無重量環境下での眼球の動きを地上での動きと比較し、身体のバランスシステムが目の動きに影響を与えているかを調べます。ETDは、目の水平、垂直、回転の動きを記録する2つのカメラモジュールを持つヘッドセットと、データを処理・記録するラップトップコンピュータで構成されます。(13Pで運搬)
生物学実験
- ACTIN
微小重力下における哺乳類細胞のアクチン代謝
哺乳類細胞のたんぱく質であるアクチンの代謝に、微小重力がどのような影響を及ぼすかを調べます。
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FLOW
微小重力下における骨細胞の機械的刺激受容
骨細胞は骨に負荷がかかると、健全性を維持するために信号分子(signaling molecule)を生成します。微小重力下で負荷を与えた骨細胞の信号分子量を測定することにより、宇宙では骨細胞のストレスへの認識度が下がるか否かを調べます。
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線虫 |
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ICE(International C.elegans Experiment1)
第1回目の国際的な線虫実験:線虫の生理学およびゲノム研究
C.elegans は体長1mm程度の線虫(Caenorhabditis elegans)で、ゲノムおよび受精卵から成虫までの細胞分裂過程が解明されています。これをモデル生物とし、宇宙環境下で放射線を浴びた線虫のゲノムへの影響や、筋肉収縮を引き起こすたんぱく質について調査します。将来的にはヒトの高齢化や筋萎縮など医学問題への展開が期待できます。本実験は日本、フランス、NASA、CSAが合同で実施します。実験装置はフランス国立宇宙研究センター(CNES)保有のインキュベータ(孵卵器)および飼育容器を用い、実験期間は6日間です。
日本の研究テーマは「微小重力下のC.elegansの初期発生、筋発達過程に及ぼす影響と重力感受機構のゲノム解析」です。
- KAPPA
微小重力のNF-kappaB(転写調節因子)たんぱく質の活性化への影響
微小重力下で、NF-kappaB(転写調節因子)たんぱく質が単核白血球の細胞核にどう転用されるかを調べます。
- TUBUL
微小重力による植物の細胞骨格と分裂面への影響
細胞骨格は細胞内の細管、微小繊維(マイクロフィラメント)とフィラメントで構成されており、細胞構造を支え、細胞内の構成物質を移動させる働きをもちます。
植物の細胞骨格はタンパク分子鎖から成り、細胞の配置、細胞分裂のプロセスや植物の生長方向決定などの重要な役割を担います。これにより植物の最終的な形状と有機体としての機能性が決定されます。TUBUL実験では、宇宙で育った植物細胞の細管の組織と動態に重力がどのような役割を果たしているかを解明します。
微生物学実験
- SAMPLE
ISSの様々な場所や、宇宙飛行士の体から微生物の試料を採取し、その組成や生理現象を調査します。また、微小重力環境に適応した微生物の違いを解析します。(13Pで運搬)
物理学実験
- ARGES
屋外照明に使われている高輝度放電ランプ(HID)に関する研究実験。重力が無い状態でこのタイプのランプがどのように動作するかの新たな知見を得て、より効率的なランプを将来開発することを目的としており(20個の電球を使用)、実験はMSG(Microgravity Science Glovebox)内で行わます。(13Pで運搬)
地球観測
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スプライト |
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LSO(Lightning and Sprite Observation)
雷とスプライトの観測
1989年に発見された大気中の発光現象であるスプライト(sprite)と、スプライトの発するエネルギーを観測します。スプライトは、雷雲上空の高度30~90kmで発生する発光現象です。LSOの観測装置は4SフライトでISSに運ばれました。
技術実験
- HEAT
この実験は、将来の人工衛星や宇宙機に使うヒートパイプの効率を良くするために、ヒートパイプの熱輸送特性を試験するものです。実験はMSG(Microgravity Science Glovebox)内で行われます。(13Pで運搬)
- MOT(Mouse Telemeter)
ネズミの腹部にESAが開発した無線感度を有する加速度計を埋め込みます。これにより、3軸の加速度、心拍数、体温の計測を行います。この加速度計は、将来、宇宙飛行士に装着することが考えられていますが、そのためのセンサーの校正試験となります。(13Pで運搬)
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SUIT実験装置 |
- SUIT
宇宙飛行士の姿勢変化に対する認識を改善し、宇宙酔いを軽減するための技術実証実験。宇宙飛行士は、携帯電話で使われているような振動体を56個取り付けた特別なベストを着用することで、どちらが上でどちらが下かを認識しやすくなります。これらの技術は、地上でもパイロットや煙の中の消防士が使用すれば役に立つと考えられます。(13Pで運搬)
教育
- ARISS(Amateur Radio on the International Space Station)
アマチュア無線を使用して、ISS上のアンドレ・カイパース宇宙飛行士と、オランダ・ベルギーの小学生(ISSの宇宙飛行士の絵のコンテストである"Zeg Het ISS"の勝者が招待される)を結び、質疑応答を行います。(ISSの既存設備を利用)
- GraPhoBox(Phototropism-Gravitropism Box)
植物の成長過程における、光と重力の相互作用の研究
地上で植物の生長に影響を及ぼす主な刺激は光と重力です。芽が光に向かって成長する作用を光屈性と呼びます。根の成長方向は重力の影響を受け、重力屈性と呼ばれます。
この実験は植物の光屈性と重力屈性の作用を調べ、両作用のつながりの有無について研究するものです。実験には、標準的なカラシナの野生型株、光に向かって成長する機能のない芽を持つ株、重力に反応しない根を持つ株、そして光にも重力にも反応しない株の種子を用い、比較のため地球上の重力下とISS内の無重力下で、それぞれ弱い光とまったく光を当てない状態で発育されます。種子は、光のあたる成長箱と、暗い試験槽の、それぞれ栄養豊富な表土で育てられます。試験開始時、試験槽の温度を4℃から室温に上昇させ、10日後に根と芽の写真が撮影されます。宇宙で育った植物から得た結果は、地球で育った植物や、その他の異なる株と比較されます。
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バクテリア燃料電池 |
- BugNRG
微小重量下におけるバクテリア燃料電池の発電量に関する研究
ある種のバクテリアは、ある条件下で、炭水化物を電子と二酸化炭素に変換します。これを利用したバクテリア燃料電池からの電流、電圧、温度を測定し、特性を把握します。軌道上には2個のバクテリア燃料電池が運ばれます。宇宙実験が実施されるのは、地上よりも宇宙の方が発電効率が良いと考えられているためです。
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SEEDS |
- SEEDS(Seeds in Space)
宇宙での発芽の研究
重力が植物の発芽と成長にどのように作用しているかを調べます。
地上ではオランダの生徒達が同じ種から植物(salad cress:カラシナ)を発芽させ、数日後に比較を行います。光の当たる箱と真っ暗にした箱の2つを使用します。(10歳~15歳むけの実験)
- VIDEO-3
微小重力下の人体への影響(血圧、血液の循環、血流シフト、方向認識)を4つの基本的な生理学実験としてビデオに撮影します。この4つの実験は地上でも行われ、ビデオに撮影されて比較されます。またCIRCA と SUIT実験の様子もビデオに撮影されます。
この実験は12~18歳の基礎科学のカリキュラムに合うよう設定され、DVD化されてESA加盟国の中等学校に配付される予定です。
最終更新日:2004年4月14日
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