ここでは、重力がほとんど存在しない「微小重力」という環境を活かした新材料の開発など、宇宙環境を利用した研究の分野についてご紹介します。
微小重力実験 -微小重力環境を活かした新材料の開発-
重力がない環境では、重さや比重の違いで物質が移動したり分離したりしません。 こんな環境を利用することで、地上ではできなかったような新しい材料や優れた素材の開発が可能となります。このような実験を通じて、私たちの生活に役立つ新材料や医薬品の研究、開発を行います。 例えば微小重力下では、たんぱく質の結晶は地上より良質なものが得られます。それをもとにタンパク質の構造が分かり、病気の解明や医薬品の開発が可能となります。
地球観測 -地球や人を守るために-
宇宙ステーションからは、地球の表面の約85%を観測することができます。視野の広い「宇宙の目」から、つねに地上を監視し、調査することで、環境問題の解決をめざします。 地表や海面、大気の様子を観察。地質の違い、海流の温度などについて、一度に広い範囲を調べることができます。
ライフサイエンス実験 -生命の進化と適応能力の解明-
さまざまな環境に生きる多様な生物の適応能力はいったいどのように得られたのでしょうか。 重力はその中でも大変重要な役割を果たしていますが、地上で調べることは困難です。 微小重力環境を利用することでこのような疑問を解き明かす研究が可能となります。 将来、われわれが宇宙に進出するためにも、このような基礎研究が必要です。 水棲生物や小動物の飼育実験。発生、成長、世代交代などを通して、宇宙環境がおよぼす影響を調べます。
基礎科学実験 -宇宙環境を利用した自然法則の探求 -
重力のない空間では試料を浮遊させることができ、容器の影響を受けずに性質を調べることができます。また、重力による圧縮もなく、上下対称な条件を実現することができ、より精密な実験ができます。基礎科学研究では、このような環境を利用して物理・化学現象の背景にある自然法則を調べます。