JAXAとNASAとの初となるISS利用に関するワークショップを共同開催しました!
最終更新日:2016年8月17日
2015年12月、日米両国政府は、2024年までのISS運用延長に関する、新たな協力枠組みとして、「日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム(JP-US OP3)」を締結しました。本枠組みを通じて、両国の宇宙機関であるJAXAとNASAはISS/「きぼう」の利用成果最大化を目指した協力強化を目的に、それぞれの国の研究機関や企業の研究者による米国実験棟(US Lab)及び日本実験棟「きぼう」の実験装置等の相互利用を推進することになります。
それを受けて、この7月にISS利用のワークショップを開催しましたが、これは、日米両国政府による枠組み締結後、最初のJAXA/NASA共同イベントです。これにより、ISS全体及び「きぼう」の成果創出に繋げるための最大限の活用、そして成果最大化へ向け、日米が一体となって大きく動きだしました。
JAXA/NASA共同ワークショップの開催結果
日程:2016年7月11日(月) |
会場:米国サンディエゴ |
参加者:米国の潜在的ユーザを中心に約120名が参加しました。 |
JAXA浜崎理事
NASAゲスティンマイヤー局長
NASAジュリー・ロビンソン氏
(ISSプログラムチーフサイエンティスト)
JAXA 田崎 きぼう利用センター長
JAXA坂下技術領域主幹
JAXA赤城研究開発員
<概要>
- JAXA浜崎理事(有人宇宙技術部門長)、及びNASAゲスティンマイヤー有人探査運用局長から、今回のワークショップを通じ、日米協力の枠組みのもとでJAXA/NASAの利用協力が加速され、多様で効果的な宇宙利用が展開されること、そして利用コミュニティの拡大等についての期待感が示されました。
- NASAの発表概要(NASA発言より抜粋)
「ISS計画には、これまで95の国と地域が利用実験で参加し、多様な科学的発見がありました。今後、各国の宇宙施設を国際間で共有できることは、成果最大化へ向けた重要なポイントである」ことを紹介しました。
- JAXAの発表概要(JAXA発言より抜粋)
(1)「きぼう」は2008年に運用を開始し、利用の探索・選択フェーズを終え、2015年からは、「きぼう」を研究開発基盤へ定着化すべく、有望な利用領域(※)に重点化し、その実施に向けた利用環境や仕組みを定時化・高頻度化・低価格化・定型化した「プラットフォーム」として設け、そして日米の新たな協力枠組みにより、成果を最大化する段階に入ることについて、紹介しました。
(※)「新薬設計支援」、「加齢研究支援」、「超小型衛星放出」など
(2)今後のJAXA/NASA相互利用に向け、「きぼう」船内実験室及び船外実験プラットフォームの成果並びに新たな成果創出に繋がる能力を米国ユーザへ発信しました。米国ユーザからは、様々な質問が上げられ、「きぼう」への高い期待が示されました。
「ISS R&D Conference」の開催結果
日程:2016年7 月12 日(火)~14 日(木) |
会場:米国サンディエゴ |
主催:NASA、CASIS (*1)、AAS(*2) |
参加者:全日程で約700 名の登録がありました。 |
*1: CASIS : The Center for the Advancement of Science in Space (米国のNPO法人)
*2: AAS: American Astronautical Society
<概要>
(1) プレナリーパネル (参加者:約200 名)
- 議題:
The New Dawn of Global Space: Space Agency Initiatives on the ISS and Beyond to Promote Entrepreneurial, Commercial, and Academic Utilization of Space
- 登壇者: 5名
・NASA カークシャーマンISS プログラムマネージャ
・JAXA 浜崎 有人宇宙技術部門長・理事
・ESA オッフェンバック 有人飛行探査部門 戦略部長
・CSA ルクレール 宇宙探査局長
・NASA メアリーベス ISSリサーチ・インテグレーション・オフィス部長(司会)
- 内容:
JAXA のISS 利用の状況と取組みを紹介するとともに、ISS パートナー幹部とISS 成果最大化に向けた取組みを議論しました。
(2)「ISS Research Award」を日本の研究者が受賞!
- テクニカルセッション等で5件の発表を行い、「きぼう」利用成果と共に、「JP-US OP3」による日米協力の情報を発信しました。この内、2名の代表研究者(PI)による研究成果が、「ISS Research Award」を受賞しました。同賞は宇宙機関以外の利用者による研究成果を対象としており、全受賞7件のうち2件が日本の研究によるものとなったことから、日本における「きぼう」利用の成果が客観的に評価され、また世界的にも認められたことを示しました。
(受賞に関する詳細は右記URLご参照:/topics/2016/07/160715.html)
<ISS Research Award>
I. Compelling Results in Biology and Biotechnology for Antimicrobial Agent Development |
- 受賞者:阪本泰光(岩手医科大学)
- 共同研究者
- ・小笠原 渉 (長岡技術科学大学工学部)
- ・田中 信忠 (昭和大学薬学部)
|
II. Innovation in Earth and Space Science for MAXI |
- 受賞者:MAXIチーム 三原建弘 (理化学研究所)
|
|
JAXA/NASA関係者のコメント(共同ワークショップ 冒頭発言より)
- JAXA浜崎 有人宇宙技術部門長・理事
「きぼう」利用は2008年に開始され、様々な実験を行うことで有望な領域を見つけてきました。一方で、JAXA とNASAの双方においてISSの価値を示すことが求められています。2015年12月、米国政府と日本政府は「JP-US OP3」を締結しました。日米で相互に施設を利用して協力を行う取組みです。本ワークショップが、米国実験棟(US Lab)と「きぼう」利用の日米協力が加速することを願っています。
(全文はこちらをご参照ください:)
- NASAゲスティンマイヤー宇宙探査運用局長
日本政府により考え出された日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラムは、世界の研究者にとって、とてもユニークな機会となる。より広い研究コミュニティーへ宇宙利用研究を拡げることは、人類にとって具体的成果を創出するであろう。