われら星の子 宇宙の子
海に生まれ大地に育ってきたわたしたちの体には
はるか百数十億年の
宇宙の歴史が刻まれている
ほら今日もどこかで小さな光が
住所は村ではない 町でも県でも国ですらない
住所はこの惑星 そして銀河系
光にみちびかれ 闇にひそむエネルギーに抱かれて
太平洋を回遊するカツオの群れも
砂を蹴って駆け去るキリンの足も
生きるとは 動くこと 鼓動すること。
モンゴルの包(パオ)のフェルトが 今誕生した 赤んぼの
元気のいい泣き声に 鼓動している
広くはてしない空間に
ぐうぜんたんじょうした
ぼくはどうしてここにいるの
そりゃ わかってるサ!
運命の神様のお気に入りだから
神は いつでも傍にいて 知らぬ顔サ
さあ、飛んでごらん! 好きなところに
でも心はドキドキ 星がピカピカって気分
いちにのさんっ 未知なる世界へ飛び出そう
陸から空へ 夜から朝へ 闇から光への ロングジャーニー
きっとどこかで僕を待つ まだ見ぬ君に会いに行く
月へのパック旅行
ガイドさんが にこやかに語りかける
竹取の じじ ばばは 元気かしら
青い海 輝く緑 優しい人
なつかしいわ あの星が
星はぼくらのゆりかご
ぼくらの心臓 ―― そこからぼくらは跳びたった
でも、なぜ?
ゆりかごに 乗って
遥かな彼岸に 向かおう
彼岸は 遠い
困難に 打ち勝って
無事に 着こう
小さな僕はついに泳ぎ着いたんだ
お母さんのお腹の中に
そこからがまた、始まり
お腹の中は 真っ暗だ
がんばって 光るものをさがすんだ
見つけた 見つけた 握ったら
そこは ぼくの生まれ故郷
どこもかしこも光でいっぱいだった
両眼微笑の蛙*くん
半眼微笑のほとけさま
片目つむってウィンクするぼく *草野心平の詩より
ウインクすると 君は両目が閉じちゃうね
でも 気にしなくていいんだよ
昨日 できなかった滑り台
今日は ちゃんとできるでしょ
生きてるって そういうことさ
そうだったんだ!と 僕は水面から跳ね上がった
上空を渡り鳥たちがはばたいていく
地磁気を道しるべに また半年後に来てなぁー
ふと見下ろすと、僕の生まれた街が見えた
凧揚げをした河の三角州で 子供たちがフナ釣りをしている
土手で少年が 初めて補助輪無しで自転車を走らせた
少女は砂の上のタイヤの跡を じっと見つめている
僕は決してそこに舞い降りたりしない
国境の街古都コロニアでコロンで以来
よくコロブようになった その度に重力!を思う
先日 コロンだおかげで枯木に梅一輪を見た
重力にしたがい
雲海を潜水艦のように沈んで
着いたところは上海
人の海 つらなるビルの絶壁
ふと見やると 竹ざおにふとんが干してあるよ
立春をすぎた日の風の中、白いシャツが乾く。
南西に遠く富士山の さかさ扇が傾く。
そういえばそろそろ「小学校の昼餉どき」。
深く 暗い 海の底で
青白く光る 巨大イカは思う
10本の足なんかより
鳥のような羽があったら
風をきって 大空を飛び回るのにと。
君の夢が 僕を 2万里の旅に誘う
渡し舟の上で 君の手紙を 朗読しよう
まだ見ぬ遥か彼方の友へ 伝わるほど 大きな声で
耳をすませば きこえる
あれはコウモリの飛ぶ音
群青のオイルのような 熱帯の夜を
バオバブの花粉を運んで
コウモリの飛ぶ音
南の島の夜は地平線すら曖昧になる
道沿いの草むらに続く青い道程は
冬のホタルが指し示す 星への滑走路
さあ、今すぐ群青の世界へ飛び立とう
その闇は畏れを感じるためでなく
導く光を感じるためにあるのだから
空はどこまでもつながっている
いつか君も誰かを導く恒星となるだろう
底なしの空のどこかに 地球そっくりの星がいくつあろうと
私たちがそこで笑い そこで死ぬ 光と重力の場は一つだけだ
めいめいの中に一つずつ 小さな宇宙をかかえたまま