宇宙連詩 みんなで紡ごう、宇宙に流れる生命のメッセージ

宇宙連詩

宇宙連詩 第2期
「星があるの巻」

ぼくのなかには星がある
ずっとむかしのことを思ったりすると
からだじゅうがむずむずしてくる
きっとぼくに入る前のことがなつかしくなって
星がピョンピョンはしゃいでいるにちがいない

01
的川泰宣(JAXA宇宙教育センター長) Yasunori Matogawa

星のなかでは水がゆれている
その水は ともしびをかかげていた
ともしびは にんげんたちの しんぞうだった

02
大岡 信(詩人) Makoto Ooka

軍服の肩に飾られる星 国旗にずらりと並ぶ星
レストランの格付けに駆り出される星
失神する主人公の頭上に飛び散る漫画の星
天上の星と違って地上の星たちは忙しい
ときにエトワールの座を競いあって

03
谷川俊太郎(詩人) Shuntaro Tanikawa

星印 というと頭に浮かぶあの記号
実際の星のかたちとは似ても似つかない
でも「星の砂」を可愛いと感じるのは あの記号のおかげなのだ たぶん

04
平岡志磨子(会社員、34歳) Shimako Hiraoka

銀河より海、海より川
川より古里の池の中の星光は
私に一番近いなじみのある光
どんなに離れても、どんなに暗い日々に陥っても
その光は照らしてくれる

05
田 原(詩人、中国) Tian Yuan

私のたどる一條の光
一歩ごとに 次の一歩から何光年
私は本当にふさわしいのか この旅に

06
ライ・ウェルウッド(集中病棟マネジャー、55歳、米国) Wry Welwood

地球の中で眠っていた一粒の鉱石に
はるか彼方から一筋の光がさしこむ
過去の石と未来の光がとけあい
命をえたようにあざやかな色が輝く
一瞬の輝きに永遠をかいま見る

07
ムーニャ・ノリコ(事務員、49歳、サイパン) Noriko Muna

太陽はひっかき、力を光子にしてふるい落とす
黄金の塵として、すべての惑星に向けて。ただひとつ地球だけは
どろどろの黄金の夢を育み、わが永遠の分け前として、太陽に投げ返す。

08
ラティ・サクセナ(詩人、インド) Rati Saxena

私は生まれた日の朝、この旅を始めた。
空の深みに生まれた星が私の守護天使。
おのれの光によって私の体と魂、私のすべての夢を見守る。
夜明け―星は窓辺に鳩を送る。空の家への帰り道の
空気の記号の読み解き方を、私に教えるために。

09
クレリア・イフリム(詩人、劇作家、ルーマニア) Clelia Ifrim

果しなく 広がっている 空間に
微塵となって 飛び回っている
夢かうつつか 星屑 みたいなわたし

10
金 光林(詩人、韓国) kim kwang-rim

闇があるからこそ星屑は金属の粒のように光る
漆黒を背にした金銀の砂絵のように
光は燃え盛る力、闇は真空のエネルギー
二つのバランスの中をすべてが飛び交って伝わる
尾を引く私の心も彗星のように巡り来る

11
西嶋純一(会社員、48歳) Junichi Nishijima

ほんの少しの岩石のかけらよ、群れ集まり、凍りつき、無私無欲に押し込める
あらあらしいスピードで、あんなにも容赦なく、あんなにもすばやく、漆黒を背に
究極の寒さ、その魔法のような真空を、いったいどこからあなたの願いは来るのか。

12
ヤン・ローレンス(詩人、神経生理学者、ニュージーランド) Jan Lauwereyns

瞬きの時間も惜しんで願いをかけた8月
ペルセウスの方角に瞳を凝らし、君の心臓の鼓動を感じながら
もうすぐ会えるよ、と話しかけた
産声は50億年を旅してやっと届いた光
息子よ、君はそうやって地球(ここ)に来たんだよ

13
日向日和(47歳) Hinata Hiyori

地球(ここ)も星の上だということを思い出せたら
もう少し優しくなれたかもしれない
おそろしく不機嫌だった今朝の私

14
金沢朋子(アルバイト、29歳) Tomoko Kanazawa

きらめくのはあなたの涙か、それとも希望ですか、
この宇宙の広大な広がりのなかで? 静脈のように脈打っている
私たち自身の宇宙のなかで。地球から送られてくる
さまざまな信号を観察している。ひょっとしたら
私たちの信号をも。

15
アグス・R・サルジョノ(詩人、インドネシア) Agus R. Sarjono

ぼくたちのあふれる想いは
今や世界中をとびかっている
でんぱという、小さな小さな感動をぎょうしゅくした波となって

16
白石真也(専門学校生、26歳) Shinya Shiraishi

凝縮したエネルギーが勢いをつけて飛散する
空間と時間の中へ破片をまき散らしながら。
さながら隕石の群れのように
それとも花咲いた桜の木立ちを吹く微風のように
費やされたエネルギーの互いにばらばらな反響となって...

17
サミュエル・ワトソン(詩人、オーストラリア) Samuel W. Watson

青空の向こうにも星が出ているなんて いったい誰が言ったんだろう
鸚鵡石が力強く応える 「見えないものも 確かにそこにある」と
それが「自然」なんだと

18
はっぷ(図書館職員、30歳) happ

君が太陽であるならば
私は月であろう
君がすべてを照らすなら
私はその光を受けて
君の内にある 闇を照らそう

19
松永隆実(会社員) Takami Matsunaga

毎晩 星が私のまつげに触れる
光は私のまゆから出ずる
私の魂のドアをノックしながら

20
アザム・アビドフ(詩人、ウズベキスタン) Azam Abidov

スイッチを押すとつく 電気の明かり
ホッとする明るさ 暖かい光
難しいことは よくわからない
ただ 電気を 暖かい と感じるのは
人間が昔から 太陽や 月や 星を 知っていたからだろう

21
酒井汐美(中学1年生、13歳) Shiomi Sakai

見よ、文明の驚くべき影を。
人間たちは花を摘み、花束を縁どり、愛する者に贈る、
そして告げる、自分の愛がいつまでも無傷なままで永遠に新鮮であるだろうと。

22
アマラジュ・ジョシ(詩人、ネパール) Ammaraj Joshi

ずっと輝き続けるかのように見える星たちは
いつの日か消えてしまうのかもしれない
それでも
その輝きに馳せる私の思いは きっと永遠にあり続けるのだろう
いくつもの、誰かの思いと連なりながら

23
菊池紫苑(高校生、17歳) Shion Kikuchi

だから最後に 星くずに照らされた道
そこを夢は立ち去るのだ 燠火のようなメッセージを
朝の私たちの 眼の底の灰に残して

24
野村喜和夫(詩人) Kiwao Nomura

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