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実時間放射線モニタ装置(RRMD) |
宇宙放射線環境計画の実時間放射線モニタ装置(RRMD)は宇宙船内に達する高エネルギーの宇宙放射線(今回は陽子から炭素までの粒子)をリアルタイムで計測するための装置で、コントロールユニット及びディテクターユニット等で構成されています。これらのRRMD各部はスペースハブ・ダブルモジュール内に設置されます。
ディテクターユニットには、無重量及び宇宙放射線が生物にどのような影響を与えるかについて実施される実験に使用される生物試料封入容器が3種類(ドシメータ、バイオスペシメン・ボックス及び蚕卵収納容器)が取り付けられます。(粘菌容器は別の場所に設置)。
バイオスペシメン・ボックス(a)
地上であらかじめ放射線を照射し、フリーズドライした大腸菌と培養液(大腸菌活性化用)入りガラス容器を封入したシリコンチューブ38本が収納されたものです。この裏側には放射線感知フィルム(CR−39)が2枚取り付けられています。放射線計測の始めにディテクターユニットにセットされます(大腸菌の培養は放射線計測の終わり頃に行われます)。
→ 関連実験:「宇宙環境が与える大腸菌突然変異細胞への影響測定」
蚕卵収納容器(b)
蚕卵1000個が並べられたプラスティックの皿と放射線感知フィルム(CR−39)を交互に3段重ねたものが2セット搭載されています。一方のセットには休眠中の卵3000個が、もう一方のセットには初期発生卵3000個が収納されます。この容器はRRMDの実験開始から終了までディテクターユニットの外壁に貼りつけられます。
→ 関連生物実験:「カイコの胚の発生と分化に及ぼす宇宙放射線の影響」
コントロールユニット
ディテクターユニットの計測制御装置機能(計測信号処理や感度の調整など)外部へのインターフェイス機能を持っています。
ディテクターユニット
粒子放射線のエネルギーの大きさを直接計測できるセンサーを内蔵しています。固体飛跡検出材(透明なプラスチックの板で、粒子がその表面に衝突してできる痕の形や深さなどを調べると放射線の量がわかる。)による計測と異なり、宇宙放射線の性質、例えば入射時刻、入射方向、入射粒子の種類をリアルタイムで計測し、コントロールユニットに伝送できます。
→ 関連実験
「宇宙放射線に対する実時間線量計測」
「宇宙放射線データのリアルタイム交換実験」
粘菌容器
乾燥した濾紙に撒かれた粘菌胞子が入った容器で、ディテクターユニットとは別の場所に置かれます。これにミッションの始め頃軌道上で培養液を注射器で注入し、粘菌胞子の発芽を開始させます。また、大腸菌実験用ドシメータと同じ仕組みで大腸菌の代わりに粘菌胞子を封入したものがこの容器に取り付けられます。
→ 実験テーマ:「細胞性粘菌の遺伝子損傷による生物影響」
ドシメータ(大腸菌実験用)(c)
薄いアルミニウム容器の中に大腸菌を撒いた濾紙及び熱蛍光検出材(TLD)を放射線感知フィルム(CR−39)ではさんだものが封入されています。放射線計測の始めから終わりまで、ディテクターユニットの外壁に合計3枚貼りつけられます。
→ 関連実験:「宇宙環境が与える大腸菌突然変異細胞への影響測定」
最終更新日 1997年12月12日